高級腕時計の時計通信

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20.8.2025

スケルトン腕時計の魅力と注意点を徹底解説!ハイブランドの人気モデルも紹介

Komehyo

時計内部の機構が見えるスケルトン時計は魅力的ですが、購入時は何に注意すればよいのでしょうか。本稿ではスケルトン時計の種類や魅力を深堀り。ハイブランドの代表的なモデルを紹介しています。

あわせて、スケルトン時計ならではの注意点も紹介するなど、購入前に知っておきたい事柄をまとめています。後悔のないスケルトン時計選びに役立ててください。

 

スケルトン時計とは?

スケルトン(skeleton)は骨格や骸骨を意味する言葉ですが、時計においては内部の機構(ムーブメント)を鑑賞できるモデルを指します。

機械式とクオーツの両方にスケルトンは存在しますが、真価を発揮するのは機械式です。

規則正しく動くテンプや組み合わされた歯車、軸受けに輝くルビー、施された装飾などはほれぼれするほど。スケルトンになることを前提に設計された機構もあり、計算された歯車の位置や精緻な細工は一層の魅力を放ちます。

 

スケルトン時計の歴史

ごく初期のスケルトン時計で広く知られているのは、伝説の時計師・ブレゲとその息子がマリー・アントワネットのために、親子2代にわたって制作したものです。複雑さと美しさを併せ持つ、スケルトンの懐中時計が完成した時に、彼女は亡くなっていましたが、その姿は今なお時計ファンの熱い視線を浴びています。

そして、現代に生み出されるスケルトン時計も、多くのファンをひきつけてやまないもの。

とりわけハイブランドのスケルトン時計は、大きな魅力を持っています。

 

スケルトン時計の種類

スケルトン時計は、内部機構の見せ方によって4種類に分けられます。

周囲にもさりげなく機構の美しさをアピールしたい方はフルスケルトン、ご自身だけで楽しみたい方はシースルーバックなど、好みに合わせて選んでください。

 

フルスケルトン

文字盤を取り除き、内部の機構すべてがあらわになった時計のことで、内部機構の魅力を存分に楽しめます。

機構の美しい見せ方と並んで、メーカーの努力や技術は、視認性を高める工夫にも表れています。優れたフルスケルトンの時計ほど、不思議なほど時間を読み取りやすくなっています。

裏蓋にもガラスをあしらい、向こうが透けて見えるタイプも、フルスケルトンの一種です。

 

セミスケルトン

文字盤の一部だけを切り抜き、機構の部分を見せる時計のことです。文字盤の多くが残されており視認性が高いことと、フルスケルトンほど目立ちすぎず、控えめな印象を与える点が魅力です

ただ機構を見せるだけでなく、文字盤を複雑に切り抜き、デザインにユニークな効果を与えているタイプも存在しています。

 

オープンハート

セミスケルトンの一種で、機構の心臓部とされるテンプ部分のみを見せている時計です。テンプとは時計が時間を刻んでいる限り動き続けているパーツですが、規則的な動きには中毒性があり、オープンハートのモデルを求め続ける方もいるほどです。

スケルトン時計に通じることですが、しばらく使わなかった機械式時計が動作しているかを目視で確認できます。

 

スケルトン腕時計の魅力

 

すでに語ってきたスケルトン腕時計の魅力ですが、まだまだ語り尽くせていません。

ここからは、デザイン・機構の見える面白さ・所有欲に分けてお伝えしましょう。

 

デザイン

スケルトン時計の魅力は、何といっても特徴的なデザインです。ただ機構を見せるだけのものもありますが、中でもハイブランドのスケルトン時計は注目されています。

 

ジュエラー系のブランドは、コート・ド・ジュネーブやペルラージュなど、施されている装飾が見どころです。一見すると普通の時計ですが、裏蓋を開くとシースルーバックになっているモデルも存在しています。

 

一方で、高い技術が持ち味のブランドは、カーボンなど先端素材を用いた機構をアピールしているもの。見くらべると同じような機構のはずなのに、大きく印象が異なることに驚くことでしょう。

 

機構が見える面白さ

機構が見える面白さはスケルトン時計の魅力ですが、機構が複雑になればなるほど、その魅力は増していきます。

クロノグラフが好例ですが、さらに魅力的なのはトゥールビヨンやミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーの三大複雑機構を搭載したスケルトン時計です。

 

中でも、トゥールビヨンを目にした方は、その精緻な動きから神秘的な印象を与えます。

 

所有欲

スケルトン時計のいかにも精密機械という外観は、所有欲を刺激します。美しく複雑なものを所有したいという欲求や、着用時に注目を集める点も、スケルトン時計ならではの所有欲の高まりにつながります。

 

同じブランドや機械式時計であっても、スケルトンモデルはより強い所有欲を満たしてくれます。オーナーにしかわからないシースルーバック仕様の時計を、腕から外して眺めるひと時の喜びも、所有欲を満たしてくれる要素の一つといえるでしょう。

 

スケルトン腕時計の注意点

 

スケルトン時計は魅力に満ちている一方で、その特徴や構造ならではの注意点も備わっています。購入前に把握して確認することで、後悔のないモデル選びができるでしょう。

 

視認性

時計選びの条件の中で、視認性の高さを最優先にする場合は、スケルトン時計は候補から外れるかもしれません。具体的にはダイバーズウォッチやパイロットウォッチなど、視認性の低さが重大なトラブルに直結しかねないケースです。

 

とはいえ、スケルトン時計を手掛けるブランドは針に異素材を用いる、インデックスを立体化する、特殊な塗料を用いるなど視認性向上の工夫がされています。、そのため、購入後に後悔しなためにも、可能なら購入前に現物を確認することをおすすめします。

 

価格

一般的に、スケルトン時計の価格は高めです。通常なら目に触れない機構を鑑賞に耐えられるよう、パーツに装飾を施したり、特別な素材で製造したりするため、高度な技術と製造コストが必要になるからです。

 

それだけに、スケルトン時計はコストパフォーマンスを求める方に向かないかもしれません。美しい機構を目の当たりにできることに、コスト以上の価値を機構の美しさに見いだせる方向きの時計です。

 

耐久性

耐衝撃性や経年劣化において不安を感じるのがスケルトン時計です。

機構の骨組みを削り取って部品を露出させたり、裏蓋など本来なら金属製のものをガラスに置き換えることが多いためです。

 

ただし、スケルトン時計が壊れるような強い衝撃や部品の劣化は時計全般で問題になり、スケルトン時計特有の問題とはいえません。

 

メンテナンス性

スケルトン時計だからといって、特にメンテナンス性が劣るわけではありません。三針やクロノグラフのモデルなら、通常のモデル同様にメンテナンスが可能です。

 

しかし、トゥールビヨンなどの複雑機構を搭載しているモデルは別です。スケルトンかどうかに関わらず、修理やオーバーホールは製造したブランド以外で対応できない場合が多く、時間や費用も多くかかります。

 

スケルトン腕時計の人気モデル

 

「スケルトン時計の種類」では4つの種類を解説しましたが、ここからはそれぞれの種類で人気の高いモデルを見ていきましょう。

 

いずれもハイブランドの時計であり、簡単には手が出ないものも含まれていますが、美しい見た目と優れた機能を両立したものばかりです。実物を目にすれば、スケルトン時計の真価が感じられることでしょう。

 

フルスケルトン:Hublot(ウブロ)「 ビッグ・バン ウニコ スケルトン」

「ビッグ・バン ウニコ スケルトン」は、ウブロが初めて自社開発した機構、「ウニコ」を存分に楽しめるコレクションです。クロノグラフ機構の「ウニコ」が発表されたのは2010年で、ウブロの技術力と、見た目の美しさも話題になりました。

 

「ビッグ・バン ウニコ スケルトン」には、さまざまな素材を用いたケースとのコントラストが楽しめるラインナップになっています。

 

ウブロ

ウブロは1979年創業という比較的若いブランドですが、チタンやセラミック、カーボンなど、従来は時計に使われていなかった素材を取り入れ、組み合わせる手法でセンセーションを巻き起こしました。船の小窓をイメージしたフェイスは、コレクションの多くに共通しています。

 

時計ファンの心をつかんだのは、象徴的なコレクション「ビッグ・バン」の存在です。スケルトンのシリーズはさらにアグレッシブなものとなっているほか、ビジネスにも使える「クラシック・フュージョン」や、正方形ケースの「スクエア・バン」も人気となっています。

 

フルスケルトン:Audemars Piguet(オーデマ ピゲ)「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ セルフワインディング フライングトゥールビヨン」

「CODE 11.59」は、2019年にオーデマ ピゲが発表したコレクションです。CODEはChallenge(挑戦)、Own(継承)、Dare(追求心)、Evolve(進化)の頭文字を組み合わせたもので、11.59は次の日へと移り変わる直前の時間を表しています。

過去のレガシーを継承しつつ、次の次元へと高めていく意気込みを持つコレクションといえるでしょう。

 

フライングトゥールビヨンの発明者は、ドイツの時計師アルフレッド・ヘルウィッグです。彼は1920年代にこの機構を開発しました。
フライングトゥールビヨンは、従来のトゥールビヨンとは異なり、ケージの上部を支えるブリッジがないのが特徴です。これにより、トゥールビヨンの動きがより際立ち、まるで宙に浮いているかのように見えるため、「フライング(空飛ぶ)」という名前がつけられました。「CODE 11.59 フライングトゥールビヨン」は複雑機構の神秘的な動きを、目の当たりにできます。

 

オーデマ ピゲ

オーデマ ピゲは世界3大高級時計の一つに数えられるブランドで、1875年に創業しています。ブランドが展開するのは、ラグジュアリースポーツ「ロイヤルオーク」と過去のコレクションにインスパイアされた「リ・マスター」そして「CODE 11.59」の3つです。

 

中でも「ロイヤルオーク」の成功は、ブランドの認知を時計ファン以外にも広げました。コレクションはいずれも伝統を感じさせると共に、アヴァンギャルドさも漂わせるものとなっています。

 

オープンハート:フレデリック・コンスタント(Frederique Constant)「クラシック ハートビート」


※画像はハイライフシリーズです。

フレデリック・コンスタントを象徴する「クラシック ハートビート」は、文字盤の12時位置付近にムーブメントのテンプが見える“オープンハート”デザインを採用した代表的なシリーズです。

この“オープンハート”という表現を時計の世界に広めたのも、フレデリック・コンスタントの功績といわれています。従来から懐中時計などでテンプを見せる設計は存在しましたが、「トゥールビヨン」のような複雑機構とは異なり、“通常のテンプを見せる”ことにフォーカスしたデザインとして、フレデリック・コンスタントが1994年に打ち出したこのスタイルは、オープンハートという呼称を一般化させた先駆的存在です。

クラシカルなケースデザインやローマンインデックス、エレガントな仕上げが特徴で、「時計の鼓動」を視覚的に楽しめるモデルとして、時計愛好家からエントリーユーザーまで広く支持されています。

 

フレデリック・コンスタント

フレデリック・コンスタントは、1988年にスイス・ジュネーブで創業した比較的新しい高級時計ブランドです。“Accessible Luxury(手の届くラグジュアリー)”を掲げ、高品質なスイス製ムーブメントと洗練されたデザインを、比較的手頃な価格帯で提供しています。

革新的なオープンハート機構や自社製キャリバーの開発にも積極的で、伝統と革新を融合したものづくりが魅力です。トゥールビヨンを除けば、テンプ部分を見せる構造を量産モデルに落とし込んだ先駆者といえる存在であり、オープンハートを象徴するブランドとして知られています。

 

まとめ

 

スケルトン時計は、ブランドの実力が現れやすいモデルです。

ハイブランドのスケルトン時計を目にすれば、ブランドが愛されている理由が理解でき、高額な値札にも納得できるはず。複雑機構を搭載しているものなら、なおさらです。

 

とはいえ、スケルトン時計に欠点がないわけではありません。

中でも視認性は、通常のものよりも低いのが一般的なので、実物を確かめてからの購入をおすすめします。

 

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