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洋服・靴

【私たちのサステナブル Vol.1】エシカルコーディネーター エバンズ亜莉沙さん

リユースアイテムを活用して賢くオシャレになる方法をご紹介しているKÓMERUでは、サスティナブルなライフスタイルに注目しています。今回は、エシカルコーディネーターとして活躍するエバンズ亜莉沙さんにお話を伺いました。

ベランダの植物の枝

11月にもかかわらずまるで春のように暖かな日に、KÓMERU編集部のオフィスに来てくださったのは、エシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さん。真っ白なコットンのお洋服にスカーフとハット合わせたモダンなフォークロア調のスタイルもさることながら、好奇心に溢れた美しい瞳が印象的でした。

現在、フリーランスでサスティナブルを軸にしたプロジェクトの企画・コーディネートをしながら多忙な日々を送っているエバンズさんの活動は、国内外でのサスティナブルな街づくりや、オーガニックカフェのプロデュースなど多岐にわたります。

彼女がこの仕事に行き着いたのは学生時代に受けた授業の影響が大きいのだそう。

「サスティナブル」とは、愛とリスペクトを持つこと

―エバンズさんは高校からアメリカのオレゴン州に住んでいらっしゃったのだとか。

椅子に座って笑顔で話すエバンズ亜莉沙さん

はい。15歳から20歳になるまでの5年間をアメリカで過ごしました。その時学校で受講していた環境科学の授業で、普段自分が食べているものや使っているものがどのようにして環境汚染に繋がるのかを知ったんです。

そこから環境問題に興味を持ち、NGOでインターンをしたり通訳のボランティアで世界一周したりして、環境問題の現実を様々な国や人の視点で見るようにしました。

そうしたら、今までは「どこか遠い国で起きている問題」だったことが、どんどん自分自身に紐付けて考えられるようになって。

それから日本に帰国し、色々なご縁や巡り合わせがあって今の仕事をやり始めたんです。

―学生時代の経験が今の仕事に繋がっていったのですね。

そうですね。でも、子供の頃に書いた作文を見ると、途上国の子供と自分とを比べて自分の置かれている環境に対して感謝しなければならないということを書いていたんです。もしかしたら幼少期から環境や児童労働に対する問題意識は芽生えていたのかもしれません。

それに、自然と動物と触れ合うことが多い幼少期を過ごしたことや、何に対しても愛を持って行動することを両親から教わっていたことが関係しているのかもしれないです。

―「何に対しても愛を持って行動する」というご両親の教えは、エバンズさんの活動に通づるところがあるのかもしれないですね。

笑顔のエバンズ亜莉沙さんの横顔

確かに、そうかもしれません。「サスティナブル」という言葉って、誰(何)に対して?ということで定義がすごく変わると思うんですが、私にとってのサスティナブルとは他者へのリスペクトや自然との繋がり、周りや世界との繋がりを意識して自分の行動を選択すること。

ここ1、2年で「サスティナブル」や「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉が爆発的に広がって様々なメディアでも特集が組まれるようになりましたよね。そのことにより皆の意識が少しでも環境や世界の労働環境に向いたことは良かったと思っています。でも、言葉だけが独り歩きしてやがて形骸化してしまわないようにすることが必要だなと感じていて。

サスティナブルという言葉の解釈や対象は人それぞれであるからこそ、まずは「周りの人や身近な自然を愛すること。尊重すること」から始めてみませんか、と伝えるようにしています。

ファッション業界について

―環境汚染に大きな影響があると言われているファッション業界ですが、私たち消費者が今の状況を少しでも変えたいと思った場合、どんなことができるでしょうか。

話しているエバンズ亜莉沙さんの横顔

私は、「ものを買うこと」はその企業に「投票すること」と一緒だと思っているんです。その理由はそのブランドや企業にお金を払えば、そのブランドや企業の経済活動を支援することに繋がるから。

ものを買うことを単なる消費ではなく投票であると解釈すると、何を買うのか選択する時に、それがどうやって作られているのか自ら調べるようになるのではないでしょうか。その結果、より環境に優しいものを選んだり、購入したものを大事に長く使えたりするのではないでしょうか。

テーブルに置かれたマイボトル

マイボトルをどこにでも持っていくというエバンズさん。また、新機種が出るたびに大量に廃棄されることが問題視されているスマートフォンのケースは、土に還る素材のものを使っているのだそう。

ただ現状は、生産・消費・廃棄の過程で環境にどのような影響を及ぼしているのかを開示している企業が少なすぎる。私たち消費者だって好きこのんで他者を搾取したり環境に悪影響を及ぼしたりすることに加担したいわけではないと思うんです。でも正しい行動を取るための情報が圧倒的に不足している。そんな状況に私はいち消費者として不公平だなと感じることもあります。

白いスニーカーを履いた足元

サスティナビリティを意識したものづくりでファッション業界を牽引しているステラ・マッカートニーのスニーカー。動物を傷つけたり殺したりしないことをモットーにしている同ブランドの靴は、すべて皮革以外の素材で作られています。

でも、他責にしているだけでは何も変わらない。だから、私たち消費者が「透明性のある企業に投票すること」を続ければ、企業側も変わるはずであると信じています。世界規模で見れば自分の一票が及ぼす影響は小さいけれど、それが積み重なっていけばやがて大きなムーブメントになっていくと思っているんです。

―私たちKÓMERUはリユースで賢くオシャレになる方法をずっとお伝えしてきたメディアなのですが、エバンズさんは「リユース」に対してどんな印象をお持ちですか?

窓の外から撮影したエバンズ亜莉沙さんの横顔

こだわりや情熱をもってサスティナブルなアイテムを作っている人たちがたくさんいて、それを支援したいと思う一方、限られた資源を使って必要以上の商品が生産され捨てられている現実にも目を向けるべきだと思います。だからこそ、今あるものをどう大事にして、次に繋げていくかを考えることがとても大事だと感じます。

ソファに座って手を組む女性

サスティナブルブランドとして今人気を高めている「CASA FLINE」というブランドのオーガニックコットンで作られたスカートを履いているエバンズさん。企業がオーガニックコットンの認証を受けるには数年かかるため、認証済みの企業はもちろん、認証獲得を目指している段階の企業も意識的に応援するようにしているのだとか。

私自身は、古着屋さんか生産過程を開示しているファッションブランドのアイテムを選んでショッピングしています。作り手の思いを知っているとその分大事にできるから、汚れやほつれができた時はリペアするんです。

-今あるモノを大事にするのは、サスティナブルな選択肢の一つですよね。

植え込みの前に立ち手にバッグを持ったエバンズ亜莉沙さん

そうですね。リペアして使えるものや、生産者が丁寧に作ったものってファストアイテムに比べたら値段は高くなりがちです。でも、少し高くても長く使えて飽きずに大事にし続けられるものを1つ買うのと、短期間しか使えないものを何度も買うことを冷静に比較すると、トータルの金額としては後者の方が高くなることって多くないですか?

だから、ものを買う前には少し立ち止まって、本当に自分が気に入って長く使えると思うのかということを考えるといいのではないでしょうか。

エバンズ亜莉沙(えばんず・ありさ)
1994年生まれ。フリーランスでイベント運営などのディレクターやエシカルコーディネーターとして活動。

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JUNO
サムネイル: JUNO
趣味はカメラと美術館めぐり。アートからインスピレーションを得た自分だけのファッションを楽しむのが好き。