サステナブルな素材ヴィーガンレザー。使うメリットやおすすめブランドも紹介
ヴィーガンレザーとは動物由来の素材を一切使用していないレザーのことです。近年、自然保護の活動が世界規模で広がり、ファッション業界ではヴィーガンレザーという言葉を耳にすることも増えてきました。本記事ではヴィーガンレザーの種類やフェイクレザーなどとの違い、メリット・デメリット、さらに取り扱っているハイブランドを紹介します。
目次
- ヴィーガンレザーとは
- 動物の皮を使っていないレザーのこと
- 合皮・フェイクレザーとの違い
- エコレザーとの違い
- ヴィーガンレザーの種類①石油由来
- 石油由来①PVCレザー
- 石油由来②PUレザー
- 石油由来③再生ポリエステルレザー
- ヴィーガンレザーの種類②天然由来
- 植物由来①パイナップルレザー
- 植物由来②サボテンレザー
- キノコ由来:マッシュルームレザー
- ヴィーガンレザーのメリット・デメリット
- ヴィーガンレザーのメリット
- ヴィーガンレザーのデメリット
- ヴィーガンレザーを使用しているブランド|ステラマッカートニー
- ステラマッカートニー(STELLA McCARTNEY)とは
- 動物愛護と環境保全へのこだわり
- 代表的なアイテム
- ヴィーガンレザーのアイテムならリユースショップでの購入も
- ヴィーガンレザーのアイテムでサステナブルなおしゃれを楽しもう
ヴィーガンレザーとは
最初にヴィーガンレザーとは何かを説明します。ヴィーガンレザーの意味や、どのような素材が使われているのか、フェイクレザーや合皮、エコレザーとの違いを紹介します。
動物の皮を使っていないレザーのこと
ヴィーガンレザー(Vegan leather)とは、牛や馬といった動物の皮(本革)ではなく、植物や石油由来の素材で作られた人工的なレザーのことです。また、ヴィーガンとは「完全菜食主義者」という意味で、動物由来の食品や動物由来の革製品を避けて暮らしている人達を指します。
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合皮・フェイクレザーとの違い
フェイクレザーとは、本革に似せて人工的に作られたものです。ヴィーガンレザーもフェイクレザーの一つ。また、合皮(合成皮革)とは、布地に石油由来の合成樹脂を塗り、本革に似せた物です。合皮はヴィーガンレザーと言えますが、合皮=プラスチックを使ったレザーと差別化するために、あえて「ヴィーガンレザー」と明記しているブランドもあります。
エコレザーとの違い
エコレザーとは、本革のなめし工程で出る切れ端を細かくし、天然素材や樹脂と混ぜ合わせ革状にしたものです。エコレザーは、本革の一部が使用されている点で、ヴィーガンレザーとは異なります。NPO法人「日本皮革技術協会」と一般社団法人「日本タンナーズ協会」により定められた、「日本エコレザー基準(JES)」を満たしたものが、エコレザーとして認められます。
ヴィーガンレザーの種類①石油由来
ここからは、ヴィーガンレザーの種類について紹介します。ヴィーガンレザーには、石油由来の素材(合皮)と天然素材を使ったものがあります。まず紹介するのは石油由来の素材3種類です。
石油由来①PVCレザー
PVC(ポリ塩化ビニル)レザーとは、布地にポリ塩化ビニル樹脂を塗ったレザーです。PVCとは、ポリ塩化ビニルを意味する英語、 ”Polyvinyl chloride”の略です。一般的には、塩ビやビニールとも呼ばれてます。
また、PVCレザーはビニールレザーとも呼ばれており、耐水性が高く、水拭きで汚れを落とせるため、メンテナンスが簡単という点がメリットです。通気性や弾力性、柔軟性はPUレザーには劣ると言われています。
石油由来②PUレザー
PU(ポリウレタン)レザーとは、布地にポリウレタン樹脂を塗ったレザーです。PUとは、ポリウレタンを意味する”Polyurethane”の略。もちもちとやわらかい質感で、本革に近い素材です。扱いやすい革なので、ソファーなどのカーブが多い商品によく使われています。
PVCよりも、弾力や柔軟性が良く、通気性も良いのがメリットです。一方、水分に弱く湿気の多い状態が続くと、水分との化学反応(加水分解)を起こしてボロボロになる可能性があります。
石油由来③再生ポリエステルレザー
再生ポリエステルは、リサイクルプラスチックとも呼ばれ、リサイクル回収したペットボトルなどを分解して糸や繊維にした素材のことを指します。シワになりにくく、耐久性も高いため扱いやすいです。PVCレザーやPUレザーに比べて、吸水性も優れており、シャツやバッグなどのさまざまな製品に使われています。
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ヴィーガンレザーの種類②天然由来
続いてヴィーガンレザーのうち、天然素材由来のレザー3種類を紹介します。天然由来のレザーは、果物やキノコから作られます。本革に引けを取らないほど、手触りや通気性耐久性に優れているものもあるので、天然由来のレザー製品の購入を考えている人は参考にしてみてくださいね。
植物由来①パイナップルレザー
パイナップルレザーとは、主にパイナップルの葉を原料に作られたヴィーガンレザーです。ロンドンの会社アナナス・アムス(Ananas Anam)が、フィリピンで毎年大量に廃棄されるパイナップルの葉に着目して開発しました。
素材名「ピニャッテクス(piñatex)」として、有名ブランドを中心に本革の代替品として使用されています。パイナップルの葉の繊維には耐久性があり、本革よりもやわらかく軽いのが特徴。着色による発色が美しいのもメリットの一つです。
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植物由来②サボテンレザー
サボテンレザーは、メキシコのノバルサボテンを使用したレザーです。メキシコの企業ADRIANO DI MARTIが開発し、素材名デザート/デセルト(Desserto)として販売されています。ノバルサボテンはメキシコ全土に存在し、成長に水をほとんど必要としないため、水の消費を抑えられるサステナブルな植物です。サボテンレザーは通気性が良く、湿気や水分に強く耐久性に優れています。
キノコ由来:マッシュルームレザー
マッシュルームレザーは、マッシュルームの菌の繊維を培養して作られたレザーです。イタリアの企業、Grado Zero Espace社が開発しました。素材名はMuskin。やわらかくしなやかな質感で、弾力と耐久性があるのが特徴です。もともとは生物なので、完全に土に還ることができ、また”呼吸”をしているので、バクテリアの増殖を抑えられます。汗などの臭いを抑える効果も期待できると言われています。
ヴィーガンレザーのメリット・デメリット
ここではヴィーガンレザーのメリットとデメリットを紹介します。
ヴィーガンレザーのメリット
<ヴィーガンレザーのメリット>
・軽い
・水や汚れに強い
・動物や環境に優しい
ヴィーガンレザーは本革よりも軽いため、荷物が多い人や肩が凝りやすい人におすすめです。本革は水に弱いのが特徴ですが、人工的に作られているヴィーガンレザーは水に強く、汚れてしまったら拭き取れます。ヴィーガンレザーは人工的に作られた革なので、動物を犠牲にすることがありません。また、動物の飼育に必要な大量の水や飼料を消費しないので、地球環境にも優しいのがメリットです。
ヴィーガンレザーのデメリット
<ヴィーガンレザーのデメリット>
・長持ちしない
・熱に弱い
ヴィーガンレザーは素材にもよりますが、本革よりも耐久性が低いです。特にPUレザーは、2〜5年ほどで表面にヒビや破れが起こりやすいです。また、PUレザーは熱に弱く、暖房や直射日光があたる車内で放置すると、表面が溶ける可能性があります。ヴィーガンレザー商品を置く場所や、気温などには注意が必要です。石油由来のレザーに比べ、サボテンレザーといった新素材は、耐久性に優れているので、今後の利用が期待できます。
ヴィーガンレザーを使用しているブランド|ステラマッカートニー
ヴィーガンレザーはアパレル業界でも普及し始めています。最後に、本革を使用せずにアイテムを発信しているブランド、ステラマッカートニーを紹介します。
ステラマッカートニー(STELLA McCARTNEY)とは
ステラマッカートニー(STELLA McCARTNEY)とは、ポール・マッカートニーの娘、ステラ・マッカートニーが自身の名前を付けて、2001年に創設したファッションブランド。創業から、毛皮やレザーを一切使用せず、サステナブルなブランドとして有名です。
動物愛護と環境保全へのこだわり
ステラマッカートニーは、動物愛護と環境保全へのこだわりから毛皮やレザーを使用していません。レザー製品を作るには、動物犠牲や化学薬品の使用による環境汚染への危険が伴います。従来の政策への疑問から、ステラマッカートニーはデザインが制限されても、レザーを使用しないと決意。このステラマッカートニーの姿勢は、多くの人から賞賛の声が寄せられています。
代表的なアイテム
2011年に発表されたステラマッカートニーのファラベラ(Falabella)は、ハイブランドが提案するヴィーガンレザーバッグの先駆的な存在。サステナブルな姿勢だけでなく、縁にダイヤモンドカットのチェーンが輝くデザイン性が熱狂的な支持を集めています。
プラットフォームシューズであるエリス(elyse)も代表作です。ギザギザと凹凸のあるシャークソールにまっすぐな底、プラットフォームが特徴なデザインに仕上がっています。
ヴィーガンレザーのアイテムならリユースショップでの購入も
リユースショップは、誰かが不要になったものを他の誰かに譲ることができるお店です。リユース品を使うことは今ある資源を大切にする行動です。ヴィーガンレザーのアイテムはもちろん、リアルレザーを使ったアイテムのリユース品を使うことも、動物犠牲を減らす活動になります。また、資源を守る取り組みとしてサステナブルな活動につながります。
ヴィーガンレザーのアイテムでサステナブルなおしゃれを楽しもう
ヴィーガンレザーは動物や環境に優しいだけでなく、本革にはない軽さや着色による発色の良さといった魅力のある素材です。植物由来の新素材によるアイテムも登場しており、今後さらに注目を集めることでしょう。ヴィーガンレザーを使ったアイテムを取り入れて、サステナブルなおしゃれを楽しみませんか。