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3.3.2026

【伝説の復活】ゼニス「エル・プリメロ」がロレックスに選ばれた理由。デイトナの心臓部に宿る最高峰ムーブメントの真実

Komehyo

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

 

時計好きなら一度は耳にする名作ムーブメント「エル・プリメロ」。
今回は、ゼニスが世界に誇る伝説のクロノグラフの歴史と、その心臓部を宿した「ロレックス デイトナ」の深い繋がりについて徹底解説します!

一度は消滅の危機に瀕しながらも、なぜ「エル・プリメロ」は奇跡の復活を遂げたのか?
ロレックスが認めたその圧倒的な性能と、構造の特異性について専門スタッフが分かりやすく紐解きます。

時計選びがさらに楽しくなる「歴史の裏側」を、ぜひ最後までお楽しみください!


【目次】

・エル・プリメロとは

・エル・プリメロの評価

歴史①|世界初のクロノグラフ

歴史②|復活のストーリー

歴史③|ロレックスとの関係性

・機械のニックネーム

・構造の特異性

特異性①|キャリングアーム式クロノ

特異性②|高振動+50時間駆動の両立

・ロレックスデイトナ

・最後に


エル・プリメロとは

本題に入る前に「エル・プリメロ」について簡単にご紹介させていただきます。
「エル・プリメロ」はゼニスの自社の自動巻クロノグラフのムーブメントですが、こちらは世界初の自動巻クロノグラフとして知られているものの1つとなります。

 

「エル・プリメロ」の最大の特徴は「36,000振動 / 50時間パワーリザーブ」と高振動かつパワーリザーブが長いという点です。
最近出た「エル・プリメロ2」では振動数は変わらず「60時間パワーリザーブ」へ進化しており、さらなる進化を遂げています。

 

世界初の自動巻クロノグラフについて触れましたが、この「エル・プリメロ」が登場した1969年には3つの世界初の開発があったとされていますが、そのうちの1つに「エル・プリメロ」が世界初の1つといわれています。

一方その他の世界初の開発というと、タグホイヤーやハミルトン等の複数社が行った「プロジェクト99」の中にある「クロノマチック」というムーブメントがあり、こちらも世界初の自動巻クロノグラフといわれています。
3つ目の世界初の開発を行ったのはSEIKOの「Cal.6139」というムーブメントも世界初の自動巻クロノグラフの1つといわれています。

 

エル・プリメロの評価

なぜここまで「エル・プリメロ」が評価されているか気になりませんか?
「エル・プリメロ」が評価されているポイントは3つあるとされています。
1つ目は「歴史」2つ目は「ニックネーム」3つ目は「構造の特異性」という大きなポイントがあるので、こちらについてご紹介を行います。

※エル・プリメロの歴史


歴史①|世界初のクロノグラフ

先ほどご紹介しましたが、この「エル・プリメロ」は世界初の自動巻クロノグラフといわれています。
1969年。世界初の自動巻クロノグラフをどこが開発できるかと競っていた時代の1月10日に「モバード・ゼニス」が「エル・プリメロ」を発表しました。

同年に誕生した自動巻クロノグラフは他にも2つ存在しますが、「エル・プリメロ」の発表が1番早かったといわれています。
ただ発売は遅延し、この3つの中では1番遅かったとされています。


歴史②|復活のストーリー

「エル・プリメロ」の歴史で素晴らしいのは世界初だけではありません。
復活のストーリーも素晴らしいので、こちらもご紹介させていただきます。

「エル・プリメロ」が登場したのは1969年ですが、ちょうどこの頃の時計業界では「クォーツショック」というクォーツ時計が普及したことで、機械式時計が淘汰されていくという出来事がありました。
その中でゼニスも経営が苦しくなり、一度アメリカ資本に売却されます。
アメリカ資本が入ると「クォーツの時代なのだから、機械式の製造設備や設計図は破棄しろ」という命令があり、ゼニスは機械式時計「エル・プリメロ」の生産背景すべてを破棄せざるをえない状況となりました。

しかし、当時クロノグラフの開発責任者だった「シャルル・ベルモ」はこの命令に背き、膨大な設計図や金型をすべて屋根裏に隠したというのが有名なお話です。

その後、再度スイス資本にゼニスが買い戻された際に、屋根裏に保管されていたこれらの資産のおかげで開発を再開することができたといわれています。
この復活のストーリーが、非常に評価されているポイントとなっています。


歴史③|ロレックスとの関係性

「エル・プリメロ」の歴史の中で絶対に語らなければいけないのは、「ロレックスがエル・プリメロを採用した」という点ではないでしょうか。
ロレックスは当時、クロノグラフのデイトナを手巻き式で製造していました。
そんな中、手巻きを自動巻クロノグラフに移行させるという世の中の流れがあった時に、自社で開発することも検討されたようですが、最終的に「エル・プリメロ」が採用されました。
「ロレックス デイトナ」は当時から人気のモデルだったので、知名度もあり、「エル・プリメロ」という名前はすぐに有名になりました。


機械のニックネーム

この「エル・プリメロ」という名前ですが、モデルについた名前ではなく、ムーブメントに付いている名前だということは皆さんもご存じかと思います。
そして同時に他のムーブメントで名前の付いているものを思い浮かべられる方は少ないかと思います。
ムーブメントは「Cal.◯◯」と数字が使われることが一般的で、そこに+αで名前が付いているものはほとんどありません。

 

その中で「エル・プリメロ」というのは「世界初の自動巻クロノグラフ」ということで歴史的な偉業を達成する目的で作られている側面もあり、「Cal.3019PHC」という名前もありますが、「エル・プリメロ」はスペイン語で「No.1」という意味の名前を付けられました。
こうして当時歴史的な偉業を達成すると共に、ムーブメント名である「エル・プリメロ」という名前を打ち出していく戦略を取りました。

 

ちなみに同年に登場した「プロジェクト99」の自動巻クロノグラフである「Cal.11」には「クロノマチック」という名前が付いており、ライバル関係にあるムーブメントの両方にニックネームが付いているのは面白いポイントです。


構造の特異性

3つ目の評価されるポイントとして、構造の特異性を2点挙げたいと思います。

 

特異性①|キャリングアーム式クロノ

 

1つ目は「キャリングアーム式の自動巻クロノグラフ」であることが非常に大きな特徴だと思っています。
「エル・プリメロ」はキャリングアームというクロノグラフの動力を繋ぐ方式を、昔の手巻きクロノグラフ時代の構造をそのまま採用した自動巻となっています。

 

一般的にはクロノグラフの連結構造は自動巻の構造とスペースを取り合ってしまうので、繋ぎをコンパクトな構造にするためスイングピニオンや垂直クラッチが採用されます。
そんな中「エル・プリメロ」は昔ながらの仕様を貫き、かなり広大なスペースを使うキャリングアームである水平クラッチを採用しています。
伝統的な見た目や機構を使いながらも、自動巻化を実現させたのは「エル・プリメロ」のすごいポイントです。


特異性②|高振動+50時間駆動の両立

2つ目は「クロノグラフでありながら36,000振動であることと50時間パワーリザーブ」という長い駆動時間を実現している点です。
大前提としてクロノグラフは追加機能なので、動力を非常に消費してしまいます。
さらに36,000振動という高振動のため、ゼンマイのトルクも大幅に消費してしまいますが、この2つを両立しながらパワーリザーブが当時の一般的な時計よりも長く、初めてのクロノグラフなのにかなりのハイスペックを実現させている点が非常に特異的な部分です。

 

ちなみに当時の他の機械と比べると

このように「エル・プリメロ」がハイスペックであることがわかります。

また、一般的に性能を上げる際に機械サイズが大きくなってしまうことがありますが、「エル・プリメロ」は一般的な「直径30mm 厚み6.5mm」に収めている点もすごいポイントです。
主ゼンマイのエネルギーを非常に大きいトルクが出るものにしたことにより実現されており、当時の技術が非常に高かったことが伺えます。


ロレックス  デイトナ

最後に「ロレックス デイトナ」に搭載された「エル・プリメロ」についてお話しします。
ロレックスの「エル・プリメロ(Cal.4030)」はゼニスが作ったものをベースにさらなる改良が加えられており、いわば「高級エル・プリメロ」のような立ち位置へと進化を遂げています。

 

ロレックスは「丈夫・頑丈である」という思想がありますので、以下のような改良が施されています。

 

ロレックスはムーブメントに対し、約200点ほどの部品のアップデートを行ったと言われており、ベース機の面影を残しつつも、内部構造はロレックス独自の基準で徹底的に再構築されています。
1988年当時、ロレックスが「エル・プリメロ」を選んだのは、これまでの手巻き時代に「バルジュー」という高級機を使っていたため、自動巻でも相応のスペックを求めると、当時は「エル・プリメロ」しか選択肢がなかったのではないかと感じます。


最後に

今回は「エル・プリメロ」がどうして支持されているのかという点についてお話ししてきました。
歴史的にも構造的にも非常に面白い機械で、私自身も愛用している非常に思い入れのあるムーブメントなので、とてもおすすめしています。

 

この内容が皆さんの時計選びの参考になればと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。


 

 

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