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13.12.2025

【5桁時代】エクスプローラーⅠ(Ref.14270)に隠された3つの「謎」!?

Komehyo

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

皆さんは5桁の「ロレックス エクスプローラーⅠ」をご存じでしょうか?

この5桁というのは昔の「エクスプローラーⅠ」の型式が5桁だった頃の総称ですが、この頃の「エクスプローラーⅠ」には幾つか「謎」が存在します。

今回はこの「謎」となぜそうなったのかという考察を交えながらご紹介させていただきます。

ぜひ、皆さんも「謎」について考えながらご覧ください。


【目次】

5桁の「エクスプローラーⅠ」とは

・3つの謎について

①「3・6・9」にだけ夜光塗料が塗布されていない

∟(考察①)夜光塗料が「3・6・9」だけ塗布されない理由

②Cal.3000の違和感

∟(考察②)なぜ日付の有無でムーブメントを分けたのか

③なぜ「クロノメーター」を通しているのか

∟(考察)「エクスプローラーⅠ」のみ「クロノメーター」をなぜ通したのか

・なぜそもそも「疑問」が生まれてくるのか

・5桁の「エクスプローラーⅠ」のご紹介

・最後に

 


5桁の「エクスプローラーⅠ」とは

まず5桁の「エクスプローラーⅠ」について知らない方も多いと思いますので、こちらのご紹介です。

現行モデルの「エクスプローラーⅠ」は型式が6桁となっており、5桁のモデルは1990年〜2001年まで販売されており、今から3世代前のモデルの総称です。現行モデルでは大・小のサイズが選べますが、当時は36mmサイズのみの展開でした。

この「エクスプローラーⅠ」はファンの方も多く、シングルトリチと呼ばれる、「シングルクラスプ・シングルバックル・トリチウム夜行塗料」が使われているタイプがビンテージ感も合って好きだという人も多いです。

その他の初期モデルでは「ブラックアウト」や「オンリースイス」など同じ5桁の「エクスプローラーⅠ」でも時代によって様々なモデルがあるので、そんな多色性の部分が好きという方もいらっしゃいます。

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

 


3つの謎について

ここからが本題です。
この「エクスプローラーⅠ」には疑問点が大きく分けて3つあります。

①「3・6・9」にだけ夜光塗料が塗布されていない

「エクスプローラーⅠ」のインデックスには「3・6・9」という数字がありますが、最初はブラックアウトという黒いペイントが入ったり、メタル剥き出しにしたり、その後は白いペイントが入ったりと3つのパターンがあり、最終的には白いペイントで落ち着くこととなりました。
ですが、こちらはあくまでペイントで夜光塗料が塗布されておらず、視認性を求めるのであれば夜光塗料の方が見やすいはずなのに採用されていません。
ここで不思議なのは、「3・6・9」以外の他のインデックスには夜光塗料が塗布されている点です。
まずはこちらの謎について私の考察をお伝えします。

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

(考察①)夜光塗料が「3・6・9」だけ塗布されない理由

結論として「エクスプローラーⅠ」の「3・6・9」に夜光塗料が塗られていないのは

「暗所でも綺麗な左右均等のシンメトリーにしたかった」

という点を大事にしていたことが予測されます。

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

 

文字盤のインデックスを見ていただくと「3・6・9」以外の部分は12時側に三角形のインデックスと残りはバーインデックスになっていて、それ等のインデックスには夜光塗料が塗布されています。
それぞれのモデル毎でも違いますが、ブラックアウトに至ってはこの「3・6・9」を黒く塗ってしまい、さらに文字盤も黒なので、この意図を読み取ると

「3・6・9」には目立って欲しくない!

というロレックスの思いがあったのではないでしょうか。そして、その思いを逆算すると、「3・6・9」以外のインデックスには目立ってほしいという思いがあるので、「3・6・9」以外のインデックスだけで見てみると、均等なシンメトリーが見えてきますよね。

「エクスプローラーⅠ」は冒険者ウォッチとして売り出している点も相まって、暗い場所でも均等を見て美しいと思ってもらいたい!という思いが伝わってきます。


②Cal.3000の違和感

「エクスプローラーⅠ」には「Cal.3000」というムーブメントが採用されていますが、実は同時期の日付ありのモデルには「Cal.3135」というムーブメントが搭載されています。

本来であれば、日付ありのムーブメントから日付機能を外せば良いだけですが、そうせずわざわざ日付なしのムーブメントを採用しているという謎があります。

ちなみにこの後に出てくる114270という型式の「エクスプローラーⅠ」には日付ありのムーブメントの日付なし仕様が作られています。

そして「Cal.3000」と「Cal.3135」の違いですが、日付有りのキャリバーには「ブレゲ髭」という巻上げ髭が使われていますが、日付なしのキャリバーには「ひら髭」を使っているため、この部分も謎になっています。

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

(考察②)なぜ日付の有無でムーブメントを分けたのか

なぜムーブメントを分けたかを考察していくと、

「ロレックスは戦略的にエントリーモデルを作りたかったのではないか」

という結論に至りました。
当時の背景から考察していくとわかりやすく、1990年代はまだバブル時代の名残があり、人気だったのはラグジュアリーかつドレッシーなモデルでした。

なので、スポーツモデル人気を獲得するべく、戦略的に手にしやすい価格で幅広くかってもらえるよう、あえて購入しやすいグレードを用意したのではないでしょうか。

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。


③なぜ「クロノメーター」を通しているのか

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

 

こちらが最後の疑問点です。この「エクスプローラーⅠ」は「Cal.3000」なのに、なぜか「クロノメーター」を通しているという謎があります。

この「Cal.3000」というキャリバーは他のモデルでも搭載されており、他のモデルでは「クロノメーター」は通していません。

例えば「Cal.3000」は「サブマリーナ」のノンデイトモデルや「エアキング」に搭載されていますが、「クロノメーター」は通されていません。

(考察)「エクスプローラーⅠ」のみ「クロノメーター」をなぜ通したのか

スポーツモデルかどうかが「クロノメーター」を通すか通さないかの判断をした時、先ほどのように「サブマリーナ」では通されていないので、違います。
ではなぜ「エクスプローラーⅠ」だけが「クロノメーター」を通過しているのでしょうか。
それは
「エクスプローラーⅠが機能を何も持っていないから」
だと考えられます。
「サブマリーナ」と比較すると、スポーツモデルらしく、ダイバーズウォッチとして「回転ベゼル」や「防水性」と行ったダイバー機能があります。
ですが、「エクスプローラーⅠ」の機能はどうでしょうか?
視認性が高く、冒険者のための時計として登場しているものの、それ以外の機能は何もありません。
そうすると、スポーツモデルとして打ち出しているのに、スポーツモデルらしさはどこにもないことになってしまいます。
だからこそ「クロノメーター」を通すことで、精度の高さを証明して、冒険者ウォッチもスポーツモデルであることの情報の補完として利用されていることがわかります。


・なぜそもそも「疑問」が生まれてくるのか

ここまで3つの謎についてご紹介してきましたが、「なぜ」このような疑問がそもそも生まれてくるのでしょうか。
それはロレックスと「エクスプローラーⅠ」にアンバランスさを感じる点にあります。
例えば先ほどのように「エクスプローラーⅠ」では「実用性を高たい!」とメーカー側が打ち出しているにもかかわらず、「3・6・9」の視認性を落としてみたり、「精度の高い仕様にしています!」と言いながら、「Cal.3000」に使われているのは「ひら髭」だったりと、思いと時計にアンバランスさを感じる部分が多々あります。

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

 

このアンバランスさがでてしまったのは、当時のロレックスの方向性の迷いがあったからなのではないかと私は考察しています。
なぜそう思うかというと、今だと「3・6・9」にも夜光塗料が塗布されていますし、日付の有無によってキャリバーの違いがないので、現代は思いと時計の整合性は合っているからです。
やはり5桁の「エクスプローラーⅠ」の時代は整合性が少しおかしかったように感じます。
ですが、こういった違和感も当時のセミビンテージのような面白さがあるので、今では魅力に変わっているのもファンが多い理由ではないでしょうか。


5桁の「エクスプローラーⅠ」のご紹介

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。

 

今回お持ちしたのはX盤のタイプですので、1990年前後のタイプとなっています。
まず夜光塗料はトリチウムなので、文字盤の6時側の1番下に「T>25」と印字されています。
インデックスをみていただくと、少し色が退色しているため、ベージュがかった夜光塗料となり、当時らしい味わいになっています。
そしてクラスプ・留め具については90年代前半はシングルクラスプになっています。
シングルクラスプはロックなしで開閉するタイプで、この時代のトリチウムの夜光塗料が使われているモデルをシングルトリチと一般的には呼ばれています。

※掲載のアイテムは、KOMEHYO独自で買取り・仕入れ・販売しているアイテムの一例です。


最後に

皆さんはこの5桁の「エクスプローラーⅠ」についてご意見をお持ちですか?
もしお持ちであれば、コメント欄で教えてもらえると嬉しいです。

当社KOMEHYOでは今回のシングルトリチだけではなく、5桁の「エクスプローラーⅠ」のようなセミビンテージの時計を多数取り揃えております。
WEBで気になるモデルを選んでいただいて、お近くの店舗に取り寄せるサービスもございますので、是非ご活用ください。
また、時計には1点1点個体差がございます。
その点も合わせてご覧ください。


 

 

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