未来の暮らしを守る「sdgs」17項目!ファッション業界の取り組みも紹介
「sdgs」とは、世界があるべき理想の姿に近づくための目標のことです。この記事では「sdgs」の読み方や具体的な理念、未来の暮らしを守るために設けられた17の目標について解説。さらに、ファッション業界と「sdgs」のつながりや、実際の取り組み内容も紹介します。
目次
- 「sdgs」とは
- 読み方と意味
- 「sdgs」の目的
- 「sdgs」17項目の目標とその概要
- ①貧困をなくそう
- ②飢餓をゼロに
- ③すべての人に健康と福祉を
- ④質の高い教育をみんなに
- ⑤ジェンダー平等を実現しよう
- ⑥安全な水とトイレを世界中に
- ⑦エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- ⑧働きがいも 経済成長も
- ⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
- ⑩人や国の不平等をなくそう
- ⑪住み続けられるまちづくりを
- ⑫つくる責任 つかう責任
- ⑬気候変動に具体的な対策を
- ⑭海の豊かさを守ろう
- ⑮陸の豊かさも守ろう
- ⑯平和と公正をすべての人に
- ⑰パートナーシップで目標を達成しよう
- ファッション業界における「sdgs」の17項目の意味
- どの項目もファッション業界と関連している
- ファッション業界に求められる「sdgs」の一例
- ファッション業界の「sdgs」17項目への取り組み
- 「sdgs」の認知度向上を目的としたファッション誌の特集
- FINEの「リネーム」
- For itの「シェアタグ」
- 「sdgs」17項目への理解を深め、エシカルな行動を
「sdgs」とは
2030年までに世界規模で達成すべき目標として掲げられた「sdgs」。読み方や意味、その目的について解説します。
読み方と意味
「sdgs」の読み方はエス・ディー・ジーズ。Sustainable Development Goalsの略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」です。2015年9月にニューヨークの国連本部で開催された国連持続可能な開発サミットにて国連が掲げた、2030年までに達成すべき目標のことで、当初は「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」=SDGsとして採択されたものです。
「sdgs」の目的
「sdgs」は、世界全体で挙がっている現代のさまざまな課題を解決し、社会や地球環境を改善するための17の具体的な目標です。経済・環境・社会すべてに関する問題のゴールとして、世界のあるべき姿が設けられています。国連加盟国が積極的に取り組んで、社会をより良い形にしていくことを目指しています。
「sdgs」17項目の目標とその概要
「sdgs」として設けられた、理想の世界を作り上げるために必要な17項目の目標。それぞれの内容をなるべく分かりやすい言葉で解説します。
①貧困をなくそう
世界中に存在するあらゆる形の貧困に終止符を打つ。
②飢餓をゼロに
飢餓をなくし、食料を安定的な確保して栄養状態を改善させるとともに、持続可能な農業を促進する。
③すべての人に健康と福祉を
あらゆる世代のあらゆる人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する。
④質の高い教育をみんなに
すべての人に幅広く質の高い教育を受ける機会を提供し、生涯学習も促進する。
⑤ジェンダー平等を実現しよう
性別差による不平等を無くし、すべての女性と女児の人権を向上させる。
⑥安全な水とトイレを世界中に
すべての人に安全な水源と衛生的な施設へのアクセスを約束し、持続可能な管理状況を保つ。
⑦エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人に良心的な価格で信頼できる持続可能な近代的エネルギーを確保する。
⑧働きがいも 経済成長も
すべての人に対して、包摂的で持続可能な経済成長や、生産的な雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推し進める。
⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
強く安定したインフラを整え、包摂的で持続可能な産業化と技術革新を促す。
⑩人や国の不平等をなくそう
国内や国家間に生じる格差をなくす。
⑪住み続けられるまちづくりを
安全かつ強靭で持続可能な都市や居住地の確保を実現する。
⑫つくる責任 つかう責任
持続可能な生産と消費のパターン(生産消費形態)を保つ。
⑬気候変動に具体的な対策を
気候変動やそれによる悪影響を回避するため、早急に具体的な対策を取る。
⑭海の豊かさを守ろう
海と海の資源を守り、持続可能な形で利用する。
⑮陸の豊かさも守ろう
陸上の生態系の保護や回復、持続可能な利用を心がける。さらに森林破壊や砂漠化、土地の劣化といった問題への対策を講じることで、生物多様性を守る。
⑯平和と公正をすべての人に
持続可能な開発目標に向け、すべての人が平和に過ごせる社会を目指す。そのために、すべての人に司法へのアクセスを提供し、効果的で責任ある制度を築き上げる。
⑰パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発目標に向け、実施手段を強化してグローバル・パートナーシップ(地球規模の協力関係)を築き上げる。
ファッション業界における「sdgs」の17項目の意味
世界全体で取り組み、達成しなくてはいけない開発目標「sdgs」17項目はは、当然ファッション業界にも大きく関わっています。「sdgs」がファッション業界とどのように関連しているのかを解説します。
どの項目もファッション業界と関連している
ファッション業界が関わるべき「sdgs」は17項目すべてといっても過言ではありません。また、それぞれを独立した目標としてではなくて全体として把握する必要があります。単独の目標のみにフォーカスしてしまうと、ある目標に向かうための行動が別の目標達成の妨げとなる可能性があるからです。
例えば、織物工場から排出される化学物質を減らすために有害物質を使用しないファッションを追及した場合、環境汚染は軽減できても、もともとの産業に関わっていた人々の仕事を奪うことになりかねません。また、コストを削減するために低賃金で雇用して労働搾取を生み出し、福祉や教育などの問題へと発展する懸念もあります。ですから、全体のバランスを踏まえて、「sdgs」の取り組みに賛同していくことがとても大切なのです。
ファッション業界に求められる「sdgs」の一例
広い意味ではどの目標もファッション業界と関連付けられますが、⑫の『つくる責任 つかう責任』は特に分かりやすいでしょう。『つくる責任 つかう責任』を昨今のファッション業界に当てはめてみると、大量生産・大量消費のシステムを解消し、環境問題や労働問題の改善することが課題として浮かび上がります。
多くの企業が『つくる責任』を果たすべく、たびたび議題に上がるこうした問題に積極的に取り組んでいます。『つかう責任』に関しては、一度買った服を大切に長く着るなど、業界だけでなく個人単位でのアクションも「sdgs」への貢献につながるのです。
ファッション業界の「sdgs」17項目への取り組み
ファッション業界でも積極的に推し進められている「sdgs」へのアクション。これまでのファッション業界における17項目への取り組みの実例を紹介します。
「sdgs」の認知度向上を目的としたファッション誌の特集
サステナビリティやエシカルが求められる中、「sdgs」がテーマのファッション雑誌が急増しており、それによって着実に「sdgs」の認知度は上昇しています。例えば、講談社『FRaU(フラウ)』では2019年1月号で一冊丸々「sdgs」を特集したところ、読者からの反響が大きく、ファッション誌では異例の重版2回の実績を残しています。
「FRaU×SDGsプロジェクト」企画に関しては、日本雑誌広告賞の「広告賞運営委員会特別賞」金賞などの数々のアワードを受賞しており、2020年1月号でも、「FRaU SDGs 世界を変える、はじめかた。2020」を発売し好評を博しました。
また、光文社『VERY』や集英社『SPUR』でも2020年以降たびたび紙面の特集やコラムなどで「sdgs」を取り上げています。
FINEの「リネーム」
日本では年間100万トンの服が廃棄されていますが、新品のまま廃棄されている服も多いのが現状。ブランドが自社の価値を落とさないために、シーズンが過ぎた在庫を処分することが大きな要因です。そんな中注目されているのが、株式会社FINEが提供するアパレルの新しい再販の仕組み「リネーム」です。
「リネーム」を利用すれば、メーカーやブランドの在庫をブランド表示なしで再販できます。襟元のブランドネームタグや内タグの洗濯表示などを付け替えることで、元のブランドを消費者に知られずに済むので、ブランド価値を守りながら再販できるのです。これまで廃棄されていた衣類が再販されることで廃棄量は大幅に減り、廃棄コストや焼却処分時のCO2による環境負荷も減って、「sdgs」の目標のひとつ『つくる責任・つかう責任』にも貢献できるというわけです。
For itの「シェアタグ」
大阪の株式会社For itは2018年に創業10周年を記念して、「sdgs」の知名度を上げるためのプロジェクト「シェアタグ」を発表しました。複数のアパレルメーカーが共有するタグにURLを記載し、消費者がURLから共通サイトにアクセスすることで、各社の「sdgs」に関する取り組み内容を確認できるシステムです。会社の大小に関係なく参入できるので、多くの人が「sdgs」実現に取り組めるというメリットがあります。
「sdgs」17項目への理解を深め、エシカルな行動を
「sdgs」は世界のあらゆる問題に関する目標であり、ファッション業界にも必要不可欠なもの。定義や取り組み内容を正しく理解し、自身の行動にも活かしましょう。また、今回学んだ内容を人に伝えることによって双方の意識が向上し、未来の暮らしを守る一歩につながるはずです。