エルメス入門編 革素材の基礎知識(トゴ・トリヨン・エプソン・ヴォースイフト)

■ 革素材の種類って覚える必要あるの?

似たようなバッグどっちを選んだらいいの?

じぶんのイメージにピッタリなバッグや小物に出会うためには、革の素材を覚えることが近道です。
ただ、エルメスの革素材は約20種類と種類が多く、覚えることは大変です。

もちろん、専門知識を持つ販売員に聞いてしまうのが、一番手軽です。しかし、「取り扱い店舗が近くにない」「購入の度に説明を聞くのはちょっと・・・」という方もいらっしゃると思います。

そこで、今回はエルメスの定番革素材について説明したいと思います。

 

最初に覚えるべき3つの素材は?

まずは、3つの牛革素材
「トゴ」「トリヨンクレマンス」「エプソン」を覚えてみましょう。

理由は、以下の2つです。
①10年以上前から現在に至るまで使用されている素材
②殆どの革製品は上記の3つを使用されている

また、それぞれマニアックな”通なポイント”も説明したいと思います。

 

代表的な3つの革素材 ①トゴ (正式名称 ヴォー・クリスペ・トゴ)

バッグ類に使用される雄仔牛の革です。
バーキンやケリーなど、定番のバッグや財布などの小物類に幅広く使用されています。

特徴
表面の細かいシワ模様と、張りがある革質が特徴です。
触ると指に凹凸を感じるほど一つ一つの型押しの溝が深く、他の牛革素材と硬さを比較すると中間くらいです。

通なポイント

「年式によって、凹凸感は異なる」
革はひとつひとつの表情が異なりますが、その中でもトゴは年式によって革質が変化していく傾向があります。

A

B

上記のAとB、どちらが年式の古いトゴでしょうか?

答えはBです。

Aは2019年製造、Bは2005年製造のものです。
上から見ると分かりにくいですが、横から見ると、古い年式の方が盛り上がって見えるほど凹凸があることが分かります。

型押しの質感は、年式が新しいAの方が隙間なく詰まっているように見えますが、Bの方が凹凸があってしわ同士が離れて見えます。

年式の違うものを並べると本当に同じ素材?と思えるほどに違って見えるので面白いですね。

 

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代表的な3つの革素材 ②トリヨンクレマンス

雄牛の革を使用した素材です。
トゴと比較すると目が少し大きく、若干柔らかみのある質感が特徴です。

こちらもバーキンやケリー、小物類などに幅広く使用されています。

通なポイント

「年式によって、表面のしわの大きさが変化する」

A

B

Aは2019年の製造、Bは2004年製造です。
AとBを比較してみると、Aの方がしわの一つ一つが細かくなっていることが分かります。

年式が新しいトリヨンは表面のしわが細かくなっていることがある為、一見しただけではトゴと間違えることがあります。

 

エルメス トリヨンクレマンス
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代表的な3つの革素材 ③エプソン(正式名称:ヴォー・エプソン)

雄牛の革に細かい型押し加工を施した素材です。
張りがあり固い素材感から、型崩れしにくいことが特徴です。

通なポイント

色の彩度が明るく柔らかい

A

B

上記のAとBは同じBLUE JEAN(ブルージーン)というカラーですが、Aがエプソン、Bはトリヨンです。
比べてみると、Bの方が色が濃く見えますね。
同じ牛革素材でも色の発色は素材によって異なります。
エプソンやヴォースイフトは他の素材と比べると、色が明るく柔らかい印象です。

 

エルメス エプソン
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次に代表的な革素材であるヴォースイフト

トゴ、トリヨン、エプソンの次に代表的な素材としてはヴォースイフトという素材があります。
バッグ・小物類に使用される雄仔牛の革素材で、しなやかで柔らかい手触りが特徴的です。

通なポイント

柔らかく発色が良い。
A

B

上のAとBはどちらもJAUNE POUSSIN(ジョーヌ プッサン)というカラーです。
PUSSIN(プッサン)は、フランス語で”ヒヨコ”を意味する言葉で、その名の通り薄く柔らかい色合いが特徴です。

素材は、Aがエプソン、Bはヴォー・スイフトですが、ヴォー・スイフトの方が発色がよく、イエローベースが濃く映ります。
エプソンも明るく柔らかい色合いで発色される素材ですが、ヴォー・スイフトの方がさらに明るい印象になります。

それでは次に別のカラーを見てみましょう。

A

B

 

こちらの2アイテムですが、どちらもGOLD(ゴールド)というカラーですがAはエプソン、Bはヴォー・スイフトです。
違いは分かりづらいですが、Bのほうが若干濃度が強いブラウンカラーになります。

上記から分かるヴォースイフトの特徴は、素材のしなやかさだけでなく、淡色のカラーはより柔らかく、濃度が高いカラーは色味がはっきりする素材、ということが分かるかと思います。

 

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まとめ

同じ色でも素材によって発色が違ったり、同じ素材でも年式によって革の表情が異なったり、エルメスの素材は奥が深く、全ての特徴を覚える事はとても難しいと思います。

今回は基本的な定番素材を説明しましたが、それ以外の素材も知りたい!
という方は、素材・カラーの一覧ページがあるので、ぜひ覗いてみてください。

 

エルメスの素材・カラーについては、以下の記事もご覧ください。

エルメスの多彩なカラーの中からブルーカラーを解説 >>

エルメスの定番カラーであるブラウンカラーを徹底解説 >>

エルメスの魅力が沢山つまったピンクカラーを解説 >>

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