【連載 vol.45】実はつながりが深い!?サンゴと地球と私たちとの関係性
「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さんが紹介。サンゴに優しい日焼け止めの話をしましたが、なぜサンゴを守る必要があるのか詳しく紹介していきます。
目次
これまで何度か「サンゴに優しい日焼け止め」を選ぶ大切さなどに触れてきましたが、そもそもなぜ「サンゴ」を守る必要があるのでしょうか。どんな役割を持っていて、私たちにとってどんな存在なのかということは、そこまで詳しく知られていないかもしれません。
実は「サンゴなしに私たちは生きていけない」といっても過言ではないくらい、地球上の生態系を健康に保つ上でなくてはならない存在なんです。
そこで今回は、あまりサンゴになじみがない人たちにとっても、少しでも身近に感じてもらえるように、サンゴの役割、課題、守る方法の3点について紹介していきたいと思います!
【サンゴの役割】そもそも私たちにとってどんな存在なのか
1.生命の基盤種
サンゴ礁は地球上で最も多様で貴重な生態系の一つと言われています。
その周りの多くの生き物をサポートしていて、魚の種類でいうと約4,000種、硬骨サンゴは約800種、他にも何百種もの生物がいるそうです。
さらに研究者は、サンゴ礁の周辺には何百万種もの未発見の生物が生息している可能性があると推定しています。
加えて、重要な役割の一つが、人間を含める生物にとってなくてはならない「酸素」をつくり出しているということ!
酸素をつくり出しているものは?と聞かれた時、「花や木」を思い浮かべる人がほとんどかと思いますが、実はサンゴも光合成をしています。しかも、酸素の量は木と比べると6~16倍と言われています! (サンゴの組織の中には、何百万もの微細藻類がいてこの植物が光合成をしています。)
サンゴが地球の酸素に大きく貢献しているのです。
また、驚くことに近年では癌や感染症などの新薬の開発にも使用されているため、医療業界からもとても重要とされているそう。
2.天然防波堤
サンゴ礁の構造は、波や嵐、洪水の威力の97パーセントを沿岸線から遮断し、陸に住む私たちを自然災害から守ってくれます。様々な損害、浸食も防ぐ役割を果たしています。
サンゴ礁がなくなってしまうと、普段の波、台風の際など、近隣に住む人々への被害が増加する可能性が高まります。
3.経済的メリット
健康なサンゴ礁は商業漁業や生活漁業を支えるだけでなく、観光やレクリエーションによって雇用とビジネスを提供することにもつながります。
綺麗な海でのシュノーケリングの経験がある人は多いのでは無いでしょうか。
また、アメリカでは連邦政府が管理する漁業の約半数が、サンゴ礁やその関連する生息地に依存しているそう。
そして国立海洋漁業局は、アメリカのサンゴ礁からの漁業の商業価値が1億ドルを超えると推定しています。現地経済は、ダイビングツアーやレクリエーション釣り旅行、ホテル、レストラン、およびサンゴ礁生態系周辺に基づく他のビジネスを通じて、数十億ドルの収入を得ています。
【サンゴの課題】いまサンゴに何が起きているのか
サンゴの減少
私たち人にとっても、地球にとってもなくてはならない存在かつ。色んな可能性を秘めているサンゴに、私たちが生きるこの時代に危機が訪れています。
太古からこれまでずっと生命を支えてきてくれたサンゴですが、直近の30年で50%も減少しているというのです。
サンゴは寿命というものはなく、環境が保たれている限り生き続けることができるのです。
そんなサンゴが、初めて広範囲で白化現象を起こしているのが見つかったのは1980年。
その後、1997-98年には最初の世界規模白化が起き、またその12年後、第2回目の世界規模白化を確認。またその5年後には第3回目と、、、年々ペースを上げているといいます。
あと30年で全てのサンゴが絶滅するだろうと予測されているのだとか・・・。(なんとかしたい・・!)
サンゴの現象の原因
白化(珊瑚の死)の原因を多くの科学者が研究したところ、一番の原因は、「地球温暖化による海水温の上昇」との結論に。
国連は産業革命後にはすでに1℃上昇している平均気温が、更に1.5℃まで上昇すると、地球上の90%のサンゴ礁が消滅するだろうと予測しています。
もしそんなことが起きてしまったら、地球はどうなるのか想像がつきません。
この一番の原因の「地球温暖化」ですが、海に影響が出やすい理由があるのです。
実は温室効果ガスによって閉じ込められた熱の93%が海に吸収されるのです!海に吸収されず、もし大気のみに吸収された場合、気温は122℃にも上がるという衝撃の温度。もしこうなってしまったら、気温よりも水温の上昇の方が早そう。。。
実際、すでに北西ハワイ諸島の3分の2に白化現象が起きるレベルの海水温上昇がみられ、平均水温は2.6℃上がってきているそう。その他、世界のホットスポット(温度が高くなっているところ)の海水温は、2.8℃~4.6℃高いところまでみられています。
2℃上がるだけでサンゴにとって致命的だと言われているので、どれだけ危機的な状況なのかがデータから感じられます。
たったの2℃で?と一瞬思うかもしれませんが、人間も37℃の熱と39℃では全然違いますよね。
海、自然が好きな人はもちろん、誰にでも見てもらいたい作品です。(海に興味がなくても見れば好きになってしまいそうな内容)
素晴らしい海の世界の映像美だけでなく、そこで支え合って暮らす生き物たち、サンゴ礁の神秘、そして何より大切さを感じられる作品です。
【サンゴを守る方法】今私たちにできること
では実際守っていくためには何ができるのでしょうか。
以前「サンゴに優しい日焼け止め」を使うことについては書かせていただきましたが、それ以外に普段の生活の中でできることは何があるでしょう。
「サンゴに優しい日焼け止め」について詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみて下さいね。
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普段の生活でできること
サンゴの白化の原因となっている温暖化の根源は、石炭をもやすことによる二酸化炭素の過剰な排出。
つまり、二酸化炭素の排出を抑えることができれば改善に貢献できるということ!
二酸化炭素の排出を抑えるためにできることはたくさんあります。
身近なことでは例えば、
・<移動>車ではなく、交通機関や自転車などを選ぶ
・<電気>家の電気を自然エネルギー/再生可能エネルギーに切り替える
・<買い物>新品ではなく、セカンドハンドの服や雑貨、家具を選ぶ
・<買い物>プラスチックの消費を減らすこと
・<買い物>ゴミを減らすため繰り返し使えるものを長く使ったり、量り売りを探してみる
・<食事>ローカルで新鮮なプラントベースの食事を選ぶこと
・<廃棄>生ゴミは乾燥させてから捨てるまたはコンポストする
などなどできることはたくさん!
二酸化炭素の排出以外にも、環境に配慮するため石油製界面活性剤の入った洗剤などの購入を避けることや、有機・オーガニックのものを選ぶことなども、とても意味があることです。
太古から続いているサンゴが、今私たちの生きる時代に消えつつあるという事実はとても悲しいですよね。
大きな生態系の基盤となっているサンゴを守り、再生することは生態系全体の崩壊を防ぐことに繋がります。大袈裟なようでホントの話。
ちょっと衝撃的な情報が多かったかもしれませんが、今ならまだ間に合う時代に生きている私たち!
まだ残る美しい自然を美しい姿で残していくため、そして失ってしまったものを取り戻すため、自分たちにできることを改めて日々考えていきましょう。
その他、参照サイト
Great Barrier Reef suffers third mass bleaching in five years - BBC News The third such event in five years prompts scientists to renew urgent warnings about climate change.
The Importance of Coral Reefs: Corals Tutorialdot gov iconhttps icon Coral reefs are some of the most diverse and valuable ecosystems on Earth. Coral reefs support more species per unit area than any other marine environment, including about 4,000 species of fish, 800 species of hard corals and hundreds of other species.
<筆者情報>