ファッションの新潮流、ビーガンファッション。定義や選び方のポイントとは
「ビーガン」と聞くと、動物性食品を避ける食生活が浮かぶ人が多いかもしれませんが、近年ファッションにもビーガンの流れが見られます。本記事では、ビーガンファッションの定義や実例を解説するとともに、実際に取り入れているブランドについて紹介。さらにビーガンファッションの選び方も提案します。
目次
ビーガンファッションとは
ビーガンファッションとはどういったものなのでしょうか。現在のファッション業界での位置付けや、まだ新しい分野であるがゆえの課題も紹介します。
ビーガンファッションの定義
毛皮(ファー)や皮革(レザー)などの動物由来の素材ではなく、植物由来の素材を使った地球に優しいファッションのこと。植物由来の素材には、「オーガニックコットン」「フラックスリネン」「海藻繊維」「リヨセル」「モダール」などがあります。石油産業に次いで環境汚染を生み出すといわれるファッション業界には、サステナビリティーが求められており、ビーガンファッションはその一環として注目されているのです。
ビーガンファッションの注目度は上昇中
2018年8月に初の100パーセントビーガンファッションショー「BARE FASHION」がロンドンで開催されました。動物愛護のみならず、環境問題や社会問題のサステナビリティーに取り組む複数のブランドがビーガンファッションを展開しました。 ロサンゼルスでも2019年2月に、「ビーガンファッションウィーク(V/FW)」が開催。ヨーロッパ・北米を中心に広がったビーガンファッションですが、現在は世界各地で関心が高まっています。
ビーガンファッションの現状
ファッション業界でもまだ新しい分野のビーガンファッションには、いくつかの課題もあります。例えば、地球環境に配慮することを目的としているにもかかわらず、ビーガンファッションは必ずしも地球に優しいとは言い切れません。オーガニックコットンやヘンプなどの天然素材は土に還せるのでエコですが、動物を使わない代わりに作ったビーガンレザー素材(フェイクレザーなど)には、石油や化学薬品などの有害物質が使われているのです。
さらに化学繊維由来のリサイクル繊維は、プラスチック同様に自然に還ることがないので、廃棄の問題は解消できません。そういった素材の洗濯時のマイクロファイバー流出による海洋汚染も問題視されています。
それでも、ビーガンファッションに取り組むブランドは地球環境に配慮した幅広い活動をしていることが多いので、ビーガンファッションを取り入れたブランドの商品を購入することはエシカルな選択と言えそうです。
ビーガンファッションを展開するブランド
ビーガンファッションを取り入れているブランドと、それぞれの具体的な取り組みとは。有名ブランドから、チェックしておきたい最新ブランドまでお届けします。
GUCCI
1921年にイタリアで誕生した世界的ブランドのGUCCIは、2017年10月にファーフリー宣言を行っており、高級品質の証でもあったリアルファーをやめるという大きな決断で世界的に注目されました。世界的ブランドのGUCCIがそのような活動に乗り出したことにより、毛皮の為に屠殺される動物に焦点が当たるようになり、人々のビーガンファッションへの関心が高まりました。
Stella McCartney
元ビートルズのポール・マッカートニーの娘、ステラ・マッカートニーが設立した、サステナブルを代表するブランドです。デザイナーのステラ本人が厳格なビーガンで動物愛護家であり、自身の思想をブランドに反映させています。アニマルクルーエルティーフリーの素材のみを使用している他、レディースウェアの半分以上にリサイクル素材を用いています。
ARMANI
1975年創業の世界的高級ブランドARMANIもビーガンファッションを取り入れているブランドです。環境問題にいち早く取り組むGUCCIよりも先にビーガンファッションを取り入れ始め、創立者ジョルジオ・アルマーニが2016年の秋冬コレクションでファーフリー確約を宣言。他ブランドもこれに追随しました。
Anastasia Bones
ビーガンファッション業界でも勢いがあり、注目度が非常に高いAnastasia Bones。最先端のビーガンファッションを展開するマイアミ発のファッションブランドです。ブランドのオーナーでデザイナーでもあるボーンズは、18歳の時にファッションブランドのマネージャーに就任し、その後22歳で自身のブランドAnastasia Bonesのマネージャーになりました。使用するのはアニマルフリーの素材のみで、デザイン性も高く、モノトーンでありながらもキュートさも持った独特のスタイルが賞賛されています。
Save the duck
2013年にイタリアの老舗仕立て屋が創業した、ダウンジャケットがメインのアパレルブランドです。ダウンの採取時に生きたままで羽をむしり取る「ライブハンドプラッキング」の残酷性が問題視され、ダウンを拒否する消費者が増えている欧州において、それに逆行する動きを見せているのがこのブランドです。アヒルがトレードマークで、SAVE THE DUCK=あひるを救え、をコンセプトに打ち出しています。使用する素材はすべてアニマルフリーという徹底ぶりで、中綿にはダウンの代わりにプラムテックと呼ばれるハイテク素材を使用しています。ファッション性、速乾性、通気性に優れるこちらのブランドのダウンジャケットは、日本でも通販で購入可能です。
VEGAN CLUB
VEGAN CLUBは、ビーガン・アート&ビーガン・アパレルを主軸にしたブランドです。動物愛護と環境保護を掲げており、素材がアニマルフリーなだけでなく、ビーガンを取り入れることを推奨したメッセージや、ビーガンのライフスタイルを持ったアイコンをプリントしたTシャツなどのファッションアイテムを展開しています。さらに動物愛護と環境保護がコンセプトのアートを飾ったり、アイテムを身につけたりすることで、意識の向上や周りへの啓蒙をブランドの目的としています。
ビーガンファッションの選び方
ビーガンファッションはまだ馴染みがなく、選び方がわからない人も多いことでしょう。そこで、実際に購入する時に参考になるポイントを紹介します。
使用されている素材で選ぶ
ビーガンファッションの主となる素材はプラントベースの天然繊維や人工繊維です。それらが使われているかどうかはタグを見れば分かります。タグに以下の素材が記されたものはビーガンファッションと言えます。
●オーガニックコットン
●海藻繊維
●コルク
●ソイシルク
●ベジタブルカシミヤ
●フラックスリネン
●ヘンプ繊維(麻)
●レーヨン
●タイベック
●リサイクルポリエステル・ナイロン
●ビーガンレザー(フェイクレザー)
●竹
●ビスコース
ビーガンの認証マークを参考にする
ビーガンの公式認証マークも商品選びの参考になります。素材のことが分からなければ、認証マークを確認しましょう。国や地域によって異なりますが、ビーガンファッションが盛んな国の代表的なマークは以下の通りです。
・PETAビーガン認証マーク (アメリカ)
(PETA=the People For the ethical treatment of animals foundation)
・Vegan Society ひまわりマーク (イギリス)
・EVE VEGAN 認証マーク(フランス)
ビーガンファッションを学び、エシカルな消費をしよう
ビーガンファッションは比較的新しい分野で課題もあるのが現状ですが、サステナビリティーのための前向きな動きであることに違いありません。私達個人が、ビーガンファッションの定義や正しい選び方を知って、地球に優しいエシカルな消費を実践しましょう。