コロナでファッション観が変わる!「ソーシャルグッド」がスタンダードに
「ソーシャルグッド(Social Good)」とは、地球環境や地域のコミュニティなど、社会へ良い影響を与える製品や活動のことです。企業の活動や広告がソーシャルグッドであることは、新たな時代のトレンドになりつつあります。ここではソーシャルグッドとそれに関連する言葉、ソーシャルグッドの具体的な事例を紹介します。
目次
ソーシャルグッドとSDGs
SDGsとは、貧困や格差をなくすこと、地球環境を守ることなどが盛り込まれている、国連で定められた開発目標のことです。一方、ソーシャルグッドはSDGsの目標を参考にし、どの項目を達成するか決めて行動するというもの。ここでは、ソーシャルグッドとSDGsの関係性について解説します。
SDGsとは
SDGsとは、2015年の国連サミットで決められた、「Sustainable Development Goals」の略です。和訳すると、「持続可能な開発目標」となります。SDGsは国連に加盟している193の国が、2016年から2030年の15年間で達成する17の大きな目標と、それらを達成するための169の小さな目標で構成されています。
17の大きな目標には、貧困をなくすこと、質の高い教育を広めること、気候変動に対処すること、地球の資源を守ることなどが含まれ、世界が抱える諸問題を包括。現在、SDGsを達成することは世界のトレンドとなっており、日本政府や企業も目標達成のためにさまざまなアクションを起こしています。
SDGsを達成するためのソーシャルグッド
ソーシャルグッドは、企業の製品・サービスのみを指す言葉ではなく、個人や団体を問わず、SDGsを達成するための活動や、SDGsを広める活動もソーシャルグッドに含まれます。SDGsが目標であるのに対し、ソーシャルグッドは目標を達成するためのさまざまな活動全般を指すということです。地域のコミュニティや環境にとって良い行動をすれば、そのアクションはソーシャルグッドと言えるでしょう。
ソーシャルグッドの事例①海外
ソーシャルグッドには、具体的にどのような活動があるのでしょうか。ソーシャルグッドは国や自治体が主導して取り組んでいるものから、企業や民間団体が実施しているものまでさまざまです。ここでは、海外で取り組まれているソーシャルグッドの事例を紹介します。
Speaking Exchange/ブラジル
ブラジルの英会話教室では、「Speaking Exchange」という活動を実施しています。ブラジルの公用語はポルトガル語であり、英語は学ばないと話すことができません。
英会話教室では、現役を引退して話し相手を求めるアメリカのお年寄りが、ネイティブの英語を学びたいブラジルの子ども達に向けて、英語の先生としてネットで出会える場所を提供しています。SDGsの17項目のうち、4の「質の高い教育をみんなに」へつながるソーシャルグッドな取り組みです。
生ゴミの堆肥化を義務化/アメリカ
アメリカのバーモント州では2020年7月より、生ゴミをゴミ箱へ捨てることを禁止しました。生ゴミが堆肥化されず埋立地へ送られると、温室効果ガスが長期間発生し、気候変動の要因となるためです。
それに伴い、バーモント州では生ゴミの堆肥化が義務となり、家庭へのコンポストの設置や、食品ロスをリサイクル業者に送ることなど、具体的な生ゴミの処理方法を政府が案内しています。これはSDGsの17項目のうち、13の「気候変動に具体的な対策を」へつながるソーシャルグッドと言えるでしょう。
ソーシャルグッドの事例②アパレル業界
さまざまな企業や自治体がソーシャルグッドな取り組みを行うなかで、リサイクルした素材で作られたストッキングを販売するなど、アパレル業界でもソーシャルグッドな取り組みが活発化。ここでは、アパレル業界が取り組んでいるソーシャルグッドな活動について紹介します。
Sustainable k3/ケイスリー
国内外のアパレルブランドを取り扱うケイスリーでは、ソーシャルグッドなアイテムを扱う新ブランド「Sustainable k3(サスティナブルケイスリー)」を開設。リサイクルしたナイロンで作られたストッキングを取り扱うなど、環境に優しいファッションを推し進めています。
ストッキングの多くは、石油を原料としたナイロンから作られており、作る過程で環境に負担がかかるだけでなく、完成した製品も大量に廃棄されているのが現実です。リサイクルした素材で作られたストッキングを履くことは、地球環境を守るソーシャルグッドへとつながるでしょう。
Sustainable k3の商品はネット通販の他、新宿高島屋など百貨店の婦人雑貨売り場や、、期間限定ストアで購入できる場合もあります。
UNIQLO PARK/ファーストリテイリング
ファーストリテイリングは、ユニクロとジーユーの合同店「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」をオープンしました。「地元密着型の公園」をコンセプトとし、テラスには子ども向けの滑り台やジャングルジム、ボルダリング、クライミングなどが設置されています。
館内には、ユニクロが取り組むソーシャルグッドを紹介するエリアや、プレイスペースを設置。プレイスペースの遊具には地産地消の観点から、神奈川県産の木材を使用するなど、SDGsのなかでも幅広い種類の目標に向けて取り組んでいます。
その他、ファーストリテイリングでは衣類のリサイクル、環境に配慮した衣類の製造、労働環境の整備など、ソーシャルグッドな取り組みを積極的に行っており、先駆的な企業と言えるでしょう。
ローカルグッドとスペースグッド/無印良品
無印良品は、2018年にソーシャルグッドを担当する事業部を設立し、行政と協力しながら、より良い社会を目指す活動に取り組んでいます。ソーシャルグッド事業部は、「ローカルグッド」担当と「スペースグッド」担当の2つの部門に分かれているのが特徴。
ローカルグッド担当は、高齢化によって縮小していく経済を活性化させるため、「里のMUJI みんなみの里」という複合施設を自治体から受託して運営し、地元の生産者から農産物を仕入れて販売したり、「Café & Meal MUJI」で使用したりしています。
スペースグッド担当は、空き家や廃校を地域の人が交流する場所として活用するなど、眠っている空間を有効利用する取り組みを実施中です。
ソーシャルグッドの事例③個人の取り組み
企業や団体だけでなく、個人でもソーシャルグッドな取り組みに参加することは可能です。具体的な事例を参考にすれば、ソーシャルグッドを実践するヒントが見つかるかもしれませんね。最後に、個人によるソーシャルグッドの事例を紹介します。
アイス・バケツ・チャレンジ
「アイス・バケツ・チャレンジ」は、2014年に個人の発信によってアメリカで始まり、ソーシャルメディアを通して世界中へ広まった活動です。活動内容は、難病である筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の研究を支援するために、氷水が入ったバケツの水を頭からかぶるか、アメリカALS協会に寄付をするか選択するというもの。
ビル・ゲイツなどの著名人や政治家も参加し、前年同時期の何百倍もの寄付金を集めるとともに、ALSの存在を世界中の人々に知って貰うことに成功しました。
ソーシャルグッドな製品の購入
ソーシャルグッドな製品を購入することや、ソーシャルグッドな取り組みを行っている企業を応援することも、私達にできるソーシャルグッドな行動と言えそうです。
例として、雑貨店のクローリッシュでは、南アフリカのブランド「Whimsical Collection」を仕入れて販売しています。このブランドは生産過程をすべて南アフリカで行っており、アフリカの女性の雇用を作りだすとともに、アフリカの絶滅危惧種を保護するための寄付も実行中。
これらの商品を購入することや、ブランドの存在を周りの人へ勧めることも、ソーシャルグッドの実践になるでしょう。
ソーシャルグッドな製品を選択しよう!
新型コロナにより、製品を購入する時に環境への負荷を考える人が増加しています。製品を買う際は、それを作る企業が社会のためになる活動をしているかどうか、調べてから購入することも、ソーシャルグッドな行動になるでしょう。私達にできることから、ソーシャルグッドな取り組みを暮らしに取り入れていきたいですね。