【連載 vol.42】グリーンにつながる行動かを見極めるには
「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回は私たちがグリーンウォッシュに加担しないためにどうすれば良いのか考えていきたいと思います。
目次
前回に引き続き、今回も「グリーンウォッシュ」について追及していきます。
グリーンウォッシュと、そうでない企業や商品をどのように見分けることができるのか、衣類回収という私たちができる身近なアクションを例に挙げて考えていきたいと思います。
また、グリーンに本当につながる行動を見極め、信頼出来る企業を見つける大切さについてお伝えしていきたいと思います。
前回の記事を読んでいない方は、良かったら併せて読んでみてくださいね。
“衣類回収ボックス” は「グリーン」それとも「グリーンウォッシュ」?
多くのアパレルブランドが、店舗に衣類回収ボックスの設置をしています。実際に持っていかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ボックスによって回収の目的は変わりますが、大きく分けて3つの種類があります。
着なくなった服を
・寄付する
・リユースする
・リサイクルする
それぞれにメリット、デメリットがありますが、ここからはグリーンウォッシュを見分けるポイントを回収目的別でお伝えします!
「寄付する」の場合
寄付する先はどこなのかを確認するようにしましょう!
「寄付」と言うと、やはり必要でなくなった人から必要な人の元へ届いているイメージがあるため、基本ポジティブな印象を持ちますよね。
もちろんその場合も多く、日本国内のNPO団体などに寄付される場合や、海外の難民キャンプ、災害支援などの場合、ちゃんと必要な人へ届いている可能性は高いと思います。
ただし、「途上国」となっている場合、その先で本当に必要な人に届いているのか、寄付する先の地域経済にとってマイナスになっていないか、環境問題を引き起こしてはいないか(現地の服飾関連の職の損失、着られない、処理しきれない古着による環境汚染)、等の確認ができているか気をつけましょう。
「リユースする」「リサイクルする」の場合
実際にどのくらいのものが、どのようにリユース、リサイクルされているのかを明確にしているボックスを選ぶようにしましょう!
リユースと言っても、先ほど述べたように、ファストファッションの過剰生産により、先進国から後進国へ輸送される古着は増加し、逆に負荷を与えている場合もあります。
また、リサイクルの場合もその工程における環境負荷や人権問題、様々な気になる要素があるため、信頼できるリサイクルメーカーさんと連携をしているところに届けるのが安心です。
例えば、「BRING」※1はサーキュラーエコノミーの考えを軸に、服から服へ何度でもリサイクル技術を開発しています。企業を通して服を回収し、国内にある工場で環境へも配慮した方法でリサイクルをしています。
この様に、回収後の過程を明確にしているボックスを選んでリユース、リサイクルに繋げていくのが、グリーンウォッシュを回避する方法の1つではないでしょうか。
“割引”は「グリーン」につながるのか?背景にあるものとは
上記の服の回収にも繋がりますが、“割引”について注意したいポイントがあります。
服を持ち込むことで、そのブランドの「環境保全や社会のための取り組み」に貢献しているとして、買い物の割引券をもらったことのある人はいるのではないでしょうか。
消費者として、そのお店をよく利用している場合は嬉しい特典ですよね。服を持ち込むことへのモチベーションにつながることもあると思います。
ただし、ここでも注意したいポイントが・・!
「¥OO以上のお買い上げで」のような条件がついている場合。
条件がついていない場合でも、早速次の消費を促していることになるため避けたいですが、条件付きの場合は特に、条件を満たそうと本当は必要のないモノまで購入させることに繋がりかねません。なのでそのようにより多くの消費を促すような割引券を提供しているブランドが「サステナビリティ」をうたっている場合、グリーンウォッシュであると思って良いと思います。
また別の “割引” のパターンでは、「ファミリーセール」や「サンプルセール」も注意が必要です。
環境に配慮した製品づくりに全面的に取り組んでいるブランドは別ですが、ファストファッションのような大量生産ブランドの場合は特に、在庫を減らすために行っていることがほとんど。
もちろん在庫を減らすこと自体は悪いことではなく、すでに作られてしまったものを廃棄せずに販売することは、企業としてやるべきことだと思います。
ただしその利益をどのように使うかがここではとても重要。
セールをし続けることで環境負荷が高く、労働者への負担も大きい大量生産を続けていては本末転倒。
買う側にとっては安く手に入れることができるため嬉しい面もあるかと思いますが、企業としては元々その売り上げも考えた生産数、値段設定をしています。
在庫が出ることが前提、ロスがあることが前提でモノを作り続けることには限界がきている現代、別の方法で企業にも消費者にもメリットがある仕組みを考えなければなりません。
応援したいのは “できてない” を開示している企業
個人的に日々サステナブルな服やモノを選ぶ中で、「ここは信頼できそう!」を感じるシンプルなポイントがあります。
それは、「今できていないこと」を恥じることなくオープンにしているのを感じた時。
「今できていること」をアピールする企業は星の数ほどある中で、「課題に感じている点」、「もっと改善したいと思っている点」を正直に表に打ち出している企業は少なく感じます。
どれだけできていないかを打ち出すことは、企業にとって消費者にマイナスな印象を与えかねないですし、開示が難しい理由もわかります。
ですが、そんな中でもこれからより良い企業になることを目指し、できていることもできていないことも開示することは、消費者から絶大な信頼を得ることにもなるのではないでしょうか。
そしてサステナブルな世界を実現する上で不可欠な、企業と企業、人と人の「パートナーシップ」を築いていく上でも大切だと感じます。
実際に世界では一社だけでは解決できないことや、一人だけではできないことも、人々が繋がり、補い合うことで達成でき、そこから大きな変化がたくさん生まれています。
これからもグリーンウォッシュには慎重になりながらも前向きに、信頼できる企業を応援していきましょう!