【連載 vol.27】トレンド感のある "サステナブル " 改めてその本質的な意味を考えてみよう!
「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネータのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回は改めて「サステナブル」について一緒に考えてみましょう。
「サステナブルファッション」がトレンドになった今。改めてその定義とは?
数年前に比べると今では雑誌やテレビ、カフェやアパレルのお店、目にしたり、耳にすることが多くなった「サステナブル」や「エシカル」、「SDGs」という言葉。
この連載の初期の頃にはそのそれぞれの意味について簡単に説明した記事も書かせていただきました。
【新連載】クローゼットからはじまるサステナブル サステナブルを軸にしたプロジェクトの企画・コーディネートを行っているエバンズ亜莉沙さんの新連載がスタート!テーマは【サステナビリティ×ファッション】。決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントを発信していきます。今回は最近よく聞く「サステナブル」「エシカル」の言葉の意味を解説。
世の中に言葉が浸透し、認知度が広まることはとっても嬉しい反面、上部だけではない、本質がどこまで浸透しているのかと考えると少し不安になる部分もあります。
最近の「サステナブル」という言葉の使われ方には正直どうしても違和感を感じてしまう時もあり・・そんなモヤモヤについて今回は真っ直ぐに皆さんと一緒に考えられたらと思います。
改めて「サステナブル」について考える
まずはそもそも簡単にサステナブルという言葉の意味についてをおさらい。
英語で書くと「sustainable」ですが、これは直訳すると「持続可能な」ということを意味します。
ファッションにおけるサステナブルでいうと、そのアイテムを作る過程で使われているエネルギー、材料の調達方法、素材、作り手さんの労働環境など今後もずっと続いていけるシステムやモノなのかということになります。
例えば、
・プロダクトを生産する工場で使われているエネルギーは、環境負荷の低い自然エネルギーや再生エネルギーなのか
・運搬時に出るCO2の量に対して配慮や、*カーボンオフセットの仕組みが取り込まれていたりするのかどうか
・素材はオーガニックであることを大切にした自然素材や、環境に負荷が少なく、可能な限り循環するものを使っているのかどうか
・作り手が差別や偏見、搾取のない、安心して働く環境にあり、生活は保証されているのかどうか
など考え始めるとキリがないほどです。
では、ここ最近見かける「サステナブル素材」や「サステナブルブランド」という言葉はどのような意味かを考えます。
シンプルに意味を想像すると、「持続可能な素材」「持続可能なブランド」ということになります。
ただ、これは上記の例で話した「何において」、「どう持続可能なのか」という視点から大きく中身は異なってくる可能性は高いのではないでしょうか。
定義がとても難しいですよね・・・
出典 sustainablejapan.jp*カーボンオフセットとは
「人間の経済活動や生活などを通して排出された二酸化炭素などの温室効果ガスについて、削減しようと努力をしてもどうしても削減できない分の全部または一部を、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業(排出権購入)などで、埋め合わせすることを言います」- sustainablejapan.jp
完璧な「サステナブル」は存在するのか
やはり言うは易し、全てにおいて完璧な「サステナブル」を実現することは、あくまで理想ではあります。そんな中でも、それがどれほど現実的なのかも考えてみましょう。
例えば、私自身は最近プラスチックに纏わる「The Story of Plastic」というドキュメンタリーを観てびっくりしたことがあります。
皆さんもどこかお店に立ち寄って洋服を見ている際、タグに「リサイクル素材から作られています」と書かれているものを見かけたことのある方はきっと多いですよね。その中でも、「ペットボトル」や「海洋プラスチック」から作られているものを見て、「環境に良さそう!」と手にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現に私自身、新しい資源を多く地球から掘り起こして使うことなく、今すでにあるものを活用すると言う面で、とても魅力を感じています。また、そのような商品を展開するブランドさんやプロダクトについて記事にしたこともありますし、個人的にも応援してきました。
ただ、このドキュメンタリーによると、そのプラスチックから作られている服の背景には、ゴミを回収し、洗浄する過程などに途上国の人々が関わっており、そこで働く人々の健康や生活に被害を与えているという内容だったんです。
実際私が自分の足で現地に行ったわけではないので、あくまで一つのドキュメンタリーからの情報ではあります。改めて物事を多面的にみることの大切さに、はっと気づかされました。学びがつきません・・!
「再生素材」だからといって一概に人や環境に優しいとは言えない場合もあるということ。
そして逆に「人に優しい」からといって必ずしも環境にも優しいとは言えないかもしれないということ。
次回もう少しこの辺りを詳しく探っていきたいと思います。