マクロビオティックの基礎知識。実践するメリットや玄米の炊き方も解説
マクロビオティックとは、健康的な食事法や暮らし方を実践すること、またその考え方のことです。食に関しては主菜を玄米とすることが推奨されています。本記事では、マクロビオティックを初めて実践したい人の入門編として考え方や用語などを解説し、マクロビオティックのメリットから玄米の炊き方までを紹介します。
目次
マクロビオティックの起源と考え方
マクロビオティックとは、日本発祥の健康に暮らす方法や考え方のことです。ここでは、マクロビオティック誕生の経緯や意味、また実践する上で知っておいた方が良い基礎知識を解説します。
マクロビオティックとは
マクロビオティックとは、体を健康にする食事法、また健康的な暮らしを実現を目指す考え方のこと。ナチュラル志向な食事法として欧米でトレンドとなり、有名人が実践したことでさらに広まりました。現在の日本では欧米の流行を逆輸入する形で、昔ながらの日本の食や暮らしを見直す食事法として注目されています。
マクロビオティックの確立
マクロビオティックという言葉は、古代ギリシャ語を組み合わせたもので、「長く生きていく方法」という意味です。マクロビオティックの考えのもととなったのは、明治時代の医師・石塚左玄が、人が生きる基礎は食にあるとして、食養(=食で心身を滋養すること)の重要性を説いたものと言われています。これに感銘を受けた桜沢如一が、食養の考え方に東洋哲学的な思想を加えてマクロビオティックを確立しました。昭和に入って、マクロビオティックは桜沢の弟子・久司道夫によってさらに体系化され、発展していきます。
発展したマクロビオティックの特徴
マクロビオティックの大枠の考え方は、日本の食が欧米化し、現代的になる以前の食事を基本とすることです。時代を経ていくつもの流派に分かれたり、人によって見解が違ったりはしているものの、マクロビオティックの主な食事法は次の通りです。玄米などの穀物を中心として、旬の野菜や海藻、豆類などをバランス良く食べること。
また、食事の際はしっかり咀嚼することや食べ過ぎないこと、十分な睡眠や適度な運動の実践などの生活習慣の改善も推奨しています。
マクロビオティックの実践ポイント
マクロビオティックには考え方を象徴する独特な言葉があり、これがマクロビオティックの実践に欠かせないキーポイントです。この主な2つのポイントを解説します。
「二大原則」を意識する
マクロビオティックには、「身土不二(しんどふじ)」と「一物全体(いちぶつぜんたい)」と呼ばれる「二大原則」があります。「身土不二」とは、人と植物は生まれた環境と一体であるという考えを表した言葉です。これは、暮らしている土地で採れる旬のものを食べるとバランスが良いと提唱しています。
「一物全体」とは、自然から受ける恩恵を丸ごと享受しようという意味合いの言葉。穀物は精白されていない玄米を、野菜は皮や葉をとらずに余さず食べればバランスが保たれるとしています。
「陰」と「陽」のバランスを保つ
マクロビオティックでは、あらゆるものは「陰」か「陽」かに分けられており、この二つのバランスが取れている状態=中庸が大事だと説いています。例えば、食べ物だと動物性か植物性か、体を温めるものは陽性、熱をさげるものは陰性など、特徴から2つの面に分けます。どちらの方が大事ということではなく、物事には両面あってどちらも欠かせないという考え方が軸です。「陰」と「陽」のバランスを保つために、食べ物の組み合わせや調理の仕方を考えたり、生活習慣を見直したりすることが大切としています。
マクロビオティックの基本食
マクロビオティックには基本的に穀物中心の食事をとることや、副菜の選び方や食べ方など、実践するためのガイドラインのようなものが存在します。この基本食について紹介します。
主菜は玄米などの穀物をしっかり食べる
マクロビオティックの基本食は、玄米を主菜とすることを推奨しています。外側の硬いもみがらを取り去った状態の精白していない玄米は、ビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれている完全栄養食品です。
さらに、マクロビオティックでは、一口につき30回以上噛んで食べることも重要とされています。たくさん噛むことで食べ過ぎを防いだり、消化や吸収をスムーズにしたりなど、多くの健康効果が得られるでしょう。
副菜は菜食中心の食事にする
マクロビオティックの副菜には、旬の野菜や豆類、海藻や果物などが推奨されています。あくまで健康的な食事法のため、食べ物に禁止制限はありませんが、肉や卵、白砂糖など、過度な摂取は控えつつたまになら摂取しても良いとされている食品もあります。
マクロビオティックは穀物を中心とした食生活を基本にすえつつ、適度に肉や魚を食べることも大切です。人や動物、環境への配慮をしながら、バランスを保った食事を意識しましょう。
マクロビオティックを実践するメリット
マクロビオティックを実践すると多くのメリットを感じることができます。多くは食事や生活についてですが、中には社会に貢献できるメリットも。ここでは、4つのメリットを解説します。
旬のものや素材を味わえる
マクロビオティックを実践すると、旬の野菜や素材そのものが持つ味わいを楽しめます。玄米食はありのままの穀物の姿に近いものを食べており、野菜を食べる時も皮や根や葉などを取り除かず、丸ごと食べることで素材そのものが味わえます。さらに、味付けをシンプルにすることで、本来の味を堪能できるでしょう。
調理時間が時短で済む
マクロビオティックの「一物全体」を実践すると、調理時間の大幅な削減も見込めます。なぜなら、皮をむいたり、アクを取りきったりするなどの調理工程をいくつも省くことができるからです。味付けもシンプルで良いため、調理の時短につながります。マクロビオティックは、忙しい人にとって、嬉しいメリットとなるでしょう。
規則正しい生活が送れる
マクロビオティックの実践は、生活面でのメリットも多くもたらしてくれます。マクロビオティックが提唱する生活法は、早寝早起きや適度な運動、周囲の人と気持ちの良いコミュニケーションをとることです。健康的でいきいきと暮らすための知恵が多くあるマクロビオティックを実践すると、規則正しい生活が送れるでしょう。
地域や社会への貢献につながる
マクロビオティックを実践することは、地域貢献や社会問題の解決につながります。まず、食べ物を無駄なく食べ、ゴミを減らした分、環境にかける負荷を減らせるようになります。さらに、地元の食材を買うことを心がければ、輸送時に排出されるCO2を減らせるだけでなく、地域経済への貢献にもなるでしょう。このような点から、マクロビオティックはサスティナブルな社会への貢献につながります。
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玄米の炊き方
マクロビオティックの食事法を初めて実践する人には、主菜を玄米にすることがおすすめです。栄養価の高い玄米食を美味しく食べるために炊き方のコツを紹介します。
こすり合わせるように揉み洗いする
玄米は手ですくい、両手をこすり合わせるようにもみ洗いします。こうすることで表面に傷がついて吸水されやすくなり、やわらかく炊き上がります。強めの力でゴシゴシ研いでも良いですが、炊飯器の内鍋で研ぐとコーティングがはがれてしまうおそれがあるため、ザルやボウルを使って研ぐようにしましょう。
多めの水で約6時間浸す
玄米は、長い時間水に浸す必要があります。なぜなら、玄米は白米より硬く食物繊維も多いからです。おいしく食べるためにも、多めの水で約6時間を目安に、室温で水に浸しましょう。冬場の寒さでは水を吸いにくいので、特に時間をかけるようにしてください。
一つまみの塩を入れる
玄米を浸す際、一つまみの塩を水に入れるのがおすすめです。玄米は浸す時間が長いため、塩を入れることで水の劣化を防ぎます。また、玄米に含まれているカリウムは苦味成分を持っているため、塩を入れることで中和されて美味しくなります。さらに、玄米表面のぬか層が塩でやわらかくなるため、水が吸水されやすくなるでしょう。
このように、さまざまな利点があるため、玄米を水に浸す際は一つまみの塩を入れるようにしましょう。
マクロビオティックを通してサステナブルな生き方を考えよう
マクロビオティックの実践は、食事法や暮らし方を通して、生き方や社会のあり方にまでつながっていくところに奥深さがあると言えます。健康的な食や暮らしを見つめ直し、サスティナブルな生き方について考えてみませんか。
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