アルマーニとはどのようなブランド?歴史やブランド展開の種類などを解説

アルマーニの歴史とは

アルマーニの歩みは、イタリアンファッションの進化とともに語られるべき存在です。1970年代のヨーロッパにおけるモード界に新風を吹き込み、その後の数十年間で「エレガンス」「機能性」「モダン」という価値観を世界に広めました。

1980年代には、ハリウッド映画『アメリカン・ジゴロ』での衣装提供を通じて、アルマーニの名はアメリカ市場にも一気に浸透。その結果、イタリアブランドとしては異例のグローバルブランドへと成長を遂げていきました。

創業者のジョルジオ アルマーニとは

ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は、1934年にイタリア・ピアチェンツァに生まれました。もともとは医学を志していた彼ですが、後にファッション業界へと転身。

1957年から1964年までの間、ミラノの老舗百貨店「ラ・リナシェンテ」でウィンドウドレッサーやバイヤーとしての経験を積みました。この時期に磨いた色彩感覚や素材選びのセンスが、後のデザイン活動の基礎となります。

1965年には、イタリアのファッションブランド「セルッティ」のメンズラインである『ヒットマン』のデザイナーとして起用され、本格的にデザインの世界へと進出。

1975年には、自身の名を冠したブランド「GIORGIO ARMANI」を立ち上げ、デザイナーとしての地位を確立しました。

アルマーニのはじまり

1970年、アルマーニは自身の名義で独立し、フリーランスのデザイナーとして複数ブランドに関わるようになります。そして1975年、ジョルジオ・アルマーニは建築家セルジオ・ガレオッティの共同出資によりジョルジオ・アルマーニ社が創業されました。

メンズウェアからスタートし、その革新的なデザインは瞬く間に話題となり、特にジャケットやスーツにおいては“構造を脱構築”するという新しい発想をもたらしました。

ウィメンズコレクションの発表

1975年にアルマーニブランドとして最初のメンズコレクションを発表し、クラシックでモダンなスタイルが話題を呼びました。そして翌1976年春夏シーズンには、メンズをメインとしつつ、ウィメンズを数体組み込んだミックス形式で初のランウェイショーを開催します。

この試みは、従来の性別にとらわれない新しいスタイルの提示として評価され、ファッション界に新風を吹き込みました。

さらに、メンズコレクションからわずか3ヵ月後には、正式なウィメンズラインとして初のウィメンズコレクションを発表。そこでは、男性のワードローブにインスピレーションを得たジャケットやパンツスタイルなど、当時としては斬新だったユニセックスな要素を取り入れたレディースウェアが登場しました。

この先進的なアプローチは、後の“働く女性”のスタイル形成に大きな影響を与えることとなります。

アルマーニは6種類ある?違いとは?

アルマーニには、現行のものと過去にあったものを合わせると6つのラインがあります。それぞれの主な違いは、価格帯とブランドの方向性です。

価格帯が違う

アルマーニには複数のブランドラインが存在し、それぞれの価格帯は大きく異なります。

現行ラインには

  • GIORGIO ARMANI(ジョルジオ アルマーニ)
  • EMPORIO ARMANI(エンポリオ アルマーニ)
  • ARMANI EXCHANGE(アルマーニ エクスチェンジ)

の3つがあります。現在は終了しているラインとして

  • ARMANI COLLEZIONI(アルマーニ コレツィオーニ)
  • ARMANI JEANS(アルマーニ ジーンズ)
  • EA7(イーエーセブン)

を含めて、6つの主要なラインが展開されていました。

これらのラインは、高級路線のブランドとリーズナブルな価格帯のブランドに分かれており、特にEMPORIO ARMANIやARMANI EXCHANGEなどの安価ラインでは、若者をターゲットにしたトレンド性の高いアイテムが豊富に取り揃えられています。

たとえば、ハイエンドの「GIORGIO ARMANI」はスーツ1着で30万円以上することもありますが、「ARMANI EXCHANGE」では2〜3万円台のカジュアルウェアが中心です。

ブランドの方向性が違う

それぞれのラインは、ターゲット層やスタイル、アイテムの用途に応じて展開されています。フォーマルからカジュアル、スポーツラインやライフスタイルにまで広がっており、多様なニーズに応えるブランド展開がなされています。

特に、アルマーニの6つの主なラインは、方向性に応じて大きく3つに分類することができます。

GIORGIO ARMANI 年齢層は高め
フォーマルデザインに特化
ARMANI COLLEZIONI
EMPORIO ARMANI 若年層向け
フォーマル、トレンドデザイン
ARMANI JEANS
ARMANI EXCHANGE 若年層向け
カジュアル・スポーツスタイル
EA7

また、各ラインは世界中の市場動向や文化的背景を意識したうえで設計されており、国や地域ごとに展開戦略が調整されているのも特徴です。

6ライン別ブランド詳細

ここでは、アルマーニの6つのラインの特徴についてもう少し詳しく見ていきましょう。

GIORGIO ARMANI(ジョルジオアルマーニ)

1975年の設立当初から続くアルマーニのファーストラインであり、ブランドを象徴するメインラインが「GIORGIO ARMANI(ジョルジオ アルマーニ)」です。このラインは、ジョルジオ・アルマーニの名を冠するすべてのブランドの中でも最も高級で、アルマーニ全体の中でも中核をなす存在です。洗練されたデザインのビジネススーツやポロシャツなどのアイテムが中心で、フォーマルかつエレガントな雰囲気が特徴です。

他のラインに比べて価格帯は高く、スーツ1着あたり30〜50万円以上に達することもめずらしくありません。

主に富裕層をターゲットとしており、ファッション業界でも「アルマーニのスーツを着ることが一流の証」と言われるほど、ステータスの象徴となっています。

EMPORIO ARMANI(エンポリオアルマーニ)

1981年に発表された「EMPORIO ARMANI(エンポリオ アルマーニ)」は、若年層や都会的なスタイルを求める層に人気のセカンドラインです。モダンでトレンド感のあるデザインが多く、価格帯はスーツで10〜20万円程度と、GIORGIO ARMANIよりも手の届きやすい設定となっています。

また、時計や下着、アイウェア、バッグなどのアクセサリー類も豊富に展開しており、日常からビジネス、フォーマルまでトータルコーディネートが可能です。

EMPORIO ARMANIは、全アルマーニブランドの中でも最も流通量が多いと言われており、世界中の百貨店やショッピングモールでの取り扱いも豊富です。若者向けでありながらもエレガントなフォーマル感を兼ね備えており、10代後半から30代まで幅広い年齢層から支持を集める人気ラインです。

ARMANI EXCHANGE(アルマーニエクスチェンジ)

より若い世代やファストファッションに近い感覚で楽しめるラインで、特に10代から20代前半の若者層に向けた商品展開が特徴です。Tシャツやデニムなどのカジュアルアイテムが中心で、価格帯も1万円台が多く、初めてのアルマーニとして手に取りやすい設定となっています。

また、ブランドロゴには「A|X」が用いられており、モダンでスタイリッシュな印象を与えます。

ARMANI EXCHANGEは、ストリートファッションや音楽カルチャーとの親和性が高く、Z世代やSNS世代からも厚く支持されています。女性向けアイテムも数多く取り揃えており、メンズ・レディース問わず幅広いファッションスタイルに対応できる点も魅力のひとつです。

ARMANI COLLEZIONI(アルマーニコレツィオーニ)

1981年に発表された「ARMANI COLLEZIONI(アルマーニ コレツィオーニ)」は、アルマーニの高級ラインの中でも「GIORGIO ARMANI」に次ぐセカンドラインとして展開され、主にビジネスパーソン向けの高品質なスーツやジャケットを中心としていました。GIORGIO ARMANIよりもやや手の届きやすい価格帯ながら、上品で堅実なデザインと着心地の良さが人気を集めていました。

しかし、2017年にアルマーニブランド全体の再編がおこなわれたことにともない、このラインの生産は中止され、現在は「EMPORIO ARMANI(エンポリオ アルマーニ)」のラインに統合されています。

ARMANI JEANS(アルマーニジーンズ)

1981年に発表された「ARMANI JEANS(アルマーニ ジーンズ)」は、エンポリオ アルマーニよりもさらに若者向けで、カジュアルなデニムスタイルを中心とした低価格ラインとして展開されました。ジーンズをはじめとするラフで動きやすいアイテムを揃え、10〜20代の若者層から高い支持を集めました。

しかし、2017年のブランド再編によりこのラインは休止され、現在はそのコンセプトを引き継ぐ形で、エンポリオ アルマーニの一部としてデニムアイテムが展開されています。

ジーンズを中心にしたスタイルを楽しみたい方には、現在のエンポリオ アルマーニにおけるデニムラインがおすすめです。

EA7(イーエーセブン)

2000年代に登場したエンポリオ アルマーニのスポーツラインで、Tシャツをはじめ、スニーカーやトレーニングウェアなど、スポーツシーンに特化したアイテムを幅広く展開しているのが「EA7(イーエーセブン)」です。スポーツラインに特化したブランドで、機能性とデザイン性を兼ね備え、プロスポーツ選手やアスリートにも支持されています。

最近ではサステナブル素材を活用したアイテムの導入も進んでおり、環境配慮とパフォーマンスの両立が図られています。

アルマーニはファッションだけではない

アルマーニの魅力は衣服だけにとどまりません。ファッションブランドとして築いた世界観をもとに、香水やアクセサリー、ホームインテリア、さらにはオートクチュールに至るまで、幅広い領域で事業を展開しています。

香水・アクセサリー

アルマーニはファッションだけでなく、香水やアクセサリー分野でも高い評価を受けています。1980年代頃から本格的に香水とアクセサリーの展開を開始し、香水は現在も特に女性を中心に人気が高く、長年にわたって多くの愛用者を獲得してきました。

ジュエリーや時計も洗練されたデザインで、ギフト需要も高いです。ファッションと調和した一貫性のある世界観が人気の理由のひとつです。なお、アルマーニのフレグランスは男性用・女性用ともに豊富なラインナップを揃えており、季節やシーンに合わせて使い分けられる点も魅力です。

インテリア

アルマーニは「Armani/Casa(アルマーニ カーサ)」というインテリアラインも展開しています。ラグジュアリーな家具、照明、インテリア小物などを手がけ、ホテルや高級住宅への導入実績もあります。

シンプルでありながらも素材や質感にこだわる美意識は、ファッションと同じく「エレガンスの体現」として評価されています。

オートクチュール

「Giorgio Armani Privé(ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ)」は、ハイファッションの最高峰ともいえるオートクチュールラインです。

毎年パリ・オートクチュール・ウィークにて発表されるコレクションは、世界のセレブやハリウッドスターから注目を集めており、レッドカーペットでの着用率も高く、グラミー賞やカンヌ映画祭での登場シーンも話題となっています。

これらのドレスは一着一着が職人の手作業によって仕立てられており、アートとしての価値も高いと評価されています。

メンズアイテムのイメージが強いが、レディースアイテムも豊富

ジョルジオ・アルマーニ自身が長年にわたり紳士服に携わってきた背景もあり、ブランド創業当初はメンズアイテムを中心に展開していました。しかし現在では、アルマーニのレディースラインも非常に充実しており、ファッションの多様性を象徴する存在となっています。特にジョルジオ アルマーニやエンポリオ アルマーニでは、ジャケットやドレス、シューズ、バッグなどのレディースアイテムが幅広く展開され、ビジネスからフォーマルまで対応可能です。

なかでも人気のあるドレスやワンピース、バッグ類は、タイムレスかつ上品なデザインで女性の魅力を引き立たせてくれると高く評価されています。素材選びやシルエットの工夫にもこだわりが見られ、着る人の体型に合わせて美しく見せる設計がなされています。

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