高級腕時計の時計通信

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11.6.2025

グランドセイコー「白樺」の魅力を徹底解説!

Komehyo

グランドセイコー・白樺は魅力的な時計です。SLGH005、SLGA009、SLGH017という3つのモデルごとの解説で魅力の理由を解説。セイコーのモノづくりの姿勢も紹介しています。

 

あわせて、2025年5月の買取相場やリセール率も掲載しており、グランドセイコー白樺を資産価値の面からも考察できる内容となっています。

 

グランドセイコー「白樺」とは

  

 

グランドセイコー・白樺とは、白樺林を表現した文字盤を持つモデルのことです。

似たような文字盤のモデルはほかにもありますが、ここでは「SLGH005」「SLGA009」「SLGH017」の3つをあつかっています。

 

グランドセイコー白樺の人気は高く、一時は品薄で入手困難でした。

印象的な文字盤とあわせて、グランドセイコー独自のムーブメントを搭載していることや、新たなテイストで全体がデザインされていることが理由でしょう。

 

新たなデザインとは、グランドセイコーの独自のエボリューション9スタイルによるものです。

新たなインデックスや特徴的な針などからなっており、美しさとあわせて時間の読み取りやすさや着け心地も考慮したものとなっています。

 

グランドセイコー「白樺」の魅力を紹介!

ここからは3つのモデル、「SLGH005」「SLGA009」「SLGH017」それぞれの白樺の魅力を紹介していきますが、その前に共通する文字盤のデザインについて触れておきましょう。

 

グランドセイコーになかったアイコニックなデザイン

3つのグランドセイコー白樺に共通するのは、一目でそれとわかる、従来のグランドセイコーにはなかったアイコニックな文字盤デザインです。

平行に並ぶ多数のラインは、金型による型打ちと塗装によって立体的に表現されており、それぞれが異なる白樺林の情景をイメージしています。

3モデルを並べて、その微妙な違いを見比べてみるのも、きっと楽しい体験になるでしょう。

 

「SLGH005」の魅力

2021年に登場したSLGH005は、最初のグランドセイコー白樺です。

2021年に時計業界最高峰のアワードであるジュネーブ・ウォッチグランプリのメンズウォッチ賞に輝き、世界的な注目を集めました。

 

岩手県の壮麗な白樺林をモチーフにした文字盤

SLGH005の文字盤は、岩手県にあるグランドセイコーの製造拠点「グランドセイコースタジオ・雫石」のそばに広がる白樺林をモチーフにしています。

この広大な白樺林には、31万本以上の木々が群生しているといわれています。保護活動も行われており、セイコーももちろんその取り組みに参加しています。

 

【グランドセイコースタジオ・雫石とは】

機械式のグランドセイコーを専門に手掛ける、ブランド誕生60年の節目・2020年にオープンしたスタジオです。

設計したのは建築家・隈研吾氏で、ブランドのフィロソフィ「THE NATURE OF TIME」を具現化したものとなっており、完全予約制で一般公開もされています。

 

機械式ムーブメントCal.9SA5搭載

SLGH005に搭載されているムーブメント・Cal.9SA5が登場したのは2020年で、次の2つが大きな特徴です。

 

  • ・GSS基準をクリア
  • ・80時間のパワーリザーブ

 

【GSS基準をクリア】

Cal.9SA5は、世界的な精度基準であるクロノメーターを上回る、グランドセイコー独自のGSS(Grand Seiko Standard)基準をクリアしています。平均日差-2秒〜+4秒という驚異的な精度を実現しており、1日あたり2~4秒ほどしか誤差が生じません。

 

【80時間のパワーリザーブ】
パワーリザーブとは、ゼンマイを最大まで巻き上げた状態で時計が連続して動く時間のことです。Cal.9SA5では2つのゼンマイを搭載することで、3日間を超える80時間のパワーリザーブを実現しています。

長時間にわたり高い精度を維持するために、セイコーならではの先進技術が惜しみなく注ぎ込まれています。

 

「雫石川仕上げ」が施されたムーブメント

スケルトンになったSLGH005の裏蓋からのぞくのは、高い機能性だけでなく美しさもあわせもつムーブメント・Cal.9SA5です。

Cal.9SA5の全面にはストライプが彫刻されていますが、これはグランドセイコースタジオが立地する町の清流をイメージしたもので「雫石川仕上げ」と名づけられています。

また、Cal.9SA5全体は細かなパーツの組み合わせでできていますが、これはグランドセイコースタジオから望める岩手山をモチーフにしたものです。

 

Cal.9SA5の美しい外観はスタジオ周囲の自然環境をデザインに落とし込んだ結果。存分に楽しめるのは、オーナーだけの特権といえるでしょう。

 

「SLGA009」の魅力

機械式モデルSLGH005の翌年に登場したSLGA009は、スプリングドライブを搭載したモデルです。

ディテールには違いがあるものの、SLGH005と同様に白樺林をイメージした文字盤が採用されており、こちらも高い人気を誇っています。

 

長野県の白樺林の静けさをモチーフした文字盤

スプリングドライブ搭載のSLGA009と、機械式のSLGH005では、それぞれの文字盤のディテールが異なります。これは、それぞれ異なる白樺林をモチーフにしているためです。

SLGA009は信州・時の匠工房の近くに広がる白樺林がモチーフとなっており、SLGH005が壮麗さを感じさせるのに対し、SLGA009は静けさや繊細さを感じさせるデザインとなっています。

 

【信州・時の匠工房とは】

長野県にあり、スプリングドライブやクオーツ時計の製造・開発を行う、初代グランドセイコーの伝統を受け継ぐ製造拠点です。

スプリングドライブのほか、グランドセイコーが搭載する高精度クオーツムーブメント「9Fシリーズ」を開発したことも、信州・時の匠工房の特筆すべき業績の一つです。

 

スプリングドライブキャリバー9RA2搭載

SLGA009に搭載のスプリングドライブムーブメント、Cal.9RA2の主な特徴は、次の2つです。

 

  • ・月差±10秒の高精度
  • ・120時間のパワーリザーブ

 

【月差±10秒の高精度】

スプリングドライブの大きな魅力は、機械式時計では実現できない高い精度にあります。Cal.9RA2では、1カ月の稼働で生じる誤差が10秒以内に収まります。

約20年の歳月をかけて開発されたスプリングドライブは、ゼンマイの動力を水晶振動子で制御することで、機械式とクオーツの“いいとこ取り”を実現しています。

 

【120時間のパワーリザーブ】

5日間もの長時間、巻き上げの必要がないのも大きな特徴です。これはCal.9SA5同様、2つのゼンマイを搭載しているためですが、Cal.9RA2では内部機構の見直しにより、さらに長い120時間のパワーリザーブを実現しています。

 

「信州霧氷仕上げ」のムーブメント

スプリングドライブ搭載のSLGA009も、機械式のSLGH005と同様にスケルトン仕様の裏蓋が採用されており、Cal.9RA2の美しいムーブメントを鑑賞することができます。

Cal.9RA2に施されているのは「信州霧氷仕上げ」で、モチーフは霧氷に覆われた木々と、その隙間から覗く星空です。これは、信州・時の匠工房が位置する初冬の自然からインスピレーションを得たものです。

また、各パーツのエッジやネジ頭、軸受の石を収める穴には、ダイヤモンドチップによる研磨が施されています。信州霧氷仕上げとの美しいコントラストを生み出しており、こうしたデザインは外装と同じデザイナーによって手掛けられています。外装同様にムーブメントも美しく仕上げられていることが、Cal.9RA2ならではの魅力と言えるでしょう。

 

「SLGH017」の魅力

ブラック文字盤のSLGH017は、SLGH005に似ているようで、実は大きく異なるモデルです。

同じ白樺林からインスピレーションを受けながらも、まったく異なる表情や質感、そして使い心地を持つ一本に仕上げられています。

 

夜闇に浮かぶ白樺林をモチーフにした文字盤

SLGH017で採用されたブラックの文字盤は、夜の白樺林がモチーフです。

SLGH005と同じくグランドセイコースタジオ・雫石の近くに広がる白樺林にインスパイアされていますが、まったく異なる表情に仕上がっています。

立体的な型打ちと塗装を組み合わせて両者の違いを表現できるのは、セイコーの高い技術力のあらわれでしょう。

 

【ケースにはチタンを採用】

SLGH017とSLGH005の違いは、文字盤だけではありません。

SLGH005がケースやブレスレットにステンレススチールを採用しているのに対し、SLGH017はブライトチタン製を採用し、重さは約114gと、約178gのSLGH005に比べて35%以上軽量化されています。

SLGH005とは異なる質感や使い心地に加え、ブライトチタンは金属アレルギーが起こりにくい素材である点も、SLGH017の魅力です。

 

メカニカルキャリバー9SA5搭載

SLGH017にはSLGH005と同じムーブメント、Cal.9SA5が搭載されていますが、その先祖に当たるCal.9S55は1998年に誕生しました。

 

2009年発表のCal.9S85でおこなわれたのは、より高い精度の追求です。機械式時計の心臓部・テンプの振動数を8回/秒から10回/秒に増やすハイビート化をおこなっています。

2010年発表のCal.9S65では、タイムリザーブの延長がおこなわれましたが、Cal.9SA5の開発では両方のムーブメントの長所をあわせ持ち、上回ることが目標とされました。

 

その結果、実現したのは平均日差-2秒〜+4秒という驚きの精度と、80時間という長いタイムリザーブです。SLGH017のCal.9SA5にも「雫石川仕上げ」が用いられており、申し分ない見た目となっています。

 

グランドセイコー白樺は入手困難?

グランドセイコー白樺は、それまでのグランドセイコーにはなかったアイコニックなデザインを持ち、国際的な時計賞の受賞や著名人の着用によって大変な人気を集めました。
入荷してもすぐに売り切れてしまい、店頭で見かける機会が少なかったのは、どの白樺モデルも熟練した職人の手で生み出されており、簡単に増産できなかったためです。

現在は製造体制が見直され、以前より安定して供給されるようになっています。
また、機械式で深いグリーンの文字盤を持つSLGH011(グリーンバーチ)も高い評価を得ています。

 

グランドセイコー「白樺」のリセール・買取相場

2025年5月現在、グランドセイコー白樺の定価と買取相場は、次の表のとおりです。

 

型式 特徴 税込定価 買取相場 リセール率
SLGH005 機械式・ホワイト文字盤 127万6,000円 〜75万円 ~59%
SLGA009 スプリングドライブ 127万6,000円 〜77万円 ~61%
SLGH017 機械式・ブラック文字盤 146万3,000円 〜79万円 ~54%
SLGH011 機械式・グリーン文字盤 127万6,000円 ~81万円 ~63%

 

 

グランドセイコー「白樺」のリセール率について

 

型式 リセール率
SBGH271 ~50%
SBGH273 ~51%
SBGK007 ~47%
SBGK009 ~53%

 

上記の表は、ほかのグランドセイコーのリセール率の一例で、平均すると50%程度です。グランドセイコー白樺のリセール率は2025年5月現在~63%なので、ほかとくらべると高いことに気付くでしょう。

 

リセール率とは新品の買取価格が、購入価格に占める割合のことです。100万円で購入した時計が60万円で売れた場合、リセール率は60%になります。入手困難だったころの白樺のリセール率は100%を上回っていましたが、現在はずいぶん落ち着きました。

 

グリーン文字盤のSLGH011が高いリセール率なのは、ホワイトやブラック文字盤の白樺と異なり、市場に出回っている本数が少ないからでしょう。

 

グランドセイコー「白樺」の買取相場は~70万円程度

グランドセイコー白樺の買取相場は、上記で紹介した通り新品の場合の上限価格です。多少使用感のある個体であれば、70万円前後と考えておけば、極端に期待を裏切られることはないでしょう。

ただし、70万円程度の高額買取を狙うには、よい状態を維持することと、付属品をしっかり揃えておくことが大切です。
状態維持のためには、着用後にマイクロファイバークロスなど柔らかい布で全体をやさしく拭くとよいでしょう。
また、箱や保証書、ブレスレットの調整で外したコマなど、すべての付属品を揃えてから査定に出すことで、高い評価が期待できます。

 

まとめ

グランドセイコー白樺は非常に高い人気を誇り、一時はリセール率が100%を超えることもありました。その理由は前述の通りですが、特に大きかったのは、白樺モデルの象徴である文字盤の美しさと強い存在感です。

これは従来のグランドセイコーにはなかった特徴であり、時計ファンだけでなく、これまで時計に興味がなかった人々にも強くアピールしました。

現在は供給数も増えていますが、それでもリセール率が高水準を維持しているのは、グランドセイコー白樺の魅力の証しと言えるでしょう。

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