【連載】クローゼットからはじまるサステナブル vol.3
私たちが普段身につけている “服” がどのようにできるのか辿っていきます。 本連載は、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネータのエバンズ亜莉沙さんが紹介します。
服に欠かせないコットン。生産の裏側を紹介
紅葉も深まり、みなさん暖かくお過ごしでしょうか?
過ごしやすい気候はコーディネートが楽しい季節ですが、今年はあっという間に気温も下がり、コートの出番も早かったのではないかと思います。
こんにちは、エバンズ亜莉沙です!
連載1,2弾では、“エシカル”や”サステナブル”の意味について触れてきました。まだまだ奥深いこの言葉ですが、今回は私たちが普段身につけている “服” がどのようにできるのかというところからサステナブルを紐解いていきたいと思います。
コットンが育つまで
まず最初に!
みなさん今この瞬間、着ている服のタグを見ていただけますか?
・ポリエステル
・綿/コットン
・ウール....
様々な素材があると思います。
その中でも特に多く見かける素材は、「コットン」ではないでしょうか?洋服のほとんどは、コットンとポリエステルが主な原料となっています。ポリエステルは化学繊維で石油由来のものを指すため、「コットン」と聞くとなんだかナチュラルで、優しい印象を持つ人は多いかもしれません。ですが実は一概にそうとも言えない現状があるのです・・・。
素材をより身近に感じてもらえたらと思い、私が家のベランダで栽培したたオーガニック和綿の成長過程を写真とともに紹介します!
※種は昨年 Ikeuchi Organic さんからいただいたものです。
この小さな綿が集まって、服になると考えるとワクワクする気持ちと合わせて、とても灌漑深いですね。
世界のコットン農家の現状
世界中の農地で使われている農薬の中で、コットンの生産過程で使われている農薬は全体の18%と言われており、殺虫剤の量は全体の25%と言われています。綿花の一大産地でもあるインドでは、使用される農薬の50%が綿に使われているとか。
元々麻などの素材に比べ、綿は害虫被害を受けやすく、遺伝子組み換えの種が主流になっていくと共に、多くの農薬や殺虫剤が使われるようになりました。
もちろん、これらは虫から作物を守る効果がありますが、散布時に吸い込んでしまう農家さんも。実際に、農薬が使われる前と比べて、癌などの健康被害、綿農家の平均寿命が大幅に縮まったとも言われています。
ファストファッションの流れとともに
さらには、“必要なものを必要な分だけ”の世の中から、「安く早く」「大量生産大量消費」のサイクルに合わせるため、借金を抱えざるを得なくなり、生活が苦しくなった農家もたくさんあります。インドの綿農家さんの年間自殺者数は約25万人と言われており、その数を聞いたときは私も耳を疑いました。
このような話はとても心が痛みますよね。できたら知りたくなかったともう人もいるかもしれません。ですがこうした事実を知ることは私たちがモノを買う以上、消費者としての責任でもあります。
自分で体感すること
暗い事実も裏返せば、環境に優しい衣服を選ぶこと=こうした問題の解決につながるということでもあるのです!
まずは今自分が身に付けている服にはどのような背景やストーリーがあるのかを知ること。どれくらいの手間暇がかかるのか、実際自分で体験してみると生産者への感謝の気持ちが強まります。例えば、陶芸体験でお皿やマグカップを作ったり、ガラス工芸の体験をされたことのある方は多いのではないでしょうか?それも一つの身近なモノを作る体験。そうしたモノには自然と愛着が湧きますよね!
長く愛せるものに囲まれた生活ほど贅沢なものはありません。
こうした一人一人の ”心地よい生活” は自然とこの地球と自分とつながる世界の人にとっても、愛のある選択であり、優しい生活なんですね。
次回は!
個人的に最近注目している、「プレオーガニックコットン」について。これは、「オーガニックコットン」の認証を取得するに至るまでの過程において収穫されるコットンの事を指し、このような農家を応援することは、オーガニック農家を応援するのと同じくらい大きな意味があるのです。
お楽しみに!