高級腕時計の時計通信

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27.9.2025

【奇跡の逆転劇】OMEGA SEAMASTER | オメガ シーマスター

Komehyo

今回は、OMEGAの「スピードマスター」と同様に人気の高い「シーマスター」について、編集長が分析しましたのでご紹介します。

かつては「シーマスター プロダイバー300M」として大ヒットしましたが、クォーツ時計が台頭した時代には苦難の歴史もあります。

見た目やデザインの魅力に加え、このような歴史を持つ「シーマスター」がなぜ人気なのか。その理由を解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。


【目次】

・OMEGA SeaMasterについて

・「SeaMaster」が人気の3つの理由

①ファーストモデルが映画で起用される

②価格優位性が高い

③バリエーションが多い

・伸び悩んでしまった時代

・苦労した時代での一手

・逆転の一手 3rdモデル誕生

①高級感が大きく増した

②特別感が感じられる

③コストパフォーマンスが高い

・各モデル比較

・最後に


OMEGA SeaMasterについて

本題に入る前に、「シーマスター」がどのようなモデルかご紹介します。

「シーマスター」は、OMEGAの有名な防水時計シリーズとして1948年に誕生しました。初期のビンテージモデルは、現在のダイバーズモデルのような見た目ではなく、一般的なドレスウォッチに防水機能が付いた時計でした。

その後、1950年代に私たちがよく知る「シーマスター300」が登場し、本格的なダイバーズモデルの「シーマスター」が誕生しました。この経緯から、「シーマスター」は、ドレスウォッチから本格ダイバーズウォッチまで多彩なデザインが楽しめるシリーズとして長く愛されています。

現在のラインナップは以下の4シリーズに分かれており、それぞれ個性を持っています。

①アクアテラ:ドレスウォッチ(150m 防水)

②ダイバー300m:ダイバーズ(300m 防水)

③プラネットオーシャン:ダイバーズ(600m〜6000m 防水)

④ヘリテージ:ビンテージ時代の復刻モデル


「SeaMaster」が人気の3つの理由

現代の「シーマスター」は、「シーマスター ダイバー 300m」というモデルの大ヒットによって、シリーズ全体の人気を獲得しました。

しかし、この人気を獲得するまでには長い道のりがありました。人気の理由を解説する前に、少しその歴史をお話しします。

元々「シーマスター」はビンテージ時代に登場したものの、デザインの核となる軸が定まっていませんでした。そのような中、1993年に現在のデザインの核が設定され、今もそのデザインが受け継がれています。

この前提を踏まえて、次に「シーマスター」の人気の理由を3つに分けて解説します。


①ファーストモデルが映画で起用される

1993年にOMEGAは「シーマスター」のデザインの核を決定し、ファーストモデルである「シーマスター プロフェッショナル」を発表しました。

そのわずか2年後の1995年、大ヒット映画『007 (ダブルオーセブン)』が公開されました。このとき、主人公が身につけていた時計こそが「シーマスター プロフェッショナル」でした。

これをきっかけに「シーマスター」は世界的に認知され、映画とともに大ヒットすることになります。

②価格優位性が高い

映画『007』で広く認知された「シーマスター」ですが、ユーザーにとってさらに喜ばれた要素は、その圧倒的な価格優位性にありました。

当時の「シーマスター」のメーカープライスは、

  • クォーツ式:10万円台

  • 自動巻式:20万円前後

といった価格帯でした。これは、社会人であれば初任給1ヶ月程度で購入できる水準でした。

そのため、初めての高級時計として選ばれる機会が多く、若い方を含む幅広い世代に人気のモデルとなりました。

③バリエーションが多い

当時はクォーツ時計が台頭し、自動巻の時計が苦労した時代でしたが、「シーマスター」はクォーツと自動巻の2種類のムーブメントから選ぶことができました。

さらに、サイズ展開も豊富でした。女性向けのサイズから、男性向けの一般的なサイズ、大きめのサイズまでがラインナップされていたため、選択肢の広さが人気の要因となりました。

このように、紹介した3つの理由により、「シーマスター」は自他ともに認める大人気の時計となったのです。


伸び悩んでしまった時代

ファーストモデルの大ヒットにより順調に見えた「シーマスター」ですが、実はその後に苦しい時代が続きました。

なぜ「シーマスター」がそのような苦境に陥ったのか、その要因を以下の3つに分けて解説します。

①デザインがニーズに合わない
ファーストモデルが登場したのがバブル崩壊後の1993年でしたが、時間が経つにつれて、トレンドやユーザーの感覚とデザインが合わなくなってしまいました。

②ライバル会社のダイバーズウォッチ分野強化
「シーマスター」が大人気となった後、他社もダイバーズウォッチの分野を強化してきました。例えば、「IWC アクアタイマー」は、この時期に強く打ち出された時計として有名です。

③エントリーモデルの品質向上
時代が進み、時計製造に使う工作機の加工精度が大きく向上しました。これにより、エントリーモデルの品質が上がり、ミドルレンジ以上のブランドも苦戦を強いられました。


苦労した時代での一手

バブル崩壊後に苦戦を強いられたOMEGAは、2011年に「シーマスター」のセカンドモデルを発表しました。

このセカンドモデルでは、全体的な品質と高級感を高めるため、以下のような変更が行われました。

・ベゼル:セラミックへ変更

・文字盤:波線(ウェーブパターン)の廃止、インデックスの立体化

・ブレスレット:ネジ式へ変更

しかし、この取り組みにもかかわらず、結果は期待したようには振るわず、苦しい時代はもう少し続くことになります。


逆転の一手 3rdモデル誕生

セカンドモデルでも苦戦が続いた「シーマスター」ですが、ついに2018年、人気を大きく取り戻す逆転のきっかけとなるモデルが登場します。

それが今回のサードモデルです。なぜこのモデルが人気を取り戻すことができたのか、その理由を3つの要素に分けて解説します。

①高級感が大きく増した

セカンドモデルでも高級感を高めるデザインがされていましたが、サードモデルではこの高級感がさらにアップしました。

一般的に高級感は「光沢感」と「立体感」を高めることで向上しますが、サードモデルでは特に文字盤が大きく変更されています。

セカンドモデルでフラットにされていた文字盤は、サードモデルではセラミックに加工され、奥行きのあるデザインとなりました。これにより立体感が生まれています。

また、インデックスもサードモデルではさらに大きな立体感が加えられました。

これらのセラミックの光沢感、加工された波線の立体感、そしてインデックスの立体感が合わさることで、高級感の向上に大きく貢献しています。

②特別感が感じられる

特別感は他の時計との差別化に繋がる要素ですが、サードモデルではダイバーズモデルでは異例のシースルーバックの裏蓋が採用されています。

ダイバーズモデルは、使用環境から高い耐磁性能を確保するため、一般的にソリッドバックという金属製の裏蓋にする必要があります。

この常識を破り、シースルーバックの裏蓋を採用できた秘密は、搭載されているムーブメントにあります。

このムーブメントは15,000ガウスという極めて高い耐磁性能を持っているため、シースルーバックが実現可能となりました。このような特別感が、人気の理由の一つとなっています。

また、機構の面では、OMEGAオリジナルの「コーアクシャル」という脱進機も搭載されています。

③コストパフォーマンスが高い

ここまでサードモデルの魅力をお伝えしてきましたが、これだけの魅力がありながら、なんとメーカープライス50万円台で登場しました。

当時の他メーカーのダイバーズモデルで、この価格帯は考えられないことでした。

メーカープライスは変動しており、現在ではメタルバンドタイプが913,000円(※2025年5月時点)となっています。

もちろん当時より金額は上がっていますが、実は防水性能が劣る「アクアテラ」という別のモデルよりも安価な価格設定です。

通常、性能が高いモデルほど高価になるはずです。しかしOMEGAはあえて「シーマスター」の価格を抑えることで、戦略的に販売する姿勢を見せており、これは非常に優れている点だと言えます。


各時代のモデル比較

【1stモデル】

1993年に登場した初代モデルは、当時から完成度が非常に高くなっています。

まず、「エスケープガスバルブ」という機能が搭載されています。これは海底作業時に時計内部のヘリウムガスを抜くための手動開閉式の装置です。当時の10万円台から20万円前後の時計でこの機能が搭載されている例は少なく、特筆すべき点です。

他にも、回転ベゼルや、ウェットスーツの上から時計を装着する際に腕周りを延長できるブレスエクステンションも採用されていました。

デザイン面では、ブレスレットの部品が細かく作られており、当時のバブル期に人気があったドレッシーでエレガントな雰囲気を表現しています。

 

【1stモデルと2ndモデル】

(左:2ndモデル 右:1stモデル)

1stモデルからの変更点ですが

大きな変更点は以上の3点です。

これらの変更によって光沢感が1stモデルよりも、増しているので高級感が高くなっています。

 

【2ndモデルと3ndモデル】

(左:3rdモデル 右:2ndモデル)

次に2ndモデルからの変更点です。

サードモデルでは、すでにお話ししたように大きな変化がありました。

高級感という点では、文字盤、インデックス、ブレスレットが変更され、光沢感と立体感が増しています。

特別感という点では、シースルーバックの裏蓋が採用されていることが挙げられます。

その他の変更点としては、日付位置の変更、サイズの変更があり、エスケープガスバルブはテーパー(先細りの形状)が付いてスタイリッシュさが向上しています。

これらの高級感と特別感の変化を見ると、現在の「シーマスター」が人気を集める理由が理解できます。

 


最後に

いかがでしたか。今回はサードモデルをメインにお話ししました。

ビンテージから現行まで存在するこのようなモデルは、実際に見て比べることで、その時代ごとの良さがよく分かります。

ぜひ弊社のお取り寄せサービスもご利用いただき、それぞれのモデルを見比べてみてください。

また、今回の内容は、YOUTUBEでも公開しています。
是非そちらもご覧ください。

 


 

 

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