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リサイクルナイロンがアパレル業界に浸透。実際に取り組むブランドを紹介

サステナブルな製品が求められる現代において、リサイクルナイロンを使用して新たなアイテムを作る取り組みがアパレル業界で浸透し始めています。この記事では、ファッション業界におけるリサイクルナイロンの現状について詳しく解説。どのようなアパレルブランドがどのようにリサイクルナイロンを活用しているのでしょうか。

リサイクルナイロンとは?

リサイクルナイロンの糸

環境問題が深刻化する中、アパレル業界でもリサイクルが重要視されています。近年注目されているのが、強度が高く軽量で広い用途で用いられるリサイクルナイロン。世界中の多くのアパレルブランドがリサイクルナイロンを用いた商品を作っています。なぜリサイクルナイロンはそれほどに重宝されるのか、その特徴に迫ります。

さまざまなファッションアイテムの原料に

リサイクルナイロンは、超軽量、強度が高い、吸水性・速乾性に優れる、伸縮性がある、といった特徴があり、バッグ、アクセサリー、スポーツウェア、スイムウェア、ランジェリー、ストリートウェア、コートなどさまざまなファッションアイテムに用いられています。リサイクルされていない本来のナイロン(バージンナイロン)と比べても遜色がないのも特徴です。

世界で注目される再生ナイロン繊維「ECONYL®」

リサイクルナイロンの中で品質が高く評価され、さまざまなブランドで用いられているのが、イタリアの糸メーカーAquafil社が開発した「ECONYL®」です。埋立地の廃棄プラスチックや海洋プラスチックとして問題になっている魚網などから作られた再生ナイロン繊維で、高品質な上、何度も再生可能な地球に優しい繊維です。

日本発のリサイクルナイロン樹脂「リアミド」

最近は日本メーカーもリサイクルナイロンを作っています。リファインバース株式会社は、廃棄漁網をリサイクルしたリサイクルナイロン「リアミド」を、2020年3月よりアパレル業界向けに供給スタートしました。主にボタンなどのアパレル向け資材での用途開発を進めており、今後は使用用途の拡大や量産化が進む見通しです。

リサイクルナイロンが地球に優しい理由

リサイクルナイロン製のバッグ

以前はサステナブルファッションの分野では、ナイロンなどの化学繊維は避けられがちでした。ところが、リサイクルナイロンによってその重要性と利用価値が見直されて、どんどん普及しているのが現状です。地球に優しい素材として注目度が上がるリサイクルナイロンを、ファッションアイテムの素材として用いるメリットを解説します。

地球温暖化防止につながる

石油が原料のバージンナイロンに比べ、リサイクルナイロンは製造時の環境への負荷を大幅に減らせます。バージンナイロンの使用と比較して二酸化炭素排出を18%(700万ポンド以上)も削減でき、地球温暖化の影響に至っては最大80%も低減させられると言われています。

環境破壊の原因となる廃棄物を減らせる

環境破壊の原因となる廃棄物を減らせることもリサイクルナイロンを使うメリットです。リサイクルナイロンは、廃棄物として埋立地に持ち込まれたプラスチックや、海洋プラスチックとして問題になっている魚網を原料に用いるため、廃棄過程で出る有害物質の放出も減らせるのです。


限りある資源の節約ができる

限りある資源である石油の節約にもなることも大きなメリットのひとつです。石油への依存を減らすことは、焼却炉から出る有害な排出物の減少にもつながります。さらに、排出物が減れば埋立地の寿命の延長にもなるのです。

ナイロンのリサイクルに取り組むブランド

カラフルな漁獲網

現在200を超えるファッションブランドが、リサイクルナイロンを製品の製造に用いています。その代表的なブランドとアイテムを紹介します。

プラダ

プラダはリサイクルナイロン「ECONYL®」を用いたコレクション「Re-Nylon」を発表しています。「Re-Nylon」では持続可能なラインとして6種類のアイテムを展開し、コレクションの収益の一部をサステナビリティ事業に寄付。ナショナル・ジオグラフィックと協力して「Re-Nylon」プロジェクトを紹介することで、ファッション業界へのナイロンリサイクルの普及に貢献しています。さらに、使用するすべてのナイロン素材を2021年末までにECONYL®に切り替える目標を掲げています。

ステラ・マッカートニー

サステナブルファッションを牽引するステラ・マッカートニーも、2020年までにバージンナイロンの使用を完全に廃止することを宣言。プラダ同様、「ECONYL®」を積極的に採用し、バッグの内布や本体、アウターウェアなどに活用しています。その他、スイムウェアとアンダーウェア双方の機能性とスタイルを融合したコレクション「ステラウェア」を2020年9月から展開しており、エコな視点だけでなくデザイン性や着心地にもこだわった、身体にも環境にも優しいサステナブルなコレクションとして注目を集めています。

バーバリー

バーバリーは、毛皮製品の製造廃止や売れ残り在庫の売却の廃止など、地球環境に配慮した動きを見せているブランドです。ブランドを代表するアイコニックなレインコートのカプセルコレクションに「ECONYL®」を使用している他、2020年春夏コレクションからサステナブルな素材や製法を採用したコレクション「ReBURBERRY Edit」の新作アイテムを発売。その中で、リサイクルナイロン「ECONYL®」で仕立てたトレンチコート、パーカー、ケープ、アクセサリーを発表しています。

パタゴニア

パタゴニアは、2020年の春夏シーズン以降の同社製品に使われたナイロンのうち、81%がリサイクル由来であることを発表しています。リサイクルされたナイロンを使用することでより廃棄物回避に向けて取り組んでいるブランドです。パタゴニアのナイロン繊維の糸はプレコンシューマー(産業過程から出る廃棄物)50%と、ポストコンシューマー(漁網や廃棄されたカーペットなど埋立地行きとなる廃棄物)50%の廃棄物で作られています。今後の展開として、素材の製造にまつわる二酸化炭素排出を削減する方法なども探っており、常に環境問題に対する精力的な取り組みを見せています。

ナイロンを回収し再利用する無印良品の活動

リサイクルマークとリサイクル素材

日本の企業でいち早くナイロンのリサイクルに取り組んだのが無印良品。ナイロンを自社で回収し再利用する活動を行っています。日本におけるリサイクルナイロン製品普及のさきがけとなる同社の取り組みについて、詳しく解説します。

東レと共同でリサイクルシステムを開発

無印良品は、2008年10月から東レ株式会社と共同でナイロンのリサイクル活動を行っています。同社の定番商品であるナイロンマイバッグ、ポンチョ、ポーチ類、風呂敷などに使われている東レ製のナイロン6をリサイクルする取り組みです。使わなくなったこれらの製品を回収し、化学的に分解し原料に戻して異物を取り除き、再合成したあと糸にします。半永久的な回収循環型リサイクルシステムとして、サステナビリティが求められる現代のニーズにマッチしたリサイクルシステムなのです。

「ムリ、ムダの無い循環型商品」を実現

ケミカルリサイクルによって再利用されるナイロン6は、石油が原料の通常のバージンナイロンに比べ、製造にかかるエネルギーを約70%節約できます。排出される二酸化炭素の量も約70%削減でき、無印良品が目指す「ムリ、ムダの無い循環型商品」を、この取り組みにより可能にしています。

リサイクルナイロンでできたファッションアイテムを取り入れよう

機械で製造されるリサイクルナイロン

リサイクルナイロンはアパレル製品にとって、とても優れた素材です。ファッション業界において、地球に優しいリサイクルナイロンの活用はこれから益々広がるはずです。リサイクルナイロン製の洋服やバッグを使って、リサイクルに貢献してみてはいかがでしょうか。

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JUNO
サムネイル: JUNO
趣味はカメラと美術館めぐり。アートからインスピレーションを得た自分だけのファッションを楽しむのが好き。