ゴミとして捨てられた服の行方が気になる!国内の廃棄量や資源活用の方法も紹介
服の廃棄問題は世界レベルの重要課題であり、日本でも膨大な量の衣類がゴミになっていることが問題視されています。捨てられた服はその後どうなっているのでしょうか。本記事では、衣類ゴミの行方を追いリサイクルの現状を見る目直すと共に、リサイクルして資源活用するための処分方法や、私たちひとりひとりにできることを紹介します。
目次
- 日本でゴミとして捨てられる服の現状
- 国内の服の廃棄量
- 服の廃棄量が多い原因
- ゴミとして捨てられた服の行方
- 約70%は燃えるごみ・燃えないごみに
- リユース・リサイクル率は20%以下
- 海外でのリユースや処分も
- リユース・リサイクルを前提とした服の処分方法
- 自治体の資源ゴミとして出す
- フリーマーケットやネットオークションに出品する
- リユースショップ・リサイクルショップで買取ってもらう
- 販売店で引き取ってもらう
- 寄付する
- ゴミになる服を減らすための購入時の心がけ
- 質を重視し長持ちするものを選ぶ
- 必要なアイテムを必要な分だけ買う
- 環境活動に取り組むブランドの商品を買う
- ゴミとして捨てられる服の行方を知り、エシカルな行動を
日本でゴミとして捨てられる服の現状
服の廃棄問題が世界中で大きな問題になっています。その現状を知るべく、現在の日本での年間の服の廃棄量と、膨大な衣類がゴミとして捨てられてしまう原因に迫ります。
国内の服の廃棄量
現在の日本における衣類廃棄量は、年間約100万トンといわれています。その量は、枚数に換算すると実に33億着。ゴミ全体でみると、資源ゴミとして地域で回収される布類のうち60%以上が衣類であり、まだまだ着られる服や、中にはタグがついたものも廃棄されているのが現状です。
服の廃棄量が多い原因
衣類はそんなにすぐにダメージを受けるものではないのに、なぜ廃棄量がここまで多いのでしょうか。それには大きく分けて二つの原因が考えられます。
まずは衣類が安く買えるようになったこと。近年日本でもファストファッションが流行り、流行の衣類を安くたくさん購入できるようになりました。ほとんど着ていない衣類でも、安いから欲しければまた買えば良いという発想により、飽きたらすぐに捨ててしまう消費者心理が生まれています。消費者は洋服をたくさん買うようになりましたふぁ、着られる服は限られており、おのずと処分量が増えているのです。
二つ目の原因は、ファッションのトレンドが多岐に渡ることです。シーズンごとにトレンドが変わる上、個人の好みも異なるため、販売される衣類の種類やアイテム数は増え続けています。アパレル企業は、需要がある商品の欠品を出さぬよう、十分な量の衣類を生産するので、多くが売れ残り廃棄されることになるのです。
ゴミとして捨てられた服の行方
ゴミとして捨てられた服は、廃棄後どうなるのでしょうか。焼却処分の他、リユースやリサイクルに回されるものもありますが、その内訳はいかに。気になる廃棄衣類の行方を解説します。
約70%は燃えるごみ・燃えないごみに
家庭や事業所などから出るゴミの内訳を見てみると、地域の集団回収として回収される布類72.31ktのうち63.2%が衣類です。そうした衣類の約70%は燃えるゴミ・燃えないゴミとして処分されており、全体の半分以上が焼却処分されています。
リユース・リサイクル率は20%以下
衣類のリユース・リサイクル率は20%以下という水準です。古紙やビン・カン、ペットボトルはリサイクル率が50%を超えることを考えると、残念ながら衣類のリサイクル率はとても低いのです。
海外でのリユースや処分も
日本で廃棄された衣類は、マレーシア・韓国・ベトナム・フィリピンなどのアジア諸国を始めとする海外でリユースされることも。彼らは日本人と体格が近く、日本の衣類は質もデザインも良いのでリユース品の中でも好評です。ただし東南アジアなどの温暖な気候の地域では、冬物の行き場がないという現状も。また、リユース目的で輸出されても需要がなければ廃棄物処分となる場合もあります。事実、東南アジア圏の主な処理方法である埋立処理によって日本の衣類が処分されることも少なくありません。
リユース・リサイクルを前提とした服の処分方法
まだ着られる衣類はできればリユース・リサイクルに回したいものですよね。でも出し方を間違えると、ゴミとして扱われてしまいます。廃棄衣料をリユース・リサイクル品として活用するための正しい処分方法を紹介します。
自治体の資源ゴミとして出す
自治体に資源ゴミの日があれば活用しましょう。費用は基本的にビニール袋代のみですし、自治体によっては無料の場合もあります。可燃物にすると焼却処分されてしまうので、リサイクル目的なら資源ゴミとして正しく出す必要があります。資源ゴミの回収日や出し方など、自治体ごとのルールを把握しておきましょう。
フリーマーケットやネットオークションに出品する
フリーマーケットやネットオークションを利用すれば、いらなくなったアイテムを必要とする人に譲ることができます。しかも処分料がかからないどころか、小遣い稼ぎになることも。特にハイブランドやビンテージものは需要があり高値がつくケースも珍しくありません。
対面で販売するフリーマーケットの場合は、商品の持ち運びに手間がかかりますが、ネットのフリマは写真を撮って値段をつけ、売れたら発送するだけなので簡単です。
リユースショップ・リサイクルショップで買取ってもらう
点数が多い場合などは、1点ずつの販売がわずらわしいこともありますよね。そんなときはまとめて販売リサイクルショップに持って行けば一括で買い取ってもらえます。量が多くて持っていけない時などは、宅配買い取りを実施しているショップを利用するのも良いでしょう。
フリーマーケットやネットオークション同様、ハイブランドの服は状態によっては高値がつく場合も。ただ季節外れのものや型落ちしたアイテムなどはほぼ値段がつかないこともあります。しっかりと価値を見きわめてもらいたいときは、鑑定士がいるリユースショップに持ち込むのがオススメです。
販売店で引き取ってもらう
販売店で引き取ってもらう方法もあります。アパレルブランドやショップでは、国内外でのリユースやリサイクル目的で衣類を回収や下取りを実施しているところも。「衣料品引き取りキャンペーン」などと名付けられた活動で、洋服の青山、AOKI、ユニクロ、GU、H&M、無印良品、OIOI、イオンなど多くのショップが実施しています。衣料品と引き換えに割引クーポンなどを発行しているところあります。回収・下取りは基本的に営業時間内であれば可能ですが、期間限定の場合もあるので前もって公式HPをチェックしておきましょう。
寄付する
児童保護施設などに寄付するのも一つの方法です。廃棄量の多さとは矛盾して見えますが、日本には貧困状態に陥り、着る服に困っている人達がいます。実際に貧困世帯の半数以上の子どもが、経済的な理由でおしゃれを我慢していると言われています。
また、日本だけでなく世界中の服を必要とする人々のために、服を送り届ける活動をしているNGO団体もあります。例えば、1982年発足の日本救援衣料センターは世界中の被災者、難民、途上国の人々を支援する団体として有名です。寄付のやり方は、シミや傷などのない状態の良い衣料品を段ボール箱か紙袋に詰めて送るだけ。寄付なのでお金に換えることはできず、衣料品10㎏までにつき1,500円程度の自己負担の送料が発生しますが、困っている人々のために自分の使わなくなった衣類を有効活用できます。
ゴミになる服を減らすための購入時の心がけ
残念ながら、リサイクルに回したからといって100%リサイクルされる保証はありません。ですから、買った服が不要になってからの対策だけでなく、買う時からその先を見据えることが衣料ゴミ削減に有効なのです。私達個人が意識したい購入時の心がけを紹介します。
質を重視し長持ちするものを選ぶ
ファストファッションの流行で安いアイテムが簡単に手に入る一方で、簡単に廃棄品候補になってしまうのが現状です。長く愛用できるどうかを洋服選びの基準にすると、選ぶ商品が替わり、アイテムの寿命が伸びて廃棄率が下がります。
必要なアイテムを必要な分だけ買う
タンス在庫と呼ばれる、着ないままタンスに眠っている衣類が廃棄されるまでの期間は、約6ヵ月といわれています。常に新しいものをとっかえひっかえし、古くなったものはほとんどが最終的にゴミの回収に出されているのが実情なのです。こういった衣料購入と廃棄の現状を思い返し、本当に必要かどうかを考えて買うことが大切です。
環境活動に取り組むブランドの商品を買う
衣料品廃棄の削減に取り組む企業の商品を買うのも有効です。そのブランドの活動の支援、ひいては間接的に環境保全活動にも貢献できるからです。
ゴミとして捨てられる服の行方を知り、エシカルな行動を
衣類の大量廃棄は根深い問題です。この問題を解決するには、リサイクルにつながる処分方法を実践する他、購入時の意識も変えていく必要があります。ゴミとして捨てられる服の行方についての知識を深めて、エシカルな行動を心がけましょう。