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20.10.2025

赤サブとは?ヴィンテージロレックスRef.1680の魅力・見分け方・Mk別特徴を解説

Komehyo

Ref.1680、通称「赤サブ」と耳にすると、心が騒ぐ方も多いことでしょう。

この記事ではヴィンテージ・ロレックスの中で、特に人気のサブマリーナ―、Ref.1680、赤サブについて解説しています。

Ref.1680の魅力や、赤サブのダイヤル差によるMk1〜Mk6の見分け方まで解説します。

 

ロレックスの赤サブとは?

赤サブとはダイヤル上の「SUBMARINER」のロゴが、赤字になっている個体の特徴です。

ヴィンテージモデルの中でも、日付機能がついた最初のサブマリーナである第3世代のサブマリーナー・Ref.1680に少数存在しており、特に注目を集めています。

 

サブマリーナーとは

ロレックスのスポーツモデルの中でも指折りの人気を誇るサブマリーナ―は、ダイバーズウォッチの先駆けの一つです。初登場となった1953年当時から高い防水性と回転ベゼルを備えており、以後のダイバーズウォッチに大きな影響を与えました。

 

Ref.1680 誕生の背景

初期のサブマリーナー(Ref.6204/6205/6200など)を経て、Ref.1680はデイト表示を備えた発展形として登場しました。

 

リューズガードを受け継ぐ系譜にあり、デイト搭載の初のサブマリーナーとして概ね1969〜1979年に生産。以後、デイト搭載機は「サブマリーナー・デイト」、非搭載機は「サブマリーナー・ノンデイト」という呼称が一般化します。

 

普段使いできるヴィンテージ・Ref.1680

 

赤サブを含むRef.1680は次の二つの特徴により、ヴィンテージながら日常的に使えるモデルになっています。

 

  • ・200m防水
  • ・Cal.1570の採用

 

200m防水

Ref.1680は200m防水を備え、日常使いに十分な耐久性があります。初期はツインロック系のリューズが主流で、のちに一部期でトリプロック(複数ガスケット構造)へ更新された個体もあります。ムーブメントはデイト付のCal.1575(1570系)で、クロノメーター規格かつ堅牢。1971〜72年ごろからハック機能を備える個体も見られます(クイックセットは非搭載)。

トリプルロックリューズとは、リューズ側だけにあったゴム製の防水パッキンを、ケース側にも二つ追加した仕組みです。1970年に登場したので、最初期のRef.1680には搭載されていませんが、その後すべてのサブマリーナ―など、ロレックスのスポーツモデルの多くに採用されています。

 

Cal.1570の採用

Ref.1680が搭載しているCal.1570は、1965年ごろに登場したデイト表示付きのムーブメントです。1980年代後半まで20年以上も生産が続いた名作で、デイトジャストやオイスターパーペチュアル、エクスプローラーⅠなどにも採用されています。

特徴はクロノメーター仕様で現代にも通じる高い精度が期待できることと、耐久性が優れていること。製造期間が長いだけに数多く存在しており、赤サブの中では比較的入手しやすいです。

 

赤サブとは

赤サブはRef.1680初期期に見られる赤表記ダイヤルの通称で、現存数が少ない希少個体です。赤いロゴの個性に加え、ダイヤルのトロピカル化や夜光のパティーナなど経年の表情が良好な個体は評価されやすい一方、交換部品の有無や状態によって価値は大きく変動します。

 

赤いロゴが誕生した理由

ロレックスが赤色ロゴを採用する公式な理由は公表されていませんが、限定性の強調や視認性、スポーティな印象の付与など、デザイン上の差別化意図がうかがえる事例があります。たとえば、初期シードゥエラーRef.1665(通称“ダブルレッド”)では「SEA-DWELLER」と「SUBMARINER 2000」を赤で表記した個体が知られています。さらに、ターノグラフRef.116264では一部ダイヤルで「TURN-O-GRAPH」の赤表記や赤い秒針・日付を採用するなど、赤のアクセントがスポーティさを演出してきました。赤サブも同様に、視覚的な差別化や存在感の強調といったデザイン上の狙いが背景にあったと考えられます。


赤サブがコレクターに人気の理由

赤サブが注目される背景には、造形の良さだけでなく、限定的な生産期に由来する希少性やダイヤル・夜光の経年変化といった固有の表情があります。さらに、視覚的にわかりやすく一目で特徴が伝わる点も人気の一因です。加えて、個体の状態やオリジナル性が保たれている場合には資産性も評価されます。

 

希少性と生産本数の少なさ

赤サブは現存数が少なく、希少性の高いモデルです。

詳しくわかってはいませんが、赤サブが主に生産されていたのはRef.1680が登場した1969年から数年間とされています。近年では1970年代後半まで、通常のロゴに混じって少数の赤サブが作られていたとの説もありますが、いずれにせよ生産本数が少ないことは変わりありません。

 

経年変化(トロピカルダイヤル)の美学

経年により美しく変色したロレックスのダイヤルは、コレクターの人気の的です。

トロピカルダイヤルと呼ばれるダイヤルの経年変化は、1960年代に生産されたダイヤルのごく一部に現れます。独特の茶色に変化したRef.1680は、ただでさえレアな初期生産の赤サブの中でもレアな個体です。

 

投資価値と価格上昇トレンド

身に付けて楽しめるだけでなく、資産価値の高さや、相場の上昇も楽しみにできるのも、赤サブがコレクターに人気の理由です。

2025年現在は200万円台〜500万円台と幅広い価格帯で推移しています。

 

≫ 関連記事|知っていると時計通!? ロレックスに登場する「赤」「青」「緑」 ~赤サブ、青サブ、ペプシなどのロレックス用語~


赤サブの見分け方

赤サブやRef.1680を見分ける主なポイントは次の3つです。

 

  • ・インデックスと針の形状 
  • ・日付ディスクとサイクロップレンズ
  • ・ダイヤルロゴの色味・フォント

 

それぞれを、くわしく解説していきましょう。

 

インデックスと針の形状 

インデックスと針の形状は、赤サブに限らずRef.1680すべてに通じる特徴です。

ダイヤルの目盛り、インデックスはフチなしで、短針はベンツ針を採用しており、Ref.1680の個性となっています。

 

フチなしインデックス

Ref.1680のインデックスは、現行のようなメタル枠を持たない「フチなし」で、夜光が直接載る構造です。ヴィンテージらしい表情が得られるため、他のリファレンスでもメタル枠の有無にこだわって「フチなし」を選ぶコレクターが少なくありません。

 

ベンツ針

「ベンツ針(メルセデス針)」はメルセデスベンツのシンボル、スリーポインテッドスターを思わせる意匠付きの短針で、サブマリーナ―第1世代後期のモデル、Ref.6205の一部から採用されています。

暗い水中での視認性を高めるためのもので、Ref.6205以降のサブマリーナ―など、ロレックスのスポーツモデルに多く採用されています。

 

ケース・ベゼル・風防の仕様

Ref.1680は、現行に通じるリューズガード付きケースを備える一方、当時一般的だったアルミ合金(アルマイト)のベゼルインサートや、温かみのあるアクリル(プラスチック)風防を採用しています。モダン要素とヴィンテージ要素の同居こそが、Ref.1680の魅力です。

 

リューズガード

リューズガードとはリューズが破損するのを防ぐために、その左右に設けられた金属製の突起です。第3世代のノンデイトサブマリーナ―・Ref.5512から採用されており、Ref.1680にも引き継がれました。

 

真鍮ベゼル

ベゼルには初代・Ref.6200から続く、真鍮製のものが使われています。真鍮製ベゼルの中には経年変化を起こすものが含まれるのが特徴で、グレーがかったベゼルはブラウンに変化したトロピカルダイヤルと同様に、現行のロレックスにはない魅力を放ちます。

真鍮ベゼルは第4世代から徐々にアルミ合金に変更され、現行のサブマリーナ―、Ref.116610LNからはセラミック製のセラクロムベゼルが使用されています。

 

プラスチック風防

Ref.1680の風防はアクリル(プラスチック)製で、サファイアに比べて温かみのある表情が得られます。キズは入りやすい一方、コンパウンドで浅い擦り傷を整えやすいのも特徴です。サファイアガラスは後継のサブマリーナーRef.16800系で採用が進みました。

 

デイト表示とサイクロップレンズ

Ref.1680は最初にデイト表示が搭載されたサブマリーナ―で、デイト表示のないサブマリーナー・ノンデイト、Ref.5512やRef.5513と併売されていました。

 

デイト表示

デイト表示とは日付を表す機能のことで、ロレックスでは1945年のデイトジャストで初搭載されました。Ref.1680までサブマリーナ―にデイト表示が搭載されなかったのは、ダイバーズウォッチには必ずしも必要と考えられていなかったからでしょう。

 

サイクロップレンズ

サイクロップレンズとはデイト表示を拡大するために風防に付けられたレンズのことで、1950年代前半に登場しています。およそ2.5倍に拡大されるため、日付の視認性が高まります。

 

ダイヤルロゴの色味・フォント

赤サブとほかのRef.1680の見分け方は、ダイヤルロゴの色味の違いだけなので簡単です。

赤サブは文字通りダイヤルロゴが赤く、それ以外のRef.1680はダイヤルロゴが白であり、白サブとも呼ばれています。

一方で少し難しいのは、赤サブはダイヤルロゴの違いでMk1(マーク・ワン)からMk6(マーク・シックス)の6種類に分類できるところです。

次項で代表的な判別ポイントを解説します。

 

オープン6 とクローズ6

ダイヤルロゴの下にあって防水性能を示している「660Ft」のフォントは、赤サブのモデルの違いを見分けるのに役立ちます。

「6」の文字の最後が、開いているものが「オープン6」、閉じているものが「クローズ6」と呼ばれており、次の表のように使い分けられています。

 

フォント 使われているモデル
オープン6 Mk2、Mk3、Mk4、Mk5
クローズ6 Mk1、Mk6

 

 

ロングF とショートF

赤サブのモデルは「660Ft」の「F」のフォントでも見分けられます。Fの1画目と2画目の横棒に注目してください。

「ロングF」は1画目の横棒が2画目より長いもの、「ショートF」は1画目と2画目の長さがそろっているもののことです。

 

ロングFはMk2まで、ショートFはMk3以降の赤サブに使われています。

 

フォント 使われているモデル
ロングF Mk1、Mk2
ショートF Mk3、Mk4、Mk5、Mk6

 

メーターファーストとフィートファースト

6やFのフォントが使われている660Ft(フィート)は、おおよそ200m(メーター)と同義です。赤サブではこのことを「200m=660Ft」「660Ft=200m」の2通りで表しており、前者をメーターが先に来ていることから「メータ―ファースト」、後者をフィートが先に来ていることから「フィートファースト」と呼んでいます。

メーターファーストはMk3まで、フィートファーストはMk4から、それぞれ使われています。

 

  使われているモデル
メーターファースト Mk1、Mk2、Mk3
フィートファースト Mk3、Mk4、Mk5、Mk6

 

赤サブの年代別モデル変遷(Mk1〜Mk6)

赤サブのダイヤルは、一般に生産時期の差異に基づく「Mk1」から「Mk6」までの6タイプに分類されます。以下では各Mkの表記特徴と見分け方を紹介します。

 

Mk1

「クローズ6」「ロングF」「メーターファースト」が特徴のMk1は、最初期に作られた赤サブです。

生産数も最少で、ダイヤルが経年変化する個体も見られます。

 

Mk2

Mk2は「オープン6」「ロングF」「メーターファースト」が特徴です。初期型の特徴であるメーターファーストは資産価値が高く、ダイヤルの経年変化も期待できます。

 

Mk3

「オープン6」「ショートF」「メーターファースト」のロゴを持つMk3は、ダイヤルが経年変化するかもしれない、最後期のモデルとされています。

 

Mk4

「オープン6」「ショートF」「フィートファースト」が特徴のMk4は、比較的製造数の多いモデルです。

 

Mk5

Mk5は「オープン6」「ショートF」「フィートファースト」。Mk4と書体の太さや配置バランスに差が見られるとされ、赤サブの中では相対的に流通数が多い版といわれます。

 

Mk6

「クローズ6」「ショートF」「フィートファースト」の特徴を持つMk6は、最後期に生産された赤サブです。書体の太さや配置バランスには個体差があるため、「6」の形状や「F」の長さ、耐水表記の順序など複数の指標を併用して総合的に判別する必要があります。


まとめ

赤サブの購入を検討されている方は、なるべく多くの個体を比較されることをおすすめします。
今回は赤サブについてお話ししましたが、コメ兵で現行品から以前の作品までさまざまはサブマリーナーを多数取り扱っております。
ぜひWebショップや店舗でご覧ください。

 

≫ 関連記事|【ロレックスの新作】グリーンサブマリーナ126610LVを実際に見て思うこと ~旧モデル116610LVとの違い~

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