【連載 vol.4】プレオーガニックコットンとは?
「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネータのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回は「プレオーガニックコットン」にフォーカス。「オーガニックコットン」との違いなどを解説します。
みなさんこんにちは!
紅葉狩りには既に行かれましたか? 私はまだいくことができていないので、近々関東近郊で行ってみたいと思っています。昨年イチョウ並木を見に行った時、たまたまイチョウと同じ色のタートルネックを着ていて、少し恥ずかしい気持ちになったのは余談です(笑)
プレオーガニックコットンとは?
早速ですが、『クローゼットからはじまるサステナブル』第4弾は、“プレオーガニックコットン” についてです。“オーガニックコットン” との違いと、その大切さについてお話しします。
オーガニックコットンとの違い
最近では野菜やコスメ、そして服においても、“オーガニック” の言葉を目にする機会が増え、気にかけて商品を購入している人も増えてきているのではないでしょうか?実際、身体にもお肌にも、地球にも優しい選択肢として、近年人気と需要が急激に上がっていることは市場を見ている限り間違い無いでしょう。
アパレル業界で“オーガニック” と言えば、基本的にはオーガニックコットンを指し、オーガニックコットンを使用したTシャツなどは、肌触りや着心地も良いため、手に取る人も多いのではないでしょうか。しかしながら、某国内大手繊維会社情報によると、需要が高まっているのは事実ではあるが、同時に生産されているオーガニックコットンの量にはもちろん限りがあるため、今後どう対応していくかが大きな課題となっているといいます。
そこで!
その解決策として考えられるのが、オーガニックコットンを栽培する農家(農薬を使わないコットン農家)を増やすということです。但し、これがすぐにできるかというとそうスムーズにはいきません・・・。農薬を使っている農家がいざオーガニック栽培に切り替えようとしても、コットンが “オーガニック”と認められるには、3年もの月日がかかるのです。
基準に沿った栽培方法で2~3年間栽培を行うことで、化学合成農薬や化学肥料等の化学物質に汚染された土壌ではなくなり、オーガニックの畑としてようやく認められ、出荷が可能になります。このように長い時間をかけ、一定の条件を満たさないとオーガニック認証(※1)を得ることはできません。
栽培方法を変えることは、農家にとって、収穫量が減少する恐れや、オーガニック認証が取れるまでは買取値が上がらず、収入も減ってしまうリスクにもなります。
そこで、オーガニック認証を受けるために畑で栽培されているコットンを「プレオーガニックコットン (オーガニック・イン・コンバージョン(有機転換期間中)」と位置づけ、ここに価値をつけて買い取る動きがあります。これにより、農家がオーガニックコットン栽培にシフトする際の経済的負担を減らし、そのシフトを支援するのですが、実は日本にもこのプログラムが存在するのです!
プレオーガニックコットンを支援する動き
実際にインドの綿農家さんに話を聞きに行き、この仕組みを構築する必要性があると強く感じた、伊藤忠商事株式会社と株式会社kurkku alternativeは、それを実現するプロジェクト、『プレオーガニックコットンプログラム(POC)』を2008年に始められました。
その後、多くの農家がこのプログラムを通じてオーガニックコットン栽培 の畑に移行し、POCの商品を取り扱うブランドも今では50以上あるそうです。
このようにプレオーガニックコットンを選ぶことは、生産者が安心して暮らせる環境を支えることができるだけでなく、無農薬農家が増える力強い後押しにもなる、とても素敵な選択肢なのです。
現時点でオーガニック認証がついている商品やブランドはもちろん魅力的ですが、それだけでなく、その過程にある企業やブランドを応援することは、SDGs(※2)のコアにある、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という目標を達成していく上でもとても重要だと感じています。
みなさんも次に洋服の買い物をされる際、よかったら「プレオーガニックコットン」を探してみてください!
●プレオーガニックコットンを取り扱っているブランド例
●プレオーガニックコットンを取り扱っているブランド例
次回は寒い季節にぴったり!
北欧のニットブランドさんをご紹介します。
素敵なストーリーとデザインを兼ね備えた商品、お楽しみに!
※1:ファッションのオーガニック認証は大きく分けて “農業分野のオーガニック” そして “テキスタイル分野のオーガニック” の部類に分けられ、それぞれ基準が定められています。今回の場合、農業分野を中心に、総合的にはGOTS(Global Organic Textile Standard)の基準を参考に記事を書かせていただきました。(GOTS:使用するオーガニック原料はEUや米国、IFOAM(国際有機農業運動連盟)が認めた有機農業の基準で認定されている事が求められる。また、認定されたオーガニック・イン・コンバージョン(有機転換期間中)の原料の使用も認めている。)
※2:SDGs=Sustainable Development Goals / 持続可能な開発目標
2011年に国連によって定められた2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標