不要になったタイヤのゴムがファッションアイテムに!意外な再利用の方法を紹介
不要になったタイヤのゴムが、再利用されさまざまなファッションアイテムになっています。この記事ではタイヤのリサイクル方法や、廃タイヤのゴムを利用した意外なアイテムを紹介。リサイクル資源として活用してもらうための、正しいタイヤの処分方法もお届けします。
目次
タイヤのゴムのリサイクルの現状
再利用率が90%以上と言われているタイヤのゴム。なぜこれほどにタイヤのリサイクルが求められるのでしょうか。タイヤのリサイクルの現状とその意義に迫ります。
国内外のタイヤのリサイクル状況
現在、世界中で毎年10億本もの大量のタイヤが廃棄されています。自動車1台につき4本利用されるタイヤは、一つひとつのサイズも大きいので廃棄量もきわめて膨大。日本国内だけでも年間約1億本、重量にして約100万トンのタイヤが捨てられています。 そんな中、国内のタイヤは97%もの高いリサイクル率を誇ります。燃料としての利用価値があることに加え、細かなゴム製品と違ってタイヤは耐久性が高い素材である点で非常にリサイクル向きなのです。
タイヤのゴム再利用の意義
一部の地域では、廃タイヤは適切に管理されず投棄されているのが現状です。それによって蚊が発生してマラリアの流行につながったり、火災を引き起こしたりと問題になっています。タイヤの適切な再利用は、人々の健康と地球環境を守ることにつながるのです。しかもゴム製品の原料となる合成ゴムは、石油を大量使用する新品より、使用済みの廃タイヤを再利用するほうがエコ。天然資源の消費量削減につながるというメリットもあります。
タイヤのリサイクルの種類
廃タイヤには主に3種類のリサイクル方法が存在します。それぞれの特徴を解説します。
①サーマル・リサイクル
現在廃タイヤの約半数がサーマル・リサイクルという方法で再生されています。サーマル・リサイクルとは廃タイヤを熱焼させ、そこで発生した熱エネルギーを回収し利用する方法です。このリサイクル方法が生まれて以降、多くの廃タイヤはエネルギー源として再利用されるようになりました。タイヤは約60%が石油から作られており、軽油や重油などの石油製品とほぼ同じ熱量を発する素材なので、石炭などの代替燃料として利用できる素材なのです。
②リユース・リサイクル
リユース・リサイクルは、タイヤをそのままの形で再利用する方法です。状態が良ければ中古タイヤとしてそのまま再利用したり、バスやトラックなどの大型タイヤは表面を張り替えたりして、再生タイヤとして再利用します。タイヤの素材は丈夫なので、車用には使えなくなっても公園や校庭にある遊具の他、港の防舷材などとしても活用されます。
③マテリアル・リサイクル
廃タイヤを加工して別の製品として生まれ変わらせるマテリアル・リサイクルも、廃タイヤの再生方法の一つです。まず、タイヤから不要物を取り除いて合成ゴムだけの状態にします。それを細かく断裁して粉末にし、タイヤチップや再生ゴム、ゴム粉などに加工してリサイクル原料として活用します。廃ゴム由来のファッションアイテムなどは、このマテリアル・リサイクルの一種です。
タイヤのゴムを再利用して作るファッションアイテム
マテリアル・リサイクルによって、タイヤは意外な形に変化しています。車を走らせる為に必要不可欠なタイヤが、リサイクルされてファッションアイテムになることも。代表的なタイヤ製のファッションアイテムを紹介します。
サンダル
廃タイヤを再利用したファッションアイテムといえば、まっさきにサンダルを挙げる人が多いのではないでしょうか。「インドソール」や「エコアルフ」の廃タイヤサンダルは特に有名です。
「インドソール」は深刻な廃タイヤ問題と向き合うべく、2009年にバリ島で創業したリサイクルブランドです。メーカー独自の技術を用いて作った廃タイヤのソールが特徴で、快適さと耐久性に優れた製品を取り揃えています。
「エコアルフ」はスペイン発のサステイナブルファッションブランドです。すべてのアイテムを、再生素材や環境負荷の低い天然素材のみで製造・販売しています。廃タイヤをリサイクルして作ったタイヤビーチサンダルが看板商品の一つです。
スニーカー
廃タイヤを使ったスニーカーもあります。アパレルメーカー「ゴールドウイン」が輸入・販売する「Simple グリーン・トゥ」という靴のシリーズには、靴底にタイヤのゴムを切り取って張り付けたアイテムが。タイヤの素材をそのままを利用するので、模様もそれぞれ異なります。適度な弾力と高い耐久性を持ち、歩きやすさにも定評があります。
リサイクル商品の販売を目的として2007に設立されたファッションブランド「SEAL(シール)」の「スニーカー301」にも廃タイヤが使われており、防水性・伸縮性に優れていると好評です。
アクセサリー
ファッションブランド「ware London」では、廃タイヤからネックレス・ピアス・ブレスレットなどのアクセサリーを作っています。タイヤのゴムを利用したデザイン性のあるフォルムに金属を塗って美しい質感を出したアクセサリーは、個性的が光るアイテムです。
バッグや財布
廃タイヤを再利用した靴も販売する「SEAL(シール)」は、バッグや財布、名刺入れなどのファッション小物も販売しています。デザイン性が高い上、元がタイヤなので強度もあり、水にも強くて長持ちします。雨に強く使い勝手抜群のリュックなどが特に人気です。
フィリピンのマニラのアパレルショップ「Siklo(シクロ)Legaspi Park Makati City」のタイヤを使ったバッグも話題です。日本・韓国・インド・フィリピンの廃タイヤが原料の水に強く頑丈な素材で、40種類のデザインを展開しています。
タイヤをリサイクルするための持込み先
タイヤは大きくてかさばる上、腐敗しにくいもの。ゴミとして廃棄すると環境に悪影響を与えるので、リサイクルするためには決まった場所に持ち込む必要があります。適切にリサイクルするための、廃タイヤの持ち込み先を紹介します。
①ガソリンスタンド
ガソリンスタンドによっては、古いタイヤを回収してくれるところがあります。手数料は一本1,000円未満のことが多く、ガソリンスタンドでタイヤを購入して交換する場合は、不要なタイヤをさらに安く引き取ってもらえることもあります。手数料は各店によって異なるので、前もって調べたり問い合わせたりすると良いでしょう。
②カー用品店(タイヤ販売店)
オートバックス、イエローハット、タイヤ館などのカー用品店に持ち込むこともできます。新品購入時は、場合によっては処分料を実質0円にしてくれる場合も。買い替え時はもちろん、持ち込みでの引き取りのみも可能で、その場合1本あたり500円前後が引き取り料金の相場です。1本では受け付けていないこともあるので、その際は2本、4本とセットで持ち込みましょう。
③車の販売店・ディーラー
車を購入したディーラーにタイヤ交換を依頼する際は、古いタイヤを無料で処分してくれることもあります。廃タイヤのみの持ち込みに関しては、各ディーラー・販売店によって処分料金が変わるので前もって確認が必要です。個人の店であれば、良心的な金額で引き取ってくれるところもあるでしょう。
④リサイクル業者
リサイクル業者ならば、状態が良く需要のあるものは処分費がかからないばかりか、買い取ってもらえることも。溝が残っている高価なタイヤ、溝の減りが少なく状態の良いスタッドレスタイヤ、高いホイールがついているタイヤ、この3種類は高価買取も見込めます。
タイヤのゴムの再利用の可能性を知り、適切な形で再利用しよう
タイヤで作られた商品はエコなだけでなく、耐久性があり使い心地やデザイン性に優れたものがたくさんあります。そういった商品の存在を知った上で、廃タイヤが適切にリサイクルされるよう、正しい方法での処分を心がけましょう。