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コラム

【連載 vol.35】サステナブルな素材とは?天然素材について考えてみよう!

「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回も服の素材にフォーカスして、天然素材について紹介!

どの天然素材が環境に一番優しい?

今回は前回に引き続き、服の素材に焦点を当てたいと思います。
「天然素材」と聞くとなんとなく化学繊維に比べて、環境にも人にも優しいイメージがありますよね。

ただ実際には「“天然”だから環境に優しい」、「”化学”だから環境に悪い」 とは実は一概に言えないもの。
天然素材でもそれぞれに課題や特徴があります。どの素材がどのように作られるのか、それぞれどのくらい長持ちするのか、を把握しておくことで、素材選びの参考にすることができます。

前回記事も併せて読んでみてくださいね。

まず初めに “天然繊維” とは

植物性または動物性の素材からできた繊維はどれも “天然繊維” と呼ばれます。
よく知られているものでいうと、例えば、コットン、リネン、麻、シルク、ウール、レザーなど。最近では竹からできたものも見かけますね。
天然繊維は化学繊維と違い、洗濯の際などにマイクロプラスチックがでなかったり、最終的に自然に還っていくという特徴があります。
また、服としての機能面では、身体の温度調整をしてくれるので、汗をかきにくくなるという特徴があります。それによって洗濯する回数も必然的に少なくなり、、水と電気の節約にも繋がります。

実際どのような特徴があるのか、身近な天然素材5つを比較しながらみていきましょう!

服の素材の写真

“天然繊維” 比較5選

【ヘンプ/麻】

ヘンプ/麻の説明画像

メリット:
一番育てやすく効率も良い。栄養や水が少なくても育てることができます。
コットンと比較して、250%も多くの材料を収穫でき、水も50%抑えることが可能と言われてます。植えることで土壌の侵食を止め、育てるのに農薬が必要ありません。
さらには長持ち!

デメリット:
シワになりやすく、肌馴染みが良い柔らかさになるまでには、何度か着用する必要があります。また、濃い色には染めにくいそうです。

【リネン】

リネン説明画像

メリット:
濡れても乾きやすく、通気性がよく呼吸しやすい素材。洗濯頻度も少なく使えるので、長持ち。ヘンプ/麻の次に育てる効率も良いと言われています。食べ物を育てるのには向いていない土地でも育てることが可能で、植物全体が無駄なく使えます。

デメリット:
素材を繊維にするのに時間を要するので、その分コストが上がってしまいがち。
シワになったり縮みやすいので扱いに注意が必要。

【コットン】

コットン説明画像

メリット:
土に還りやすく、繊維にするために複雑で化学的な方法は必要がありません。オーガニックコットンの場合は農薬は使われず、水の使用量も抑えることが可能です。

デメリット:
水をとても多く必要とします。また乾燥した地域で栽培されることが多いため、地域の水不足に繋がることも。加えて、オーガニックではないコットンは多くの農薬が使われます。オーガニックなコットンはコットン全体の1%ほどしかありません。(Global Organic Textile Standard 参照)

【ウール】

ウールの説明画像

メリット:
自然の抗菌機能や水分吸上機能、体温調整にも優れていると言われています。メンテナンスもそれほど手間は掛からず、洗濯も常温/冷水でできることからその面でもエネルギーを削減できます。

デメリット:
羊は温暖化の原因となるグリーンハウスガスを多く発生させることで知られ、特に商業的な羊農家から出るウールは環境負荷が他の素材に比べかなり高くなってしまいます。また安価なウールは動物福祉の観点からも飼育環境があまり良くない場合もあるため、「Responsible Wool Standard(責任あるウール基準、略してRWS)」認証のついたものを可能な限り見つけてみましょう。

【シルク】

シルク説明画像

メリット:
染色されていないものや草木染めされたものを見つけることができます。「Peace Silk」と呼ばれるものは、蚕を殺すことなく採取された素材で作られた繊維です。またシルク素材に似た天然繊維で、小麦, 酵母, 砂糖から構成された「Spider Silk」というものも開発されています。

デメリット:
一部のシルクは化学薬品や有毒な染料が製造過程で使われている場合もあります。また商業的な系の採取過程では、一般的に蚕は殺されてしまうことがほとんどなため、「ビーガン」とは謳えません。

今後の服選びに活かしてみよう

服を選んでるイラスト

このようにそれぞれのメリットやデメリットを見ると、どんな天然素材でも環境への影響は何かしらあることがわかります。
なので、どんなに環境に優しい素材を選んだとしても、すでに持っているものや中古のものを選ぶことの方が、新品を選ぶよりも環境へのインパクトが少ないといえます。

すでにクローゼットにある服が環境負荷の高いものだとしても、それを手放す必要はありません。
まずは長持ちさせる方法を見つけて、もし必要なくなった時には中古に出してみたり、新たに買うときも中古を選ぶ、または自分にあった素材で見つけてみることを検討してみてはいかがでしょうか。

writer profile
エバンズ亜莉沙
サムネイル: エバンズ亜莉沙
エバンズ亜莉沙(えばんず・ありさ):学生時代 米国オレゴン州で環境科学の授業に出会ったことをきっかけに、自分と世界の繋がりに気づく。2015年日本に帰国後、国際NGOでインターンをしながら、エシカル協会主催 フェアトレードコンシェルジュ認証 21歳で取得。同年世界一周を経験し、様々な人や文化に触れたことでさらに世界の抱える問題や解決策に興味関心を抱く。現在はフリーランスで『サステナブル』や『世界に自分に優しいライフスタイル』をキーワードに、SNSを中心とした発信、イベントへの登壇や、様々なプロジェクトのディレクター / コーディネーターを務める。