草木染めとは。身近な食材を利用してサステナブルファッションを楽しもう
草木染めとは、植物を染料にした染色方法のこと。草花だけではなく、普段食べている野菜や果物の皮でも、美しい色が出せます。材料や染め方によって色味に変化があり、環境にも優しいのが大きな魅力です。ここでは、草木染めの魅力や家庭でのやり方、おすすめの食材などを紹介します。
目次
草木染めとは
草木染めとは染色方法のひとつで、果物や野菜などの植物を使用した染め方のことを指します。植物を煮出した液に糸や布を浸して染め上げていくもので、はっきりとした色を付けるために、ミョウバンや鉄などの金属成分を含んだ媒染液(ばいせんざい)という液体を一緒に入れるのが特徴。難しいイメージがあるかもしれませんが、身の回りのものを染料として利用できるため、自宅でも挑戦が可能です。
草木染めの魅力
草木染めは化学染料とは異なる、深みのある仕上がりになるのがポイント。また、環境にも優しいためサステナブルファッションとの親和性も高いです。草木染めの魅力をチェックしていきましょう。
独特の色合いに仕上がる
ムラや濃淡など、独特の色味や風合いを楽しめるのが草木染めの大きな魅力です。化学染料の色素は均一な大きさや形をしていますが、草木染めに使う植物の色素は大きさや形、色が違います。そのため、光の当たる角度によって色合いに変化が生まれたり、深みを感じたりしやすくなります。
植物の種類や浸ける時間によっても色味は変わります。また、植物は日々成長や変化をするので、同じ植物であっても季節によって色味や濃淡が異なるのが草木染めの奥深いポイントです。
経年変化で味や深みが出る
天然の染料は、経年とともに色味の変化を楽しめます。レザーのように、時間の経過特有の味や深みを感じられるのも魅力のひとつです。どんな色味に変化していくかは、使い方や環境などで異なるので個性が演出できます。また、色が落ちてきたものに再び草木染めを行うことも可能。染め直しによる色味の変化も楽しめます。
身近なものでできて地球環境に優しい
草木染めには、さまざまな植物が使用できます。染料としてプロが使う植物だけではなく、果物や庭に生えている植物など、身近にあるもので行えます。植物と触れ合う機会が作れるだけではなく、環境に優しいと言える染料を使用するのが、草木染めの特徴です。また、玉ねぎの皮や飲み終えたコーヒーの粉など、普段はゴミとして捨てているものも染料として活用できるため、サステナブルにもつながります。
草木染めを自宅で行う方法
草木染めに挑戦して、植物が出す色味の美しさを実際に楽しんでみてはいかがでしょうか。草木染めを自宅で行う方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
草木染めに必要なもの
<必要な道具>
ボウル
鍋
菜箸
ゴム手袋
<材料>
染液の素になる植物
染色用の布
豆乳か牛乳
水
ミョウバン
金属は化学反応を起こすため、ボウルなどの道具類はステンレスかホーロー製のものを使うようにしてください。染色用の布は化学繊維ではなく、綿や麻、絹やウールなどの天然素材がおすすめです。
①染色用の布にタンパク処理をする
植物性の色素はタンパク質に染まる性質を持っています。綿や麻などの植物繊維を使う場合は豆乳や牛乳を使ってタンパク処理を行い、布を染まりやすくします。絹やウールなどの動物繊維で行う場合は、この工程は不要です。
<タンパク処理のやり方>
①ボウルに豆乳(または牛乳)と水を1:1の割合で入れる
②布を漬け込み、30分ほど置く
③水気を絞って天日干しする
ボウルから取り出した後は、水洗いをしないようにしましょう。
②草木染めの染料を作る
<染料の作り方>
①染料の素となる植物を鍋に入れてから、ひたひたになる量の水を加えて沸騰させる
②弱火から中火で30分ほど煮込む
③植物を取り出す
植物を取り出す時はザルなどで濾す(こす)とやりやすいです。玉ねぎやみかんの皮など、細かいものを染料にする場合は不織布や布製の袋に入れると楽に行えます。煮出す時間は原料によって異なります。玉ねぎの皮の場合だと、中火で1時間30分程度です。
③染色をする
<染色のやり方>
①鍋に入った染料を40~60度程度にし、布を浸ける
②染まり具合をチェックしながら15~30分煮る。煮る際はムラを防ぐためにこまめに菜箸で動かす
③好みの色に染まったら布を取り出して水洗いする
染料の温度が高いほど鮮やかに発色します。染める時間が長くなるほど発色は濃くなります。最初に熱くしすぎると濃く染まってしまい調整が難しくなるため、40度程度から始めるのがおすすめです。
④媒染して仕上げる
媒染は、発色を良くするための工程です。
<媒染液の作り方>
①鍋に水を1リットル入れ、40度から60度まで加熱する
②ミョウバンを5グラム入れて溶かす
<媒染から仕上げ>
①媒染液に布を浸す。たまに菜箸でかき混ぜてムラを防ぐ
②30分程度置いてから布を取り出し、水洗いしてから日陰に干す
媒染液は染色の前に作っておいても問題ありません。ここでははミョウバンを使った方法を紹介しましたが、媒染液はミョウバン以外のものでも可能です。
【ポイント】媒染剤(ばいせんざい)の種類
媒染剤(ばいせんざい)の種類によっても発色は変わります。
<主な媒染剤の種類>
アルミ:色素本来の色味が強くなります。ミョウバンが多く使われています。特に焼ミョウバンは、スーパーでも手に入りやすい素材です。
銅:茶色がかった仕上がりになります。染色材料店などで銅媒染剤を買うか、銅線のような銅製品から作れます。
鉄:暗めの色になるのが特徴です。木酢酸鉄を買うか、錆びた鉄くぎのような鉄製品から作れます。
酸:アントシアニン系の色素に効果的です。クエン酸や調味料の酢などがよく使われます。
アルカリ:赤みがかった色味に仕上がります。灰汁や消石灰の上澄み液などが代表的です。
草木染めにおすすめの食材
草木染めは身近にある食材で楽しめます。まずは身の回りにあるもので挑戦してみるのもおすすめです。
<草木染めにおすすめの食材と色>
黄色:玉ねぎの皮・みかんの皮・春菊
緑:ヨモギ・赤紫蘇・そら豆のサヤ
ピンク:アボカドの皮・さくらんぼの茎・赤紫蘇・そら豆の薄皮
青:なすの皮やヘタ・紫キャベツ
紫:なすの皮やヘタ・黒豆・ぶどうの皮・紫キャベツ
黒・茶色:コーヒーの出がらし・紅茶の葉
同じ食材でも茎や皮など、使用する部分によって色が変わるものもあるのがポイントです。また、染め方によって色を変えられるものもあるので、試行錯誤してみるのも面白いかもしれません。
草木染めで植物の奥深さに触れて
草木染めは植物や染め方、媒染剤によって色味を大きく変えられるため、奥が深い染色方法と言えるでしょう。野菜や果物の皮のように普段ゴミとして捨てているものでも、美しい色を出してくれます。草木染めに挑戦して、サステナブルファッションを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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