エコシステムサービスに取り組むアパレル3選。私達にできることとは?
エコシステムサービスとは、複数の企業が協力し、共存するための取り組みのことです。最近はアパレルの分野でも、エコシステムサービスが広がりを見せているでしょう。こちらの記事では、エコシステムサービスの基本情報と具体例、企業における実践例や、コロナ禍で消費者ができる取り組みを紹介します。
目次
エコシステムの基本情報
本来「エコシステム」という言葉は、ビジネスやアパレル用語ではありませんでした。エコシステムはもともと、生物学で使われていた言葉です。ここではエコシステムの本来の意味と、ビジネスや経営における意味を解説します。
本来は生物学を意味する言葉
本来の「エコシステム」は生物学の言葉で、生物が互いに関与しながら暮らす、「生態系」を意味します。自然界ではライオンなどの肉食動物から、シマウマなどの草食動物、小さな虫や植物まで、多種多様な生物が存在。どれか1つが欠けても成り立たず、互いを補い合って成立しているのが生物学の「エコシステム」です。近年使われるようになった、経営やIT分野における「エコシステム」は、新語と言って良いでしょう。
ビジネスや経営における意味
ビジネスやIT分野における「エコシステム」とは、生物が互いを補い合って生きているように、複数の企業が共存していくため、分業や協業することを指す言葉です。また、近年はサスティナブルな社会の実現を意識し、不要品を企業が買い取って必要な人に譲渡するなど、使わない資源を循環させる「循環型のビジネスエコシステム」も存在します。
エコシステムサービスの具体例
エコシステムは、企業がより発展していくのはもちろん、地球環境を守る上でも重要な仕組みです。現在はさまざまな企業が、エコシステムサービスに意欲的な姿勢を見せています。アパレル業界では企業間で在庫を管理することや、製品を再販売する機会を増やすことが、エコシステムサービスにあたるでしょう。
在庫を減らす
在庫問題は、アパレル業界が長年悩み続けている問題の1つです。現在のアパレル業界は、在庫を抱えやすい大量生産のファストファッションから、持続可能なサスティナブルファッションへと移行しつつあります。ITを導入して企業間で在庫を一括管理、つまりエコシステム化することで、各社の在庫情報を随時把握でき、過剰な在庫を抱える悩みから解放されるでしょう。
販売機会を増やす
ブランドのタグを外して再販売することで、一着の服が人の手に渡る機会を増やしている企業も見受けられます。再販売は買う側にとって、ブランドにとらわれず新しい服に出会える、または割引された価格で手に入るといったメリットがあるでしょう。企業の視点では、自社製品だけでなく他社製品も扱うことで、業界全体の在庫が減少し、ファッション業界の未来を支えることができます。
循環型のビジネスモデルを構築する
着る機会の無くなった服を買い取り、査定額を新品購入時に差し引くなど、循環型のビジネスモデルを構築している企業もあります。不要になった品を売り、新たな商品を購入できるリサイクルショップも、循環型のビジネスモデルの1つと言えるでしょう。
エコシステムサービスに取り組むアパレルメーカー3選
ここからは現在エコシステムサービスを実践している、アパレルメーカーの取り組みを見ていきます。さまざまな取り組みを知っておけば、新しい服を買う際の選択肢が増えるかもしれませんね。
ZOZOグループ
ZOZOTOWNを運営するZOZOグループでは、ZOZOTOWNとファッションコーディネートアプリ「WEAR」、さらにブランド古着通販の「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」を連携させ、循環型のビジネスモデルを構築しています。
WEARで欲しい服を見つけた消費者は、ZOZOTOWNで購入。買った服のコーデをWEARでシェアし、不要になったらブランド古着買取サービスで売ることができます。その後、査定額を購入時に差し引く「買い替え割」を使い、ZOZOTOWNやZOZOUSEDといったネット通販サイトで、好きなアイテムを購入可能です。
Rename(リネーム)
「Rename(リネーム)」では、アパレルブランドの在庫を買い取り、タグを付け替えて新ブランドとして再流通させています。ブランドは値下げすると、ブランドイメージがダウンすると考え、在庫を廃棄してしまうことも少なくありません。Renameでは、正規の3割から8割引で新品を販売しているため、在庫に悩むブランドと、高品質なアイテムを探す消費者の、両方に利益が生まれています。
&Bridge(アンドブリッジ)
ワールドグループがノウハウを提供する「&Bridge(アンドブリッジ)」では、自社ブランドだけでなく、他社の在庫商品も販売しています。価格は定価の5~7割引と、消費者に優しい設定です。業界全体の余剰在庫を解消すること、ロスなく消費者に届けることを目的としています。
コロナ禍の今、手軽にできる環境問題への取り組み
コロナが世界的に流行したことで、それまでのライフスタイルや価値観は大きく変化。今までの生活様式を見直し、サスティナブルな取り組みを意識する人が増えています。エコシステムサービスによって大量の在庫が解消されることは、地球資源の保護につながるでしょう。ここでは、私達が手軽にできる環境問題への取り組みを紹介します。
コロナによって変わった価値観とは
コロナによって、ファッション業界は大きなダメージを受けました。自粛による売上減少は、どのメーカーにとっても深刻な問題です。消費者の視点では、実店舗になかなか出かけられない状態で、ネットストアの利用率が急増。また、コロナで社会が激変したことにより、トレンドがすぐに変わるファッションのあり方に疑問を抱く人が増え、資源や人を大事にするエシカル消費が注目されつつあります。
自宅に居ながら不要なアイテムが売れる「宅配買取サービス」は、コロナ後の生活スタイルにマッチしていることもあり、利用数が増加中です。
洋服をリサイクルする
資源を大量消費するファストファッションから、環境を守るサスティナブルファッションへ業界全体が移行する今、服を回収しリサイクルするブランドが増えています。不要になった服を引き取って再活用することは、環境問題を解決する第一歩と言えるでしょう。
リサイクルとして回収した服は、海外に届けられたり、新たな繊維としてリサイクルされたりします。ブランドによっては、服を回収に出すことでポイントが付与されたり、割引券がもらえたりするので、一度利用してみたいですね。
リサイクルショップを活用する
外出自粛などの影響で、以前ほど服にお金を使わなくなった人が増えています。環境に配慮してエコに取り組みたい、コストパフォーマンスを考えてファッションを楽しみたい人には、リサイクルショップやフリーマーケットアプリがおすすめ。巣ごもりのライフスタイルが推奨される今、リサイクルショップのネット店舗や、フリマアプリ・サイトが人気です。活用すれば環境保護に貢献できる上に、今よりもっとファッションが楽しめるかもしれませんね。
エコシステムサービスは消費者にとってもメリットが多い
複数の企業が共存していくためのエコシステムサービスは、良質なアイテムが手に入りやすくなるなど、消費者にとってもメリットが大きい取り組みです。コロナ禍が収まっても、人々がサスティナブルを意識し始めた流れは変わらないでしょう。環境問題を意識し、エコな消費を心がけることが、これからのトレンドの最先端と言えるかもしれません。