今さら聞けない”セカンドライン”って何?
■セカンドラインってどういう意味?
セカンドラインとは、販売対象を広げる為に、新しく立ち上げられたブランドになります。
では、なぜ名前を変えてでもセカンドラインを立ち上げるのでしょうか?
それは、既存顧客を失わないためではないかと考えています。
セカンドラインの特徴として、以下の内容があります。
・ブランドイメージを損なわないように、素材の品質をワンランク落として、メインブランドより販売価格を低く展開する
・メインブランドよりデザインのテイストを変化させ、メインブランドとは異なるファッションを体現している
つまり、既存の顧客からすると、メインブランドに求めていた魅力とは違う商品コンセプトになる為、名前を変更することは、顧客の離反を防ぐ為の方法と言えるのではないでしょうか。
■メインブランドとセカンドラインの位置づけ
製品単価が高く、ハイエンドなメインブランドと異なり、セカンドラインは若い世代をターゲットにするケースがほとんどです。
その為、価格帯もメインブランドと比較すると手頃な設定になっていて、顧客をセカンドラインを通して、メインブランドへステップアップさせるストーリーとなっています。
参考例としては、「ヴァレンチノ」と「レッド ヴァレンチノ」がそのストーリーに当てはまるのではないかと考えています。
ドレスで30万円以上の価格帯が中心のヴァレンチノガラヴァーニと違い、レッド ヴァレンチノはその半額程度の10万円前後の価格帯が中心です。
それは品質を落とすということではなく、着る人をイメージして明確にコンセプトを分けた結果ではないでしょうか。そして将来的にヴァレンチノのドレスを着ることをイメージしているのではないかと思います。
■セカンドラインとアウトレットの役割
2000年代より日本国内にも急速に広がったアウトレットモール。
現在では、プラダ、グッチ、サンローラン、コーチなど数多くのブランドが出店しています。
価格が手頃なセカンドラインとアウトレット製品は混同しがちですが、それぞれ役割は異なります。
アウトレットは、一般的にメインブランドそのままの名称で出店されているケースが多く、値下げ販売を行うことで、最終的な販売経路としての役割を持つことが多いです。
それに対してセカンドラインは、メインブランドと異なるコンセプトで製造されているため、最終的な販売経路という役割ではなく、メインブランドでコミュニケーションできない顧客を獲得するための入口としての役割になっています。
■セカンドラインは、今後も続く?
10年前からブランドのセカンドラインは減少傾向になっているといえます。
その理由は、メインブランドへの統合もありますが、セカンドラインがもつ機能をアウトレットモールという販路が補完し始めたことが原因だと思います。
アウトレットモールが台頭してきた当時、コーチなど生産数が多いブランドのみが出店・展開され、ヨーロッパブランドの展開は殆どありませんでした。
その後、アウトレットという販売経路が広く消費者に受け入れられるにつれ、現在では、グッチ、プラダ、サンローランなど数多くのブランドがアウトレットモールで展開するようになり、セカンドラインを作らなくてもメインブランドでアウトレット用アイテムを作る、というケースが多くなってきているように感じます。
■セカンドラインの代表的なブランド
ミュウ ミュウ
1993年、プラダの創業者「マリオ・プラダ」の孫娘である「ミウッチャ・プラダ」によって、メインブランドであるプラダの姉妹ブランドとして誕生しました。
素材の品質は、メインブランドであるプラダと比べても変わりがなく、価格もさほど変わりませんが、モダンなデザイン性によって幅広い年齢層に支持を受けています。
グッチ ガーデン
クリエイティブディレクターである「アレッサンドロ・ミケーレ」によってオープンした店舗”グッチ ガーデン”で販売されているラインです。
フランスのフィレンツェにある1店舗のみで展開されているラインの為、日本国内の直営店では展開されていないアイテムばかりです。
メインブランドのアイテムに装飾を加えた、希少なアイテムも展開されています。
マーク BY マーク・ジェイコブス
過去にルイヴィトンのクリエイティブディレクターに就任した「マーク ジェイコブス」によって誕生した、デザイナーと同名のブランド「マーク バイ マークジェイコブス」。
こちらをブランドのセカンドラインとしました。
メインブランドと比べ、カジュアルテイストで安価な価格帯が若年層を中心に支持を受けましたが、2015年にメインブランドと統合されました。
■まとめ
ブランドを幅広く普及する為に、立ち上げられたセカンドライン。
ミュウミュウにもあるように、意外なブランドと接点をもつケースがあります。
名前が少しだけ違うけど、何か意味があるの?と疑問に思った方は今回の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。