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​​グリーンウォッシュとは。本当に環境に優しいものの見分け方を知ろう

グリーンウォッシュとは、消費者に対して誤解を招く表現を用い、環境に配慮していると思わせる行為です。消費者を欺くだけではなく、環境破壊やSDGsの妨げにつながるものでもあります。グリーンウォッシュを謳っている製品は多くあるため、見極めなくてはいけません。グリーンウォッシュの概要や問題点、見分け方を紹介します。

グリーンウォッシュとは?

greenwashingと書かれた本のページと虫眼鏡

出典 shutterstock

グリーンウォッシュとは、環境やエコに配慮していると見せかけて消費者を欺く行為です。世界的に環境意識が高まっているため、注目を集めているキーワードでもあります。まずはグリーンウォッシュについて正しく理解しましょう。

環境に配慮していると誤った印象を与えてしまう行為の造語

グリーンウォッシュとは、環境やエコに配慮し、良いイメージとして使用される「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味を持つ「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語です。環境に配慮していないにもかかわらず、しているように見せかけて「この商品やサービスは環境意識が高い」と消費者に誤解を与えることを指します。

世間の環境意識が高まっている現代で、グリーンウォッシュは再び注目を集めており、欧州各国では、規制強化の動きも活発化しています。

グリーンウォッシュが誕生したきっかけ

グリーンウォッシュという言葉は、1986年にアメリカの環境活動家であるジェイ・ヴェステルフェルト氏が使い始めたとされています。

彼がグリーンウォッシュの着想を得たのは、宿泊した客室に「サンゴ礁保護のために、タオルは複数回使用してほしい」と書かれたカードがあったことがきっかけです。環境保護のためにタオルの使用枚数を減らしてほしいと言いつつ、環境破壊につながる宿泊施設の建設・拡張をしているのは、矛盾が生じていると感じました。

そして宿泊施設側のコスト削減の言い訳として環境保護が利用されていると結論に至り、グリーンウォッシュを題材にしたエッセイを執筆。それから広く認知されるようになりました。

グリーンウォッシュの問題点

煙突から出る煙を緑と青のペンで塗る手

出典 shutterstock

グリーンウォッシュによって環境破壊につながったり、企業への信頼が失われたりといった問題が起きます。グリーンウォッシュが与える問題点について紹介します。

環境に良いと思ったものが実は環境破壊につながる

グリーンウォッシュの問題点は、消費者が知らないうちに環境破壊に加担していることです。

例えば、買い物で使用されているナイロン製バッグは、レジ袋削減につながる一方、洗濯するとマイクロプラスチックが海に流れてしまいます。このマイクロチップは合成繊維の服やバッグなどに使用されており、下水処理場では完璧に処理できません。海へ流れ出てしまうと、海が汚染されるだけではなく、魚を食べる人間にも健康被害が生じると指摘されています。

SDGsの妨げになる

グリーンウォッシュは、SDGsの妨げにもなります。例えば、SDGsのゴール13「気候変動に具体的な対策を」は、気候変動とその影響によって発生する被害に対し、あらゆる方面から耐える力を強化する施策です。

気候変動の原因のひとつとして、温室効果ガスの大量排出によって起こる地球温暖化が挙げられます。環境に良いと消費者に宣伝している企業であっても、実際は商品を製造している過程で大量の二酸化炭素を排出している可能性があります。

消費者が環境に配慮した商品を選ぶことで、企業が行う環境問題への取り組み強化につながるのに、グリーンウォッシュの商品が生まれてしまうと本当にエコであるか判断が難しくなることも。その結果、環境に配慮している信頼度も低くなり、エコな商品を選ぶ消費者が減ってしまいます。

企業への信頼を失ってしまう

消費者が環境に配慮した商品を購入しにくくなるということは、企業への信頼を失うことにもなりかねません。エコであると謳っていたにもかかわらず、実は環境破壊を助長する製品だと消費者に伝わった場合、企業のイメージは悪化するでしょう。

また近年では、SDGsへの意識が高まり、関心を寄せる投資家が増え、環境や社会に配慮した企業運営を要求するようになっています。しかし環境への配慮をアピールしているのに、欺くようなことをしていた場合、その企業は信頼を失い、事業運営にダメージを負う恐れもあります。

グリーンウォッシュの事例

煙が出ている工場とグリーンウォッシュの看板

出典 shutterstock

過去にはグリーンウォッシュを謳っているとして批判された企業が存在します。そのなかでも有名な3社の事例を解説します。

ファストフードチェーンストア

2018年にイギリスとアイルランドのファストフードチェーンストアA社が、プラスチック製ストローを廃止し、100パーセントリサイクル可能な紙ストローに切り替えました。

しかし「紙ストローは分厚すぎてリサイクルは困難」と内部告発され、リサイクルに出されずゴミとして処分されていたことが発覚。その結果A社は、グリーンウォッシュを疑われ、批判を浴びることになりました。

ファストファッションブランド

2019年にファストファッションブランドのB社は、サステナブルなファッションとしてコレクションを発表します。そのコレクションでは自然由来の綿や、リサイクル可能なポリエステルなどを使用していると宣伝。

しかし、素材の使用量といった具体的な情報が提示されておらず、ノルウェーの消費者庁から、消費者に対してサステナブルな印象を与えすぎると指摘を受けました。

自動車メーカー

2008年にベルギーでハイブリッド車の広告に使用した「Zero emissions low (CO2排出量ゼロの低さ)」という表現が、グリーンウォッシュに当たると批判を受けたC社。実際の数値との関連性が明示されていないにもかかわらず、上記のような表現をしたことが問題視され、C社は広告を取り下げました。

そもそも自動車メーカーは、商品そのものが二酸化炭素を排出するため、環境に対する責任を強く問われています。世界的なシェアも大きいC社は、環境問題に対する責任を追及されており、環境活動家などから批判を浴びています。

海外・日本のグリーンウォッシュに対する規制

グリーンウォッシュと書かれたノートと小さな地球

出典 shutterstock

グリーンウォッシュが注目されている今、海外でもグリーンウォッシュに対する規制が設けられています。海外で取り組まれているグリーンウォッシュの規制や日本の現状について紹介します。

海外

世界ではグリーンウォッシュの規制を設けている国が多くあります。

<フランス>
2021年8月にグリーンウォッシュ規制を導入。グリーンウォッシュをした企業には、キャンペーン費用の最大80%が罰金として科されます。
<イギリス>
2021年に競争・市場庁が消費者保護のためのガイドライン「グリーン・クレーム・コード」を発表。このガイドラインは、消費者保護法に基づく義務を企業が理解し、順守させる目的があります。
<アメリカ>
グリーンウォッシュの疑いがある企業に対し、連邦取引委員会が摘発を行っています。

日本

日本は欧米に比べるとグリーンウォッシュへの対応が遅れています。環境省や消費者庁がガイドラインを発表しているものの、強い規制をしかれていないのが現実です。

金融面でのグリーンウォッシュを防ぐために、金融庁と東京証券取引所が連携し、第三者機関によるグリーンボンドの精査を進めています。ただしあまりに倫理に反することがあれば、キャンセルカルチャー(不買運動)の標的になる可能性があります。

グリーンウォッシュの見分け方と消費者に求められること

ラベルを見て買い物する女性

出典 shutterstock

知らずにグリーンウォッシュの製品を使っていると、環境破壊やSDGsの妨げにつながってしまうため、自分自身で見極めなくてはいけません。今すぐにできるグリーンウォッシュの見分け方と消費者に求められることについて理解しましょう。

7つの大罪を理解する

グリーンウォッシュを特定するために、アメリカの第三者安全科学機関・ULが提唱している「the Seven Sins of Greenwashing」(グリーンウォッシュの七つの罪)を理解する必要があります。

1 トレードオフ隠蔽(いんぺい)の罪:すべてにおいて環境に配慮しているわけではないのに、そう見せかける
2 証拠のない罪:何がどう環境に優しいのか、その根拠を証明しない
3 曖昧さの罪:人によって捉え方が違うような、どっちつかずの表現をする
4 偽りのラベル表示の罪:第三者機関から環境に対する配慮を評価されているように偽装する
5 不適切さの罪:明らかなうそではないが、消費者にとって役に立たない主張をする
6 どんぐりの背比べな罪:他の悪いものと比べてマシな方を、あたかも良いもののように見せる
7 うそをつく罪:軽微であろうがなかろうが、虚偽の主張をする

画像や言葉だけでまどわされない

環境に配慮すると謳っている商品でも、購入する前に自分自身でチェックするようにしましょう。例えばエコフレンドリーやグリーンといった言葉や、森林のような自然をイメージさせる画像などで判断してはいけません。どこで生まれたものか、どのようにして製造されているのかを知ることが大切です。

またWebサイトで発表されている数値を確認するのもおすすめの方法です。企業に問い合わせるのも有効といえます。グリーンウォッシュの製品を避けるためには、人の言うことをすべて鵜呑みにするのではなく、自分で情報を比較し、精査することが重要です。

グリーンウォッシュを見極めて、正しく環境を守ろう

グリーンウォッシングのコンセプトが書かれたブロックを並べる人の手

出典 shutterstock

エコや環境に配慮した製品やサービスが増えていく一方で、消費者を欺くようなグリーンウォッシュがあるのも事実です。知らないうちにグリーンウォッシュを利用し、環境破壊へ加担していた、とならないように正しい知識を身につけ、自分自身で見極めなくてはいけません。日々暮らしていく中でできるだけ意識し、グリーンウォッシュを防ぐ取り組みを行いましょう。

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IKUMI
サムネイル: IKUMI
ブランドをこよなく愛するアラサー女子。ヴィンテージシャネルとセリーヌ、バレンシアガが好き。