4.6.2025
キングセイコー | グランドセイコーにはない、その魅力とは?
Komehyo
皆さんは「KING SEIKO」という名前をご存じですか?
「SEIKO」には「GRAND SEIKO」という上位モデルがあることはよく知られていますが、実はもう一つ、「KING SEIKO」という上位モデルも存在します。
今回は、あまり知られていない時計「KING SEIKO」について、また「GRAND SEIKO」との違いも含めて、その魅力を詳しくご紹介します。
【目次】
KING SEIKOとはどんなモデル?
「SEIKO」からは1960年に「GRAND SEIKO」が登場し、その翌年の1961年には「KING SEIKO」も発売されました。
「KING SEIKO」はしばらくの間、人気モデルとして作り続けられていましたが、1970年代にクォーツ時計が普及し始めると、一度生産が終了しました。
しかし2000年に限定2000本で復刻され、その後、2022年には現行ブランドとして完全に復活を果たしています。
SEIKOの歴史
「KING SEIKO」を語るうえで欠かせないのが、「SEIKO」の歴史です。
かつて「SEIKO」は、2つの拠点で時計づくりをしていました。
もともと「SEIKO」は東京を中心に時計を作っていましたが、戦時中に疎開を余儀なくされ、長野県諏訪市へ移りました。
戦後、この諏訪市の拠点は「諏訪精工舎」として独立し、元々あった東京・亀戸の「第二精工舎」と合わせて、2つの拠点体制となりました。
両者は切磋琢磨しながら、それぞれの時計を作り続けてきました。
そして、この2つの拠点から生まれたのが「GRAND SEIKO」と「KING SEIKO」です。
1960年に諏訪精工舎から「GRAND SEIKO」が誕生し、翌1961年には第二精工舎から「KING SEIKO」が発売されました。
こうして2つの時計はライバル関係となりましたが、それぞれに異なる魅力があります。
その違いについては、次の項目で詳しくご紹介します。
KING SEIKOの2つの魅力
「KING SEIKO」には大きく分けて2つの魅力があります。
①ヴィンテージ人気の作品を現行モデルで味わえる
②「GRAND SEIKO」に対して価格優位である
この2点について、解説していきます。
①ヴィンテージ人気の作品を現行モデルで味わえる
現在、ヴィンテージの「KING SEIKO」には多くのファンがいます。
そんな人気の「KING SEIKO」のヴィンテージデザインを、現行モデルで採用し、現代風にアレンジして再現しています。
②「GRAND SEIKO」に対して価格優位である
「KING SEIKO」と「GRAND SEIKO」はどちらも「SEIKO」の上位シリーズとして登場しましたが、販売当時から「KING SEIKO」の方が価格が安めでした。
現在もその傾向は変わらず、「GRAND SEIKO」の機械式現行モデルはエントリーモデルでも約55万円ほどですが、「KING SEIKO」なら約20万円台前半から機械式現行モデルを購入できます。
この価格の違いによって、より多くの人が手に取りやすくなっている点は、大きな魅力だと思います。
KSK復刻モデル
実際に復刻された「KSK」というモデルを見てみましょう。
【当時と変わらない部分】
ラグ部分:多面カットで、一部に鏡面仕上げが施されているのは当時のデザインを踏襲しています。
ロゴ:文字盤の側面にある「KING SEIKO」の文字も当時と同じです。
インデックス:立体的な形状で、12時位置のバーインデックスにはライターカットのデザインが施されています。
針:立体的なドルフィン針を採用しています。
ハック機能:当時のKSKで最新だった、秒針停止機能(ハック機能)も今回のモデルに搭載されています。
【追加された現代的な要素】
文字盤に変更点があります。
当時はシンプルなシルバー色の文字盤でしたが、現行モデルでは青のグラデーション文字盤をはじめ、さまざまなデザインが追加されました。
文字盤の選択肢が増えたのは、現代ならではの特徴と言えます。
3つの現行モデル
「KING SEIKO」の魅力についてお伝えしてきましたが、ご紹介したように、「KING SEIKO」はヴィンテージ時代のテイストを現代に復刻している点が大きな魅力です。
現在、「KING SEIKO」のホームページでは、復刻モデルが3種類発表されています。ここで簡単にご紹介します。
・KSK
先ほど紹介した「KSK」は、1960年代半ばに登場した2代目「KING SEIKO」の復刻シリーズです。
現行モデルはムーブメントが2種類あり、価格帯も異なります。
1つ目は「6R系」のムーブメントを使ったモデルで、価格は約20万円台前半です。
この「6R系」モデルには、日付なしと日付ありの2タイプがあります。
2つ目は「6L35」というムーブメントを搭載したモデルで、こちらは約40万円前後の価格帯です。
「6L35」は精度が高いだけでなく、厚さが約1mm薄くなり、針の仕上げやデザインにも微妙な違いがあります。
・KS1969(45KCM)
こちらは昨年復刻されたモデルで、1969年に登場した「45KCM」シリーズの復刻です。
特徴は「シーラインケース」と呼ばれるトノー型(樽型)のケースデザインです。
【KING SEIKO 公式ホームページ-KS1969-はこちら】
・バナック(2025年7月発売予定)
2024年に「KS1969」が復刻されましたが、その次の復刻モデルとして「バナック」が発表されました。
私も情報をチェックしましたが、新たに「8L35」というムーブメントが搭載されるとのことで、とても楽しみにしています。
この「8L35」というムーブメントは、「GRAND SEIKO」の「9S」ムーブメントを、「GRAND SEIKO」以外のモデルで使う際の名称です。
おそらく「8L35」をブラッシュアップしたものが「バナック」に搭載されると予想されています。
パワーリザーブや精度が向上しているということで、非常に期待できるモデルです。
【KING SEIKO 公式ホームページ-バナック-はこちら】
編集長の想い(※あくまで個人の意見です。)
ここまで「KING SEIKO」についてお話ししてきましたが、ここからは私の個人的な期待や意見をお伝えしたいと思います。
私が感じているのは、「KING SEIKO」にはまだ明確な軸が見えにくいということです。
だからこそ、消費者にもわかりやすい「KING SEIKO」らしい軸を持ってほしいと考えています。
具体的には、「KING SEIKO」が手巻きムーブメントをメインに扱うシリーズになってほしいと思っています。
現在、「GRAND SEIKO」は価格帯で差別化されていますが、その中のメカニカルラインには手巻きモデルもあります。つまり、手巻きモデルは自動巻きのサブ的な存在になっている印象です。
それならば、自動巻きは「GRAND SEIKO」、手巻きは「KING SEIKO」という役割分担のほうが、それぞれの個性がはっきりして魅力的になると思います。
もうひとつ、手巻きで勝負してほしい理由があります。
「KING SEIKO」にはヴィンテージの名作「45KS」というモデルがあります。
この「45KS」に搭載されているムーブメントは、ヴィンテージの中でも珍しい【10ビート 36,000振動】の高精度な手巻き機械です。
さらにゼンマイのトルクも強く、ヴィンテージファンにはよく知られた名機で、「KING SEIKOといえば手巻き!」というイメージが今でも根強く残っています。
つまり、「KING SEIKO」は手巻きムーブメントとの相性も良く、ファンのイメージにも合うため、わかりやすいブランドの軸になり得るのです。
私はぜひ、【SEIKOが本気で作る手巻きモデルをKING SEIKOで見てみたい!】と期待しています。
最後に
今回は「KING SEIKO」についての解説と、私の意見をお伝えしました。
「KING SEIKO」にはぜひ注目していただきたいポイントがたくさんあります。
また、「KSK」の項目でご紹介した「違い」についてですが、「KOMEHYO」ではお取り寄せサービスもご利用いただけます。
厚みやデザインなど、それぞれのモデルに違いがあるので、実際に並べて見比べてみるのもおすすめです。
詳しくは、お近くの店舗スタッフまでお気軽にご相談ください。
また、今回の内容は、YOUTUBEでも公開しています。
是非そちらもご覧ください。
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