ヴィーガンファッションとは?注目される理由やメリットをわかりやすく解説
ヴィーガンファッションとは、動物保護や環境保全の観点から動物由来の素材を使用しないファッションのことです。最近では、ヴィーガンファッションを取り入れるアパレルブランドが増えています。今回は、ヴィーガンファッションの意味やメリット、使われている素材、サステナブルな取り組みを行っているブランドを紹介します。
目次
ヴィーガンファッションとは
ヴィーガンファッションとは、動物由来の素材を使わないファッションのこと。「不可能ではない限りで動物への搾取を避ける主義」であるヴィーガンから派生した言葉です。そのため、ヴィーガンファッションでは、牛革やウールを代表する動物由来の素材はいっさい使わず、コットンなどの植物もしくはポリエステルなどの人工素材を使って洋服を作ります。近年は動物愛護や環境保全の観点から高い注目を集めています。
ヴィーガンファッションが注目される理由とメリット
ヴィーガンファッションは、動物保護と環境保全ができることで注目されています。身近なファッションが抱える問題点やヴィーガンファッションを取り入れるメリットも一緒に見ていきましょう。
動物保護ができる
フェザーやダウン、レザーやアンゴラといった動物性由来の素材を使った洋服は、動物の犠牲の上に成り立っています。ヴィーガンファッションが強い支持を集める理由は、素材として利用される動物の劣悪な飼育環境や採取方法が問題視されているためです。ヴィーガンファッションを選択する人が1人でも増えることで、犠牲になっている動物を保護することにつながります。
環境保全に役立つ
動物由来の素材を使う場合、製造過程で環境汚染につながる可能性があります。例えば、革製品をなめす際には大量の水と染料(その中には化学製品を使用したものもある)が用いられ、それによって汚染された水が川や海に流されてしまいます。その汚染された水によって環境汚染が進んでしまうのです。
また、温室効果ガスの排出量が多いことも地球温暖化の原因の一つ。動物を育てるためには温室効果ガスや大量の水が必要になります。動物由来の素材を使用せず、植物由来や人口的に作られたものを使用すれば温室効果ガスの排出や水の消費も減らせて環境保全につながります。
ヴィーガンファッションの素材
ヴィーガンファッションでは、植物由来の素材や人工の素材を使用します。代表的な素材を4つ紹介します。
オーガニックコットン
オーガニックコットンは、農薬や化学肥料の使用をできる限り抑えた植物の繊維や、その繊維から作られた素材です。通常、コットンを生産する際は害虫から守るために大量の農薬を使用します。それにより土壌が汚染され、生産者の健康も脅かすことに。オーガニックコットンなら、農薬の使用を最小限に抑えて害虫駆除・雑草を除去し、生産されるので地球環境と労働環境が守られます。
肌触りが良いだけじゃない!無農薬で地球に優しいオーガニックコットンとは オーガニックコットンは、農薬や化学肥料の使用を最小限に抑えて栽培したコットンです。コットン本来が持つ素材の良さを味わえ、その栽培方法は地球環境や生産者の健康を守ります。この記事では、オーガニックコットンの栽培方法やメリット、認証ラベル、手入れの仕方について解説します。
海藻繊維
海藻繊維は、ドイツのスマートファイバー社が開発した天然の海藻が練りこまれた繊維で、シーセル(seacell)とも呼ばれます。バクテリアや菌類などの微生物によって生分解が可能な繊維のため、地球環境に優しい素材と言われています。
リヨセル(テンセル)
木材パルプを原料としたリヨセル(テンセル)という繊維は、加工する際の溶剤も再利用でき、生分解が可能な素材です。光沢感とやわらかさがあり、静電気が起きにくく吸放湿性にも優れています。多くのアパレルメーカーでは、原料となる木材パルプを持続可能な森林管理をする森からの調達を重視しています。その他、木材以外のエコ素材から作られた洋服も人気です。
パイナップル繊維の服は通気性◎夏にぴったりなエコ素材で快適に過ごそう 環境問題への意識の向上に伴い、パイナップル繊維をはじめ、エコ素材の需要が高まっています。パイナップル繊維とは、パイナップルの葉からつくられた素材のこと。涼しくて着心地にも優れたパイナップル繊維の衣類は暑い夏に特におすすめです。そんなパイナップル素材の特徴や環境へのメリットなどを具体的に見ていきましょう。
ヴィーガンレザー
ヴィーガンレザーは、見た目や質感を人工的に再現した革のことです。フェイクレザーとも呼ばれ、素材や構造によって特徴が異なります。
<石油由来のヴィーガンレザー>
合成皮革:織布の表面をポリウレタン樹脂などでコーティングし、本革の質感を再現したもの。安価で大量生産が可能。
人工皮革:生地に不織布を利用し、ポリウレタン樹脂を染み込ませて作成する。本革のような素材感を出すことができる。
<植物由来のヴィーガンレザー>
石油資源の利用を抑え、主に植物を主原料とした樹脂を使用しているもの。水や汚れに強く、軽くて丈夫。
ヴィーガンファッションなどサステナブルな取り組みを行うハイブランド
ハイブランドもヴィーガンファッションなどサステナブルな取り組みを行っています。ブランドによって動物愛護や環境保全につながる素材を使用するなど、取り組みが異なります。ブランドごとの特徴をチェックしてみましょう。
ステラマッカートニー(Stella McCartney)
ステラマッカートニー(Stella McCartney)は、ブランド創設時から動物愛護と環境保全をテーマとして掲げていて、半分以上の製品にリサイクル素材を利用しています。2021年のプレフォールコレクションは、約80%ものアイテムが環境に配慮された素材で作られました。
グッチ(GUCCI)
グッチ(GUCCI)では、循環型生産ライン初のコレクション「Gucci Off The Grid」が発表されています。このコレクションは、再生素材やオーガニック素材、バイオベースの持続可能な原料による素材を使用し、環境に及ぼす影響に配慮してデザインされています。その他にも、廃棄された漁網などから作られたリサイクルナイロンや、サステナブルな方法で調達された木材パルプとバイオベースのポリウレタンを主原料とする新しいアニマルフリーレザーなど新素材の開発にも力をいれているのが特徴です。
アルマーニ(ARMANI)
アルマーニ(ARMANI)は、2016年秋冬シーズンから、すべてのコレクションで動物の毛皮を使用した製品を排除するファーフリー・ポリシーを採用しています。直近の例でも、2022年秋冬シーズンからすべてのラインのコレクションでアンゴラウールを使用しないことを約束しています。また、環境に優しいリサイクル素材やオーガニック素材を用いたエンポリオ アルマーニのサステナブルコレクションも発表されています。
エルメス(HERMÈS)
エルメス(HERMÈS)では、持続可能な発展をテーマに、サステナブルに取り組んでいます。具体的には、スタッフにとって居心地の良い職場環境の実現を心がけたり、地域活性化に取り組んだりなどです。また自然を尊重し、地球環境への影響をより少なく抑えるよう努めてもいます。
プラダ(PRADA)
プラダ(PRADA)は、サステナビリティを追求する新プロジェクト「Re-Nylon」を立ち上げています。「Re-Nylon」では、世界中の海から回収されたプラスチックや漁網、埋め立てゴミ、繊維くずを再利用し、浄化して作られた再生ナイロンのみを使用しています。プラダの品質を損なうことなく、何度でも再生可能な素材を利用しているのが特徴です。
ヴィーガンファッションの課題
ヴィーガンファッションの課題は、環境に配慮された素材ばかりではないことです。ブランドによっては、石油由来の繊維を用いた洋服を販売しているところがあります。また、実際には環境に悪いプラスチックを利用した製品であっても、ヴィーガンを謳っている製品も。そのため、購入する際は素材ごとの認証マークを確認したり、ブランドのサステナブルへの取り組みを確認したりして気を付ける必要があります。
ヴィーガンファッションを普段のコーデに取り入れて
今やファッション業界のトレンドとなっているヴィーガンファッション。素材感やセンスを損なうことなく、ファッションを楽しみながら環境問題にも貢献できます。普段の生活にヴィーガンファッションを取り入れてみてはいかがでしょうか。