【環境問題】マイバッグだけじゃない。プラスチックごみ削減のために出来ること
プラスチックごみが引き起こす環境汚染は、海洋生物を始め、人体や経済にまで影響を及ぼすシリアスな問題。私達ひとりひとりがプラスチックごみ問題について知り、ごみの削減に貢献することが重要となるでしょう。今回は、プラスチックごみの環境問題から、毎日の生活でプラスチックごみを減らす方法、企業のゴミ削減例について紹介します。
目次
プラスチックごみの現状
プラスチックは化学的に安定している物質であり、通常は私達の健康に害を及ぼしません。しかし、廃棄後は自然によって分解がなされず、燃やすと有毒ガスが発生するケースもあることから、プラスチックごみが環境や人体に与える影響が問題となっています。
プラスチックとは
プラスチックは、基本的に私達の健康へ害を及ぼしません。ただし製造する過程で安全対策が十分でないと、有害な物質が生じ、健康に害をなす可能性もあります。
多くのプラスチックには添加剤が使われていますが、その中には人体に有害な物質もあるのが実情です。プラスチックを本来の用途以外や、決められた温度や圧力を超える環境で使った場合には、有害物質が出る恐れがあるので、注意しなければなりません。
環境への影響
木材や金属と違い、プラスチックは自然の中に放置しても、腐ったり錆びたりしないのが特徴です。プラスチックを分解できる微生物が自然界にはいないため、山や海に捨てると環境汚染の原因に。
またプラスチックは燃やすと有毒ガスを発生するものがあり、ダイオキシンの発生が環境問題となっています。人間のホルモンと似た、環境ホルモンと呼ばれる物質が体に取り込まれると、人体に影響を及ぼすためです。環境ホルモンと考えられている物質には、いくつか種類がありますが、ダイオキシンも環境ホルモンの一種とされています。
廃棄されたプラスチック
高温に耐えられる焼却炉が建造され、ダイオキシンを出さずにプラスチックの焼却もできるようになりました。またプラスチックごみを回収し再利用する動きもありますが、未だ多くのプラスチックが、処分場に埋め立てられているのが現状です。
プラスチックが燃えた際に発生する二酸化炭素は、温暖化の要因のひとつとも言われています。プラスチックは私達の生活に欠かせないものですが、最終的にゴミに出すことまで考えて、購入や使用を検討する姿勢が求められるでしょう。
プラスチックごみによる環境問題とは
世界中で、プラスチックごみによる環境汚染が問題化しています。特にプラスチックごみが細分化して、マイクロプラスチックという形状になると回収が難しく、海洋生物・経済・人体の広い範囲へ影響を及ぼします。ここではプラスチックごみによって、どのような問題が起こっているのか解説します。
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックとは、細かい粒子となったプラスチックごみのこと。マイクロプラスチックは2種類に分類され、ひとつは一次マイクロプラスチックと呼ばれる、小さいサイズで製造された、洗顔料に含まれるスクラブなどのプラスチックのこと。一次マイクロプラスチックは、自然界に流出すると回収が困難となるため、できるだけ企業が製造しない、消費者が使わないといった対処法が考えられます。
もうひとつは二次マイクロプラスチックと呼ばれ、もともと大きなサイズで作られたプラスチック製品が、自然界に流出した後に、しだいに破壊され最小サイズになったものです。プラスチックごみを不法投棄しない、リサイクルに出す、マイクロサイズになる前にゴミ拾いするなどが有効な対策となるでしょう。
海洋生物への影響
世界中の海でマイクロプラスチックが見つかり、魚などの海洋生物へ与える影響が心配されています。困ったことに、微細な粒子のマイクロチップは海に沈みやすく、遠くの沖合まで広がりやすい性質です。プラスチックはどの生物も消化できないため、プランクトン、小魚、大型の魚へと食物連鎖し、最終的に魚を食べる動物や、人間の体内に入ってしまいます。
経済への影響
プラスチックごみは、経済へも影響を与えています。
たとえばマイクロプラスチックによって汚染された海には客足が遠のき、観光業の収入が減少するでしょう。
他にも海苔やチリメンジャコなどの水産物にマイクロプラスチックが混ざると、除去が困難になって漁業を営む人の負担が増加します。
漁網にゴミが絡って網が破損したり、海洋生物がかからなくなったりすることもあります。
ゴミ回収の負担や漁業への影響、ゴミが原因の船舶事故などを合わせると、膨大な経済的損失が発生していると言えます。
人への影響
プラスチックは、人体への影響も懸念されています。マイクロプラスチックが海に流出すると、有機塩素系農薬、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害な海洋汚染物質を吸着してしまうことがわかっています。マイクロプラスチックを摂ることによる、人体への影響は未だ解明されていませんが、もし悪影響があるとしたら、その影響は長期的・慢性的なものとなるでしょう。
またプラスチックの素材そのものにも、フタル酸エステル、ノニルフェノールなど、環境ホルモンとされる物質が含まれています。環境ホルモンは、胎児や発達期の子どもに対して、さまざまな病気を引き起こす可能性があるとWHOが警告しており、EUではフタル酸エステルなどの使用・生産に対して、制限が存在するほどです。
プラスチックごみ削減のために出来ること
世界中で環境問題となっているプラスチックごみですが、きちんと分別すれば、資源としてリサイクルすることが可能です。私達ひとりひとりが日常で無理なく実践できる「3R」の取り組みを紹介します。
3Rという取り組み
3Rとは、Reduce(リデュース、ゴミを減らす)、Reuse(リユース、再使用)、Recycle(リサイクル、再資源化)の頭文字を表し、循環型の社会を目指すためのキーワードです。
ゴミをできる限り減らし、ゴミの焼却や埋め立てによる環境への負担を減少させること、地球の資源を大切にし、リユース・リサイクルによってひとつのものを繰り返し使うことにより、循環型社会の実現を目標としています。
①Reduce(ゴミになるものを減らす)
Reduce(リデュース)は、ゴミになるものを減らす取り組み。私達にできる具体例として、レジ袋利用を減らすためにマイバッグを持ち歩く、プラスチック製のストローやフォークの使用を減らす、買い物の際に簡易包装を頼むなどの行動が挙げられます。
②Reuse(繰り返し使う)
Reuse(リユース)は、ものを大切にし、繰り返し使えるものを選ぶ取り組み。シャンプーや洗剤は詰め替え用ボトルを選ぶ、食品をふたが付いている容器で保存し、ラップの使用を減らすなどが挙げられます。マイボトルやマイスプーン、マイ箸を使うことも、リユースの取り組みと言えるでしょう。
➂Recycle(原材料として再生利用する)
Recycle(リサイクル)は、ゴミを新たな資源として再活用する取り組み。リサイクルに貢献する例として、ゴミを地域の分別に従って出す、ゴミ捨て場以外にゴミを捨てない、外出先で出たゴミを持ち帰るなどが挙げられるでしょう。
プラスチックごみ削減に取り組んでいる企業について
プラスチックは私達の身近にある多くの製品に使われていますが、プラスチックごみによる環境汚染が深刻化するにつれて、従来のプラスチック製品を、紙やリサイクル可能な素材に変更する企業が増えています。ここではプラスチックごみの現状や削減が必要な理由と、企業のプラスチックごみの削減例を見ていきます。
プラスチックごみの削減が必要な理由
日本では、家庭から出るプラスチックごみの8割以上を回収していますが、そのほとんどは中国に輸出されていました。しかし中国がプラスチックごみの輸入をやめたため、現在は日本全国でプラスチックごみが飽和状態となっています。
プラスチックごみをリサイクルするには大量のエネルギーが必要で、効率が悪いのが現状です。プラスチックごみは3Rのうちでリサイクルよりも、ゴミを減らすリデュースの考えが重要となるでしょう。
企業が行っているプラスチックごみ削減の例
企業が行っているプラスチックごみ削減の例として、飲食店などでプラスチックストローの廃止や、それに伴う紙のストローの導入が挙げられます。
またマドラーや保存袋などでの非プラスチック素材やリサイクル素材の使用、分解可能なプラスチックを使用したパッケージを使う取り組みなども実施されています。
プラスチックごみの削減に取り組んで環境問題と向き合おう
プラスチックごみは、海洋汚染など深刻な環境問題を引き起こし、海洋生物や人への影響も心配されています。プラスチックごみの削減に貢献できるような行動が、今後ますます求められていくことでしょう。毎日のちょっとしたことからプラスチックごみを減らすアクションを取り入れ、地球環境を守りたいですね。