環境に配慮したエコリゾートとは。サステナブルな旅行で新しい贅沢を体験
エコリゾートとは、地域の環境や住民に配慮した観光地のこと。国内外で、リサイクル材料を建築に使ったり、自然のエネルギーを利用したりするリゾートが増加中です。ここでは、エコリゾートとは何か、国内外のエコリゾートの取り組み例、エコと観光を両立させるための取り組みなどについて紹介します。
目次
エコリゾートとは何か
エコリゾートとは、自然環境と地域住民を守るため、地球に優しい取り組みを実施している観光地のことです。ここでは、エコリゾートとは何か、具体的にはどのような取り組みをしているか解説します。
環境と人を守るための取り組みをする観光地
近年、観光地に来る大勢の観光客や、大量のゴミ、過剰な漁獲などにより、貴重な自然環境が脅かされていると問題になっています。自然を保護し、地域住民の生活を守るため、重要となるのがエコリゾートという考え方です。
リサイクル材料を建築素材に使う、排水をリサイクルする、海洋熱エネルギーを利用するなど、環境と人を守るための観光地におけるエコな取り組みが挙げられます。
その土地ならではの保全活動をする観光地
ひとくちにエコリゾートと言っても、その取り組みは観光地によりさまざまです。海の観光地であれば、海洋資源の保護や海洋熱エネルギーの利用。森のリゾートであれば、ツリーハウスを宿にして電気の使用を減らすなど、観光地の特色が出ます。
また、地域住民の生活を守るためのインフラ整備や社会福祉事業などを手掛ける観光地も存在します。
国内外の代表的なエコリゾートとは
エコリゾートは、国内外のさまざまな観光地に存在します。代表的なエコリゾートの取り組みを知っておけば、今後旅行先を検討する際のヒントとなるかもしれません。ここでは、国内外の代表的なエコリゾートを紹介します。
フィリピン「ノーチラス・エコリゾート」
フィリピンのパラワン島のリゾートホテル「ノーチラス・エコリゾート」では、排出ガスとゴミをゼロにし、さらに貧困もゼロにするという、エコな目標を重視しています。世界でいちばん美しいとされる島にふさわしいよう、ベルギーの建築家が未来的で美しい建築をデザインしました。
敷地にはホテル、美術館、小学校などの施設が存在。建築素材のほとんどはリサイクル品で、とことん環境に配慮している姿勢が伺えます。エネルギーは自給自足でまかなっており、潮・海洋熱エネルギー、太陽光を利用するなど、先駆的な取り組みが特徴です。
メキシコ「アズリク トゥルム」
人気の観光地であるメキシコのトゥルムは、ホテルの建設などによる、環境破壊に悩んでいました。その問題を受け、リゾートホテル「アズリク トゥルム」では、メキシコ先住民の職人技を取り入れ、斬新で自然になじむ建物を作り、人と自然が共存できるリゾートを目指しています。
ホテルに照明やシャワー、エアコンはなく、滞在中は日光や潮風といった、自然の恵みとともに生活することを推奨。ホテルで使用した寝具は、ファッションブランドをリサイクルして使用する、レストランの廃棄食材を使用して繊維を染める、倒木で建物を建てるなど、あらゆる場面でエコな取り組みを実施しています。
三重県「エコリゾート赤目の森」
三重県の「エコリゾート赤目の森」では、全国に先駆けて1992年から、環境を守りながら楽しめる観光地として活動しています。里山の保全活動や伐採材の有効活用、希少な魚の繁殖育成、台風による風倒木の除去活動など、その活動は多岐にわたり、さまざまな賞を受賞しました。
旅館・飲食業の施設運営はもちろん、特定非営利活動法人・赤目の里山を育てる会の事業拠点としても活動しています。
静岡県「伊豆半島エコリゾート」
静岡県では、県のエネルギー政策課が伊豆半島を環境に優しい観光地「伊豆半島エコリゾート」として発信中。電気自動車(EV)やEVレンタカーの利用促進、タクシー会社におけるEVタクシーの導入に協力し、旅館に対しては送迎用にEVワゴンを貸し出しました。
また、伊豆半島地域での自然エネルギーの活用や省エネ・節電の取り組みについて調査する、観光客向けにガイドブックを発行するなどエコな観光のために多数、取り組んでいます。
エコツーリズムとエコリゾートとは
エコと環境を両立させるための取り組みとして、エコな旅行を推進するエコツーリズムがあります。ここでは、エコツーリズムとエコリゾートの関係や、海外の現状・日本国内の動きについて説明します。
エコツーリズムとは自然環境の保全を意識した旅行
エコツーリズムとは、地域の自然や歴史を体験しながら、それらの保全に興味・関心を示す観光のありかたのこと。具体的には、自然に負担がかからないように観光ツアーの人数を減らす、地域の食材を使用して地産地消に貢献する、観光収益を自然保護活動に使うなどが上げられます。
これらの活動を推進すると、環境に優しいだけではなく、観光資源が守られるので、地域の人々の暮らしを支えることにもつながります。エコツーリズムを積極的に実施している観光地が、エコリゾートであると言えそうです。
フィリピンアジアにおいてエコツーリズムが定着
海外では、アジアにおいてエコツーリズムが定着しつつあります。観光地として有名なフィリピンのボホール島では、島を観光のために開発して環境破壊するのではなく、手つかずの自然を残して貴重で珍しい動植物を観光の目玉とすることで、エコツーリズムを成功させました。
エコと観光の両立は、簡単なものではありません。ですが、フィリピンでは、観光客から環境使用料を徴収するなどして、エコツーリズムの持続に力を入れています。
日本では環境省がエコツーリズム推進法を施行
日本では、1990年頃から知床や屋久島などの観光地を中心に、エコツアーが開催されるようになりました。環境省では、2003年から2004年にかけて、エコツーリズム推進会議が行われました。2008年には「エコツーリズム推進法」が施行され、国をあげてエコな旅行を推進しています。
サステナブル・トラベルとは
旅先の自然環境や地域住民に配慮した旅のことをサステナブル・トラベルと呼びます。ここでは、サステナブル・トラベルとは何か、具体的な行動例とあわせて説明します。
旅行先の環境や住民に配慮した旅行
サステナブル・トラベルとは、旅行先の環境や住民に配慮した旅行のこと。サステナブルは、「持続可能な」という意味を持つ単語です。サステナブル・トラベルは、この先もずっと旅行できる社会を目指して、観光資源の保護を意識した旅行と言えるでしょう。
世界の旅行者の間では、サステナブル・トラベルは比較的浸透している考え方ですが、日本の旅行者には馴染みがないケースもあります。
サステナブルな行動を選択
エコな宿泊先を選ぶこと、旅行中にサステナブルを意識して選択を行うことが、サステナブル・トラベルとされています。サステナブル・トラベルの例として、旅行中の移動手段を可能な限り徒歩や自転車にする、現地の文化を学び、現地の住民に還元できるようにお金を使うことなどが挙げられるでしょう。
エコリゾートを知り、サステナブルな旅行を楽しもう
観光地の美しい自然を守り、次の世代へ引き継ぐためにも、エコリゾートは重要な存在です。リサイクル素材や自然エネルギーを積極的に使うエコリゾートは、自然だけでなく、観光業で暮らす地域住民の生活も守れます。エコリゾートとは何か知り、サステナブルを意識した、新しい贅沢を体験してみたいですね。