ファッションにおける「7R」とは?環境に優しいソーシャルグッドなアクション
環境問題への関心が高まる現在、「3R」の他、「7R」、「9R」などの用語も耳にする機会が増えています。この記事で焦点を当てるのは、近年ファッション業界で推し進められている「7R」です。「7R」について解説した上で、環境の為の「7R」の取り組み内容やファッション業界における実例を紹介します。
目次
ファッション業界が取り組む「7R」とは
一昔前までは「3R」が主流でしたが、ファッション業界では近年「7R」という環境への取り組みが推し進められています。「3R」をより前進させた「7R」の定義と、「7R」が必要とされる背景に迫ります。
ファッション業界のNPOが掲げる環境への取り組み
「7R」は、ファッションのサステナビリティ推進に取り組むNPO「Fashion Takes Action(FTA)」が掲げている取り組みです。環境へのアプローチを強めるため、Reduce, Reuse, Recycleの「3R」に、Research, Repurpose, Repair, Rentの4つのRが付け加えられています。
ファッション業界で「7R」が推し進められる背景
「3R」を前進させた「7R」がファッション業界で推し進められる背景には、ファッション業界の深刻な環境問題があります。
専門家によると、世界中で毎秒ゴミ収集車1台分の布地が埋め立てや焼却処分されており、このままだとファッション業界は2050年までに、世界の炭素収支の4分の1を使い果たすと予想されています。廃棄問題以外にも、衣服を洗うことで毎年50万トン(ペットボトル500億本以上)のプラスチックマイクロファイバーが海に放出されるなどの深刻な環境問題も。今後も地球で人間が暮らしていくためには、ファッション業界の環境破壊を阻止することが急務なのです。
環境問題への取り組み「3R」をおさらい
「7R」を知るためには、基本となる「3R」を正しく理解することが大切です。廃棄物を削減して環境を守る取り組みの一環である「3R」の3つのRを具体的に見ていきましょう。それぞれのRの内容と環境への役割を解説します。
Reduce(リデュース)
Reduceとは、削減することです。例えばマイバッグを持参して不要なビニール袋をもらわない、流行りや安さで選ばず、本当に必要なものを厳選して購入するなどの行動により、廃棄物を減らせます。さらに、洗濯の回数を減らすこともファッションのリデュースの一環です。洗濯による環境汚染を減らせる他、服の洗濯によるダメージを軽減させ服の寿命を伸ばせるからです。
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Reuse(リユース)
Reuseとは、直訳すると再び使うこと。ひとつのアイテムを繰り返し使えばゴミの減量化につながります。友人や家族などに譲ったり、古着屋やフリマサイトで売り買いしたりすることもReuseに当たります。最近では、パタゴニアやリーバイスなどが独自のReuseシステムを導入するなど、ファッションブランドによるReuseの取り組みも盛んです。
Recycle(リサイクル)
Recycleとは、再生して利用すること。ゴミを減らすように工夫しても、ゴミは一定量出てしまいます。そうしたゴミを分別してRecycleすることで資源の有効利用できるのです。ファッション業界でもZARA、UNIQLO、H&Mを始めとするブランドがRecycleボックスを設置するなどして、Recycleに取り組んでいます。
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環境のためのアクション「7R」のRとは
いよいよ本題の「7R」です。「3R」に加えてどんなRがあるのかを紹介した上で、それぞれのRに関するファッション業界での取り組みと、環境保全への役割を解説します。
Reserch(リサーチ)
Researchとは、調べること。服を捨てる理由の70%がダメージによるものといわれており、それを回避する為にResearchが有効です。品質や持続性について前もって調べれば、ダメージを受けにくい良質な服を選べますし、購入した衣服の正しいお手入れ方法を調べれば、服の寿命も伸ばせます。また、どこで誰がどのように作ったものかを知ることも大切です。「フェアトレード」や「オーガニック」といった環境問題への意識の高い商品を購入すれば、環境問題への取り組みのサポートにつながります。「Good On You」などのアプリを活用し、各ブランドのサステナビリティへの取り組みを調べてみるのも良いでしょう。
Repair(リペア)
Repairとは、修理することです。ファストファッションの流行などによりファッションアイテムは安く買えるようになりましたが、傷ついたらすぐ捨てる人が増えているのも事実です。使い捨て前提で購入するのではなく、修理して寿命を伸ばすよう意識すれば、廃棄を遅らせたり廃棄量を減らしたりできます。ファッションの観点では、ちゃんとRepairされたアイテムは味わい深いビンテージとして価値を高めることもできるのです。ファッションブランドではPatagoniaの「Worn Wear」などの取り組みなどがその一例です。
Repurpose(リパーパス)
Repurposeとは、別の用途で使うことです。本来のものとしての寿命が終わっていても、用途を変えれば廃棄の必要が無くなる場合も。ファッションアイテムでいうと、破れたレザーやデニムをバッグにしたり、Tシャツをトートバッグや枕カバーにしたりするなどの例があります。廃棄物を減らす手立てとしてRepurposeは非常に有効な手段です。
Rent(レント)
Rentは借りることを意味します。ファッション業界では、ファッションアイテムのレンタルがそれに当たります。レンタルサービスを運営する会社の他、H&Mなどのファッションブランドもレンタルサービスに乗り出しており、購入するよりお手ごろな価格でファションアイテムのレンタルが可能です。必要なものを必要な時にレンタルすれば、不要なものを所有して廃棄することによる環境への負担を軽減できる他、お金やスペースの節約になるというメリットも。
さらなる環境保全のため「7R」を超えるRも
より深刻化する環境問題を解消すべく、最近では「7R」にとどまらず「8R」、「9R」と増え、最大で「15R」までRが加わっています。「7R」の先のRの中で、今日から取り組めるRをピックアップして紹介します。
Refuse(リヒューズ)
Refuseとは直訳すると拒むことです。つまり不要なものや余計なものを買わない、もらわないこと。ファッションでいうと、ノベルティーなどが良い例です。限定品や非売品には心惹かれますが、必要なくてゴミになる可能性があれば断る勇気も大切。また、過剰な包装を断って簡易包装にしてもらうこともRefuseの一環です。
Reform(リフォーム)
Reformは改善・改良して再び使えるようにすることで、家のReformなどと同じ意味です。Repairと似ていますが、Repairは修理して元の状態に戻す目的であるのに対し、Reformは形を変えて寿命を伸ばすことを意味します。ファッションでいうと、着られなくなった洋服のサイズを大きくしたり、新しい洋服に作り直したりする行為を指します。DIYの流行でDIY用品やパーツが安価で手に入りやすくなっているため、個人でも気軽にReformができる時代です。
Rethink (リシンク)
Rethinkとは考え直すことです。買い物をする際に、自分にとって本当に必要かを今一度考えれば、不要な物を買ってしまうリスクを減らせます。ネットショッピングなどで買い物が手軽になった現代こそ取り入れたいRです。買ったまま使っていない服や靴がある人は特に意識してみると良いでしょう。一人ひとりがRethinkの習慣を身につければ、膨大な量の廃棄物が減らせるのです。
7Rについての知識を深め、よりソーシャルグッドな選択を
深刻な環境汚染の問題と向き合うファッション業界に求められる「7R」の取り組みの中には、私達個人にできることもたくさんあります。「3R」をより前進させた「7R」についての知識を深め、これまで以上にソーシャルグッドな選択を心がけましょう。